高校の授業でECサイトを作成しよう!【WordPress+Welcart】#02 (さくらインターネットでWordPressのインストール)
こんにちは、eBOKIのモフ蔵です。
ここでは【WordPress】をインストールする方法について説明をしていきます。まずは大前提として、ここでは「外部のレンタルサーバと契約して、【WordPress+Welcart】を運用していく」こととしています。
高校現場として一番理想的なのは、高校独自もしくは生徒独自でサーバを立て、そこに【WordPress】をインストールすることです。その方が生徒自身の勉強にもなります。ただし、その準備や指導をするのは「そのとき高校に在籍している商業科教員」です。ICTの得意な教員が科目を担当しているとは限りませんし、そもそもそのような教員が高校に在籍していないかもしれmせん。当然、サーバ環境を構築するための物品がない、そもそも購入するための予算もない、ということもあり得るでしょう。持続可能な指導を考えるのであれば、「外部のレンタルサーバと契約して、【WordPress+Welcart】を運用していく」ことは一考に値するかと思います。
「さくらインターネット」を利用
レンタルサーバを利用するにあたり、無料のものは除外してあります。理由としては、WordPressが利用できない(PHP、MySQLなどが利用できない)、容量が少ない、広告表示がある、などが挙げられます。WordPressが利用できないのは論外ですが、高校現場として意外に頭を悩ませるのは広告表示です。どのような広告が表示されるかはサーバの運営会社の裁量に任されるため、生徒にとって好ましくない広告が表示される可能性があります。それによって教員がトラブルに巻き込まれたらたまったものではありません。(特に外部サーバでWordPressを利用するということは、生徒が自宅で学習することが可能ということですので、保護者の目を考えたらリスクはできるだけ排除した方がいいでしょう。)
以上の理由から有料を選択するわけですが、有料かつ信頼がおける運営会社ですと、次の会社が挙げられます。
他にも多数あるのですが、コスパを考えると主だったものはこの3つでしょうか。正直なところ、どの運営会社を選んでもそれほど問題はないかと思います。ただし、選ぶ際には次の点を考慮したいところです。
コストパフォーマンス(価格)
WordPressの簡単インストール機能
無料SSL、独自SSLの利用
独自ドメインの利用
容量の大きさ
WordPressの高速化
運営会社からのサポート
特に「2.WordPressの簡単インストール機能」は、教員側で生徒のWordPressをインストールするのであれば、ぜひともほしい機能です。生徒個々にインストールさせてもいいのですが、データベースのパスワードなどサーバの重要な情報を共有することになりますので、万が一を考えると教員側でインストールを実施した方が余計なリスクはなくなります。(生徒の学びの部分が減るので、この辺はとてもジレンマを抱えてしまう部分です。。)
このようなことを考慮しつつ、今回は「さくらインターネット」を利用することにしています。
WordPressをインストールするための事前準備
それでは実際にWordPressをインストールするための事前準備を行っていきます。さくらインターネットの場合は「サーバーコントロールパネル」にログインするところから始めます。
ログインすると、次のようなホームに移動されます。
WordPressをインストールするにあたり、予め生徒のWordPressに関する情報についてExcelなどに設計したものをまとめておきましょう。WordPressをインストールするために必要な情報は次のとおりです。
データベース名
データベース 接続用パスワード
データベース 文字コード
インストールURL(サブディレクトリ)
テーブルの接頭語
WordPressユーザー名
WordPressパスワード
WordPressメールアドレス
下図のように、これらの情報を予め生徒ごとに設定しておけば、かなりスムーズに進めることができます。私の場合は、これをベースにWordの差し込み印刷機能を使って個票(A4サイズ)を作成、それを生徒に渡しています。
データベース(DB)については、インストール作業前に作成しておいた方がやりやすいです。インストールの際に同時作成することもできますが、多数のWordPressをインストールするのであればDBを作成しておいた方が作業は楽になります。一人(1サイト)に1つのDBを設定するのが望ましいですが、レンタルサーバの契約内容や教員の労力のことを考えると、複数名(複数サイト)で1つのDBを利用するのがベターかもしれません。少なくとも私はそのようにしています。全員(全サイト)で1つのDBを利用すると、そのDBに何かトラブルが生じたときやDBへのアクセス負荷が増加したときのことを考えると、授業がうまく進められないリスクが増大しますので避けたほうがいいでしょう。3〜5人で1つのDBを利用するのが無難だと考えます。(私は毎年5人で設定しています。それでも特に問題は発生していません。)
SSLの設定
さくらインターネットでは、無料で「共有SSL」が利用可能となっています。「共有SSL」については、このように説明されています。
念の為に、「SSL」とは「Secure Sockets Layer」の略で、インターネット上の通信を暗号化して保護する技術のことです。共有SSLは文字通り、複数のウェブサイトでSSLを共有するものですので、理想としては独自SSL(一つ一つのウェブサイトで独自のSSLを使用)を使うことでサイトの信頼性等を向上させたいところです。しかし、費用が生徒一人ひとりに掛かってしまいますので、学校現場の台所事情としては非常に厳しいところです。とはいえ、個人情報を扱うECサイトが通信を暗号化していないのは大問題ですし、近年はSSL化していないウェブサイトはブラウザが表示させない、もしくは表示させることでの危険性があることを画面に通告してくるなど、SSL化することはマストとなってきています。そういう意味では、このような共有SSLは学校現場としては非常にありがたい仕組みとなります。
では実際にSSLを設定していきましょう。左メニュー「ドメイン/SSL」→「ドメイン/SSL」をクリックします。画面が変わり、保持しているドメインがすべて表示されますので、そこの右端にある「設定」→「基本設定」をクリックします。(こちらの事情ですでに共有SSLが設定されているため、「共有SSL」と画像には記載されています。設定されてなければ記載はされていません。)
ドメイン設定の画面に変わったら、「SSLの利用」の「SSLを利用する」、「HTTPS転送設定」の「HTTPSに転送する」にチェックを入れます。「HTTPSに転送する」は、httpのURLでアクセスすると、自動的にhttpsのURLに変更され、SSLが設定されているウェブサイトに移動できるというものです。(「http://○○○.sakura.ne.jp」→「https://○○○.sakura.ne.jp」に転送。○○○はあなたが契約したときの初期ドメイン。)
「www.転送設定」はどちらかに転送させてくれれば大丈夫です。私の場合は「www」を使わないURL「https://○○○.sakura.ne.jp」を使っているので、真ん中の項目にチェックを入れてあります。
最後に一番下の「保存する」をクリックすると、共有SSLが設定されます。
DBの作成
それではDBを作成しましょう。左メニュー「Webサイト/データ」→「データベース」をクリックします。画面が切り替わったら、右側にある「新規追加」ボタンをクリックします。
データベース新規作成の画面が表示されますので、
データベースバージョン
データベース名
データベース接続用パスワード
データベース文字コード
において必要な情報を選択・入力していきましょう。
データベースバージョンは指定されている場合が多いので、こちらで選択する必要はありません。選択ができる場合は、とりあえず新しいバージョンを選択してもらえれば間違いはないでしょう。WordPressで使用できるバージョンが指定されているので(例えば、現在のWordPress 6.6.2の場合は「MySQL のバージョンは 8.0 以上」と指定されている)、それに合っていれば問題ありません。
データベース名とデータベース接続用パスワードは、予め決めてあるのであればそれを入力してください。データベース名に使える文字は英数字と一部の記号( _(アンダーバー)など)ですが、英字に関しては大文字・小文字どちらかに統一した方が管理がしやすいです。文字数については特に指定はありません。データベース接続用パスワードに使える文字については英数字と一部の記号( _(アンダーバー)、-(ハイフン))のみ、8文字以上32文字以内(2024/10/29現在)となっています。
データベース文字コードについては、「UTF-8(utf8mb4)」を選択してください。「UTF-8」でも進められますが、トラブルが起きる可能性は否定できません。(「UTF-8」は3バイト文字、「UTF-8(utf8mb4)」は4バイト文字のため、4バイト文字を入力してしまうと3バイトでは対応できなくなり「?」に置き換えられたりします。)
以上が終わったら、「同意する」にチェックを入れ、「作成する」ボタンをクリックします。
WordPressのインストール
次にWordPressをインストールしていきます。インストールには「クイックインストール」を利用していきます。左メニュー「Webサイト/データ」→「クイックインストール」をクリックします。画面が切り替わったら、「WordPress」の「新規追加」ボタンをクリックします。
画面が切り替わり、WordPressのインストールが始まります。まず「インストールURL」を選択します。特にドメインを追加していなければ、「https://○○○.sakura.ne.jp」と「https://www.○○○.sakura.ne.jp」(○○○はあなたが契約したときの初期ドメイン)から選択することになります。「www」の有無の選択ですので、使いたい方を選択してください。
選択すると「サブディレクトリにインストールする」にチェックが入っているのが見れます。さくらインターネットでは、www直下(ルートディレクトリ)にはWordPressはインストールすることはできず、こちらでインストールするためのサブディレクトリを指定(wwwの中にディレクトリを作成してそこにインストールするように指定)しなければいけません。今回のサンプルでは「/2024/3101」と入力していますが、www直下に「2024」というディレクトリを作成し、そのディレクトリの中に「3101」というディレクトリをさらに作成、その「3101」というディレクトリの中にWordPressをインストールする形をとっています。(「2024年度3年1組1番の生徒」のWordPressをインストールするイメージなので、「2024」「3101」というディレクトリを作成しています。)
「利用データベース」は、さきほど作成したDBを選択、さらにそのときに設定したパスワードを「データベース接続パスワード」に入力してください。
問題は「テーブルの接頭語」です。テーブルとは、Excelでいうところのシートに該当します。DBがファイル、テーブルがシートです。1つのDB(ファイル)の中にいくつものテーブル(シート)を置くことができますので、出席番号1番から5番までの生徒のテーブル(シート)を用意して、そこにそれぞれのデータを保存することができるわけです。そして、そのテーブルを区別するのが「テーブルの接頭語」(Excelだとシート名)です。この接頭語をウェブサイトごと(一人ずつ)指定して入力すれば、特に問題はおきません。ただ、他の入力項目とは違い、接頭語については「サーバーコントロールパネル」で自動的に入力してきますし、さまざまなサイトで「自動入力だから、ここは触らなくても大丈夫」と書かれているので、ついつい触らずに進めてしまう傾向があります。ただ、さくらインターネットの「サーバーコントロールパネル」は、連続してWordPressをインストールする前提では作られていません。私もここで引っかかったのですが、2人目以降をインストールしようとしてもコントロールパネルが自動的に再読み込みせず、接頭語が一言一句1人目と変わらず同じものを使用しようとしてきます。このまま進めてしまうと、当然1人目と同じ接頭語のテーブルを作成することになります。(つまり、上書きすることになります。)これによってトラブルが発生し、授業の進捗に影響を与える可能性があります。これを避けるためには、前述したように接頭語を一人ずつ指定して入力すること、もしくはインストールする毎に再読み込みをして強制的に接頭語を変更させること、のいずれかをする必要があります。インストール時には十分注意してください。
そのあと、「WordPressユーザー名」「WordPressパスワード」「メールアドレス」を入力してください。予めExcelなどに情報をまとめているのであれば、それをコピー&ペーストして進めていきます。
「検索エンジンでの表示」については、必ずチェックを入れておきましょう。Googleなどの検索エンジンにインデックスされると、生徒の作った授業用のECサイトが世に出回る可能性が高まります。それによって、外部の消費者がECサイトから商品を購入しようとしてくると、さまざまなトラブルが発生してしまいます。あくまで授業内での演習ですから、検索エンジンにはインデックスさせない、さらには生徒にSNSなどでECサイトのリンクを貼り付けないよう注意を促しましょう。
最後に「ライセンス・利用規約に同意する」にチェックを入れ、「作成する」ボタンをクリックします。矢印がグルグルまわり始め、条件にもよりますが、20秒ほどでインストールは完了します。
インストールが完了すると、上図のような画面に切り替わり、インストール内容を確認することができます。
設置先と管理画面のURLが表示されますので、こちらを生徒に伝え、実習に移行していきます。
これを必要な人数分インストールしていくと、授業の開始準備が終わりになります。慣れてくると一人当たり2分弱でインストールできますので、クラス全体ですと1時間ほどあれば準備は完了です。
【WordPress】の準備ができましたので、次は【Welcart】のインストールになります。#3の投稿をお待ちください。