映画 シビル・ウオー アメリカ最後の日をカメラマン視点で見ると
久しぶりのアメリカ映画大作 「シビル・ウオー アメリカ最後の日」 を見てきました。
全米2週TOPだとのふれこみですが、さて。
多少のネタバレを含む記事になりますが、ご容赦を。
結論から言えば、「映画館で見るべき映画」に入れたいと思います。
タイトルについて物申す!
Civil War
アメリカ🇺🇸合衆国からカリフォルニア州、テキサス州を含む19州がが離脱、独立した近未来の話。
いきなりですが、邦題の
「アメリカ最後の日」は、
まったく意味を為していません。
観る前に頭から消しちゃいましょう!
劇中ではアメリカは終わらないし。。。
大統領が暗殺されることで内戦状態は終わるのかもしれませんが。
映画のトレイラーで出てきた、ワシントンD.C.の派手な市街戦のシーンは、映画の終盤のひとつの見せ場ではありますが、この映画の本質はそこではありません。ワシントンD.C.のホワイトハウスに至るまでのロードムービーだといえます。
ロードムービーとしてのCivil War
この映画は「ロードムービーだ」と書いたのですが、アメリカ映画の典型的な「のんびりとした移動の途中で、メインキャストがちょこちょことアクシデントに巻き込まれるロードムービー」を想像していると裏切られます。
2人の対照的な女性戦場写真家をストーリーの中心に据え、ロードトリップが進行してゆきます。ベテランカメラマンであるリーを尊敬しながらも、彼女を超えようとし虎視眈々とグレイトショットを狙う若い野心家のジェシー。
リーの視点から語られはじめた物語は、やがてジェシーの視点にシフトしてゆきます。
ジェシーは旅の途中で、時には勇み足でトラブルに遭遇したり、アメリカ人同士の陰惨な虐殺現場で目撃した事で落ち込むのですが、そんな経験の積み重ねが次第に彼女のメンタルを強く鍛えてゆきます。
カラーv.s.モノクローム リーv.s.ジェシー
この映画の演出で面白いと思ったのは、2人の戦場カメラマンが撮影したショットです。
それぞれが撮影した静止画がムービーの流れの中でストップモーションとして表示され、彼女たちが何を目撃したのかが語られる仕掛けです。(カメラマンが主役の映画やドラマではありがちな、珍しくない手法ではありますが、ひとひねりが効いています)
ベテランのリーは望遠レンズのデジタルカメラでカラー撮影をしますが、ジェシーが使うのはモノクロのフィルムを装填した一眼レフ。
道具の違いが視点の違いや、カラーとモノクロの表現力の差など様々なコントラストがあるので、どちらが撮影したのかがすぐわかるように見せてくれる仕掛けになっています。そして、その仕掛けが終盤のホワイトハウス突入シーンで好対照のいい味を出してくれるのです。
世代交代のドラマ?
リーとジェシーの年齢差は20歳ぐらいかなと想像します。リーは、ベテランの戦場写真家であり、報道写真家であり受賞歴があるような代表作を持っているようです。
一方、ジェシーは、モノクロームフィルムに対してこだわりを持ち続け、戦場カメラマンを目指していますが、戦場での撮影経験も殆ど持たないアマチュアに近い経歴しかありません。
戦場での撮影経験が少ないので怖さ知らず。その分だけリーよりも果敢に、そして無謀に被写体に迫ろうとします。
そしてホワイトハウス内の攻防の中に巻き込まれた2人は。。。
ここから先は、完全なネタバレになりますので控えておきますが、どのような形で新旧カメラマンの世代交代が行われるのかは、映画を観て確かめていただくことをお勧めします。
この評論が映画鑑賞のお役に立てれば幸いです。
👋👋👋