ぺんだんと 番外編 作:Erin
由梨と拓斗
〈拓斗side〉
偶然塾で隣になった、秋月由梨さん。
中学生になり、母親に勧められて入った塾だけど、正直剣道に力を入れたくてあまり乗り気ではなかった。
「あ……」
消しゴムを取ろうと手を伸ばしたがその拍子に秋月さんと手がぶつかる。
「すみません、自分の消しゴムだと思っちゃって」
秋月さんはケヘヘと笑い、手を引っ込める。
その仕草がなんだか可愛くて、俺は少し頬を赤らめた。
「藤原君だっけ。どこ中?」
ちょうど先生がお手洗いに教室を出ると、秋月さんに話しかけられる。
「私立○△中学だよ。秋月さんは?」
「月見ヶ丘中学だよ」
月見ヶ丘中学といえば夏美の中学か。
もっと話をしたいが為に夏美を知ってるか聞いた。
「知ってるよー。私の親友なの! 藤原君は夏美と幼馴染とかなの?」
「あ、うん」
なぜか彼女とは言えず頷いてしまう。
いや、幼馴染には変わりないけど。
あれ、なんであいつと付き合ってるんだっけ。
ふとそんな疑問が浮かんでくる。夏美は大事な幼馴染だけど、何かが違う。
「ほーら授業再開するぞ〜」
先生がお手洗いから帰ってき、授業を再開する。
この日はこれ以上話さなかったけど、付き合う日が来るなんてーー。
ま、それはまた別の話。