Schroeder-Headz 渡辺シュンスケさんコメント
近藤さんの絵はいつも優しくて温かい多幸感に満ちている。忘れかけてた、初めて楽器に触れた時の喜び、メジャー7thコードを鳴らしたときの感動を思い出させてくれる。
Schroeder-Headz / 渡辺シュンスケ
2020年11月下旬に発売された僕の初めての画集「ここは知らないけれど、知っている場所」に向けて渡辺シュンスケさんからコメントをいただきました。
シュンスケさんと初めてお会いしたのは東日本大震災があった年だから2011年のことだ。もう10年前だ。
僕は渋谷の7tfloorでライブペインティングをして終わったと片付けをしていたら他の場所でライブが終わったあとにシュンスケさんのマネージャーYさんが7thfloorに飲みに来ていたのだ。Yさんは元々下北沢の僕がよく行っていた名物ライブハウスの店長で下北バンドマンから尊敬の念を抱かれていたし、僕はそういうシーンのライブにたくさん行っていたので僕は一方的に知っていた。
そのYさんと7thfloorの店長赤木さんが仲良しで僕に紹介して下ったのだ。「今、Schroeder-Headzという渡辺シュンスケのプロジェクトやっています」とYさんは挨拶してくれてそして出たばかりの「NEW DAYS」というCDを渡してくれた。
そして僕は家に帰り早速聴いたら驚いた。それは本当に絵画のようなイメージの源泉のような音楽だった。またその曲が見せてくれるイメージは僕が描きたいと思っている美しいけれど、美しいだけではなく、悲しさや野生や孤独さや喜びやそのような僕たちの根源の感情が感じられるものだった。一言でいうと僕はすぐにSchroede-Headzの音楽に憧れた。
そのあとすぐに東日本大震災が起きたのだ。あらゆるライブやイベントが中止になるなかシュンスケさんはある企画をした。確かベースの須藤さん、ドラムに三原さんゲストに宍戸留美さんなどが集まってセッションをするイベント。当日告知で本当に仲のいいミュージシャン同士で音を鳴らすイベント。音楽を途絶えさせてはいけないというイベントだった。僕はそれを聴きに行き初めてシュンスケさんとご挨拶したのだ。
そしてまだその震災の影響が色濃く残る中、初めて7thfloorでSchroeder-Headzとライブペインティングをさせてもらう。裸電球ひとつ。暖房もつけることもできず、お客様みんなコートを着ながら参加してくれたとても思い出深い最初のコラボとなった。
そのあとありがたいことにたくさんコラボをする機会をいただいた。新宿伊勢丹、ハンドメイドフェス、札幌、広島の江田島、京都 ,,,。全部素晴らしい思い出だ。
そして僕のホーム代田橋CUBBYでの個展でのオープニングやクロージングイベントとしてこの7年間ずっと出ていただいた。
僕はなんどもなんどもシュンスケさんの曲で絵を描いてきたけれど本当に飽きないのだ。それは僕にとって森や雲や自然物が大きな創作の源泉なんだけど、またシュンスケさんの音楽もそのようなものだからだ。
シュンスケさんはきっと春に吹く一つの風のその一瞬に喜びも悲しみも希望も諦めも感じられる感受性を持っているに違いない。そしてそれを音楽という形でトレースできるのだ。それはきっと我々日本人が代々培ってきて無常という感覚の現代版の表出なんだと思う。
僕は絵を描いてきて時々「あぁ、これはご褒美だなぁ」という仕事があるのだけどその一つがSchroeder-Headzのアルバム【HALUSHURA】のジャケット絵を描かせてもらったこと。
、、、長くなってしまった。今回画集に向けてシュンスケさんから素敵なコメントをいただけて嬉しい。本当にありがとうございました。
近藤康平画集「ここは知らないけれど、知っている場所」
刊行/月とコンパス
特別寄稿 / 文月悠光(詩人)
装丁 / 坂川朱音
翻訳 / 岩渕デボラ
印刷 / サンエムカラー
製本 / 篠原紙工
箔押し加工 / コスモテック
4,700円 + 税 240 x 250mm 60頁 ドイツ装
ISBN / 978-4-909734-00-6
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