読んだ本「水墨画入門/島尾新/岩波新書
新書ってやっぱり素晴らしい。コンパクトに初心者にざっとその見取り図を示してくれる感じ。まずは見取り図的な本を2〜3冊読んでからあとはもっと知りたくなる場所を重点的に読んでいくのが僕の読書の順番。そしてさらにそれが面白かったら憑依するようにどっぷり浸かっていくのもまた楽しい。
水墨画は好きだけどどっちかというとたまたま美術館で出会った作品や作家に出会えたらその人や作品のことを調べる、ということをしてきたのでどちらかというと順番が逆になってしまった。一番最初のきっかけは6年前の台北の故宮博物院で素晴らしい作品のいくつかに出会えたこと。
そして今。今更だけど全体的な歴史を知りたくなってまず読んだのがこれ。とても面白かった。文体も著者の人柄が伝わってくる軽やかでいて真摯な感じ。そして水墨画の一番大切であろうあの墨と筆の動きの気持ちよさそのものを伝えてくれる。その身体性。
あるいは社会の中で切り離されたオリジナリティあふれる個であることを求められがちな現代アートの社会に比べて歴史を模写し継承しその中で新しい一歩を付け加えようとするその態度。
それは現代社会の何もかもシステム化されてロボット化されていく中で重要なことも軽やかに伝えてくれる。
島尾さんの本を他にも読みたくなった。
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