見出し画像

【シーン分析】 レオ セアラの2点目は如何にして生まれたのか

8/15 横浜F・マリノス vs 大分トリニータ

55分に生まれたマリノスらしい崩しでの得点。

このたったワンシーンだけでも数多くの駆け引きが行われている。

大分は自陣で1-5-4-1の形で守備をしている。

まず大分の守備の特徴(前提)としてスペースを守る守備ではなく、人に付いていく守備

まず見るべきはレオセアラのプルアウェイ(降りると見せかけて相手の裏に抜ける)の動き。これに大分のRHV(RCB)が釣られる。
しかもシンプルに裏に抜けるのではなく、ゴール方向に斜めに抜ける動きだ。
これによりRWB-RHV間が広がる。

大分は5バックで守っているのだから、CBのエンリケ トレヴィザンに受け渡せばRWB-RHV間は広がることはない。しかし、その時のマルコスとエンリケ トレヴィザンの駆け引きを見て欲しい。

大分5バックの中央にマルコスが位置し降りる動きを見せることで、エンリケ トレヴィザンが釣られ裏が空く。
そのスペースにレオセアラが抜けることで大分のHVはレオに付いていかなければならなくなり、大分のRWB-RHV間が広がった。

次に見て欲しいのが岩田と扇原がボールをスイッチして扇原が前田大然にパスを出す瞬間の大分のRWBの動き。
ほんとに僅かで一瞬だが大分のLWBの右肩が大外にいる和田の方に向く

これにより大分のRWBは扇原→前田のパスに反応が一瞬遅れる。
足の速い前田に対してこの一瞬の遅れは致命的となる。

ではなぜ大分のRWBの反応が遅れたのか。
それは扇原の体の向き・利き足和田の立ち位置、大分の左シャドーの選手の守備意識だろう。

マリノスは基本大外に選手を配置する。
この場面ではWGの前田が内側にいるので、SBである和田が大外に位置を取っている。

マルコス、レオの動き
大分のシャドーが見るべき選手はマリノスのSBだったと思うが、大分の試合を何試合か見るにシャドーの選手は自陣深くまでは守備をしない(付いていかない)傾向がある。
これらが相まってRWBが2人を見なければいけない状況となった。

そして扇原の利き足体の向き
彼は左利きで、前田にパスを出した時の体の向きは外を向いている。
これにより大分のRWBは和田にパスが出るのではないかと予測したことで、右肩が一瞬和田の方に向いた。

そして扇原の蹴り方。上体・軸足は外を向いている(和田の方)が、蹴り足である左の腰を捻ることで前田にパスを出している。
パスを出した後の軸足の抜き方や反動(少し後ろによろめいている感じ)を見ても、腰のひねり具合が分かると思う。

これらにより前田にパスが通る。

前田が裏に抜けてレオへのクロスが繋がったがここまでにも幾つかの駆け引きがある。

マルコスの動きによりエンリケ トレヴィザンがクロス対応に遅れたが、大分のLHVも遅れている

動画を少し巻き戻して、岩田と扇原がスイッチするところから見て欲しい。

この時のRSB小池の立ち位置
大分のライン間、LHVの前に立つことでLHVを釣り出している。
これによりLHVも前田のクロスに間に合わない。

そして大分のLWBは前田にパスが通った後も歩いている

前田のクロスに対して最後にRHVが懸命に足を伸ばすが届かず。

この試合の勝敗を決定づける3点目が生まれた。


こんなたったワンシーンだけでもさまざまな駆け引きや選手個人の技術が見られてサッカーはとても複雑で面白い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?