ダンプカーで小路、スクーターで高速道路
このプログのタイトルを見て、はてなマークが頭に浮かぶ人が多いと思う。
なぜなら、これは私の造語であり、IT業界を揶揄して、使ってきた言葉である。
IT投資と言うのは、不適正が生じやすく、失敗がつきものだ。ソフトウェアを自社の業務に活用するために、オリジナルで作成する。新進気鋭のスタートアップ企業が、ITプラットフォームの構築のために、ソフトウェアの仕組みを作る。あるいは、クラウド型のソフトウェアサービスを構築する。こんなシーンでITのモノづくりの仕事が行われる。
言い古された言葉だが、目に見えるようにすることが難しいものづくりだけに、失敗も付き物だ。しかも、IT関連のテクノロジーや最先端機器は日進月歩。進化も確かに凄いと思うが、あまりにも変化が激しすぎるわけである。
結局、官公庁自治体にはじまり、世の中のそれぞれの組織体に適正なIT投資と言うのは極めて難しいし、その判断は困難を極める一方である。
IT投資が世の中で、声高に喧伝されだしてもう四半世紀が過ぎたところだ。
私も仕事柄、沢山の組織体のIT投資を見てきた。そんな中で、一般の人にどうやったら、IT投資の現状が伝えられるかを考えている中で、思いついたのがタイトルの表現だ。
リアルな生活のシーンでは、小路にダンプカーが迷い込むことはありえない。物理的に入れないし、実際に突入したら、周辺の建物が破壊される。
しかしながら、ITの世界では、中小企業には必要のない機能やサービスも含めて、IT会社が提供している例は枚挙にいとまがない。簡単に言えば、無駄な投資なのである。
今はクラウドの時代だから、ランニングコストは抑えられているとしても、知らない間に、払い続けていれば、それは同じことである。
なぜこういうことが起こるかと言えば、使う事もなそさうな機能でも、余計な機能、過剰な機能、が最初から組み込まれている。売る側は、ソフトウェアパッケージの時代でも、コピーするだけだから、一つ売るのに新たな製造原価が発生している訳ではない。だから、売る側の楽さに乗っかって、ついつい、営業セールスにその気にさせられる。
もっとも、こういう背景には、ソフトウェアサービスの値段の見極めが極めて難しいことにも原因がある。
一方で、高速道路にスクーターで出ていくようなものとはどういうことか?
今回は、一つ、情報セキュリティの問題を取り上げる。ある小さな会社が、社内の閉じた環境でパソコンを使って、業務を遂行していた。ある日、社長の号令で、クラウドに切り替え、SNSなどのマーケティングも始めることにした。内部に閉じていたIT環境が、ネットで一気に外とつながる訳である。
今の時代は、こんなことが簡単にできるし、そもそも、IT環境時代では、外と中の区別することは困難である。どんな会社にも、アナログかデジタルかの区分はあるが、様々な経営資産がある。知的資産と言っても過言ではない。
これは、これからの時代の企業経営の重要な財産である。こういうものが、外とつながることによって、外部に漏洩するリスクを増大させるわけである。中には、外部からハッカーに狙い撃ちされるかもしれない。
今でも変わっていないが、もう随分前から、コピー機がネットでつながっていて、管理者パスワードをデフォルトのままに設定。外部から機密情報を盗み放題。物理的には、今の日本の底辺の企業の状態はこんな感じである。
スクーターに乗っている自覚をしっかり持って、間違っても高速道路に侵入してはならないのである。
以上