【3日目】母親業のリアル
近藤家株式会社の母に就任
2017年の夏、妊娠が発覚と共に母親業は始まる。
新人研修かのようなつわりを乗り越え、息を吸うだけで増えていく体重と、当たり前かのように変わっていく身体への戸惑いも、胎動を感じる頃には忘れる。
既に母としての現場を生きている妻を尻目に、大好きだった夫は、同期の父へ就任する喜びに浮かれるだけで、その役割へ理解の乏しさに頼りなく見えてくる。
だけど安定期に入ると妻には余裕が出来て、子供はまだいい。そんな風に思っていた自分を忘れて幸せな日々を送る。
出産という未知なる痛みへの恐怖に、頭をかすめる産後の忙しさはあっという間にかき消される。
そして、病院を出る頃には不安しかなくて、呑気に過ごしていたあの頃を恨む。
これが、一般的に母となるまでの近藤さんの場合のリアルである。
朝は休憩から始まる
母である近藤さんの朝は、休憩から始まる。
今(息子1歳2ヶ月)でいうと、謎の夜中の覚醒や、夜泣きへの対応等で、トータルでいうと睡眠時間はとれているはずなのに、コマ切れの睡眠でどっと疲れている。
夫と息子が寝ているベットをそっと抜け出し、1人の時間とひと時の休息が朝のはじまり。
ともすると、空耳の泣き声が聞こえたり、空耳ではなかったり、ドタバタと愛しい男たちの足音が聞こえてくる。
近藤家の朝のはじまり。
おっぱい拒否事件
産後、何よりわたしを悩ませたのが『息子がおっぱいを飲まない』という事。
『おっぱいを飲まない』とはどういう事かというと、我が家の場合、おっぱいを近づけると仰け反り、泣きわめき、激しく拒絶するのである。
哺乳瓶でミルクを与えれば、それはもうゴクゴクと夢中で飲むだけれどこれが新米母にとっては物凄い屈辱に感じたと同時に、拒絶の傷が疼くのである。
この事については、別記事に詳しく触れるとして、今とりあえず言えるのは
おっぱいは確かに便利だ。
しかし、おっぱいを飲ませられないからと言って、母としての価値にも全く関係なく、その資格は誰にも剥奪できないこと。そしてあなたの子供は、あなたを(もしくはあなたのおっぱいを)拒絶しているわけでも、否定しているわけでもなんでもなく、ただ早くお腹を満たしたいだけ。
という事。
あなたに原因を探しても残念ながら何もない。そして子供に原因を探しても話せないからわからないという事実だ。
わたしは、どうしてもおっぱいをあげたくて心折れながらも必死にやってきたけど、今となっては始めからミルクだけにしておいても全然よかったなってこと。
母乳神話、クソクラエ。
夫を嫌いになるのは当たり前
妊娠中、産前産後、パートナーを嫌いになる女性は多いらしい。さらには、そのことがきっかけで夫婦仲が悪くなったり、離婚問題になることを産後クライシスというらしい。
夫が大好き過ぎるくらいなわたしも、この問題にはかなり悩まされた。
(実質3日くらいだったけど)
だけども、それは当たり前であり、至極真っ当で、自然の摂理だと思った。
だって、夫(オトコ)は知らない。
こんなにも2人の見ている景色が違うということに。
お腹に命が宿った日から、何度も期待を裏切られ、何度もそれでも諦めないと愛情と勇気を奮い立たせてきたことを。
諦めようと言い聞かせても、つい期待してしまう自分に何度も嫌気がさしたことを。
何もかもが変わったように感じながらも、変わらずにあなたを好きでいたいと夢見る乙女心を。
稀に、コレを理解しようと自ら努力する男性もいるみたいだけど、大体のオトコは理解しようとするどころか、その必要性すらも知らない。
こればっかりは世の中のせい。
産前産後のオンナの心はそれくらい複雑で混沌としているにもかかわらず、そんな本人をも救う方法は産婦人科では教えてくれないから。
そして現実、愛を取り戻すことも、夫婦関係の修復も、そうしたいと感じている側の努力がなければ成り立たない。
これはまた、母親業の新人には酷な話だ。
保育園の洗礼よりも恩恵
話は飛ぶが、最後3ヶ月頃から、何度自分の地域の一時預かりや託児所を検索しただろう。
そして、何度その事に罪悪感を覚えただろう。
母親業というものは、罪悪感というボーナスが必ずと言っていいほど付いてくる。そんなボーナスよりも有給が欲しい。と、きっと世の中の母親業を営むお母さん達は思うのではないだろうか。
息子は先月、1ヶ月のうちに2回も入院した。熱性痙攣も2回やった。
自宅にいた時は熱を出したことすらなかったけれど、保育園に行き始めて、何度か風邪をひき、いろんなウイルスと戦った。
それでもわたしは、1人の時間が出来たことで、心の平穏と自分を取り戻せた気がするし、何よりもより息子をより気持ちよく愛せるようになった気がする。
1人だと無駄に悩んでしまう離乳食も、保育園のお陰でどんどん進んだ。
忘れがちな爪切りも、連絡帳で教えてくれる。
たくさんの遊びや動きを覚え、楽しそうに帰ってくる。
息子のために充実した保育をと思っていたが、休日も楽しそうにする息子に結局は自分のためだと気づくことができた。
ぐったりとしている息子を見るのはとても辛いけれど、それでもわたし達にとっては保育園さまさまだ。ありがとうございます。
ワーママ働き方革命
今までと仕事の土台である自分のあり方が大きく変わったことで、当然仕事も今まで通りには勧められなくなる。
母親業に、家事業(我が家は分業制)、さらに○○業となるとダブルワークどころかトリプルワーク。
全てをこなすのは無理なので、何かを手放し、何かを諦める必要性が出てくる。
多少の迷いや戸惑いもあれど、時間に余裕があった時のように悩む時間が減るので、わたしはこの状況はなかなか有り難く感じている。
もちろん、不安がないわけではないが、いつまでもウジウジと決めれない優柔不断な所があるので、決めざる得ない状況が本当にありがたい。
自分の中で新しい母親業を優先し、大事にしたいという想いが強くなったからかもしれない。
働くお母さんには、まだまだたくさんの可能性があって、わたしもそんな人を支える場所を作りたいと思っている。
(そしてわたしも支えてもらうw)
母親業をやってみての本音
まだまだ新人の戯言ですが、もしも友人に『母親業に転職しようかな?』的なことを聞かれたら、わたしは『オススメは出来ない。』と言うのが正直なところだ。
この仕事は、その人の持つ能力によって、または環境によって、ないしは会社の体制によっても随分と変わるものだから。
わたし自身、今この会社で、この環境で、この顧客1人だから、息子の満足度は30%くらいかもしらないけど、ギリギリ契約更新とれてます!くらいの気持ちだから(笑)
だけど、もうこの仕事を辞めたいとは思わないし、この仕事をしなかった自分の人生は考えられない。
いつか、どこかのタイミングで、現役引退はしたいけど(笑)
近藤さんの、母親業のリアルでした。