あの日私の心が死んだ。



兄に性的行為をされ始めたのは3歳だった。


歳の差があるので一緒にお風呂に入る事も多く

当たり前だけど小さい頃はそんな事全く気にしなかった。


お風呂場で、寝てる間に、旅行中、様々な事をされた。

ある時は身体チェックと言う名目で全身を触られ、

遊ぼうと言われ痴漢ごっこもした。


中学生の時には目を覚ますと兄が私の中に”アレ”を入れていた事もある。


私は、それが”いけないこと”だと言うのも分からぬまま小学生になった。


それがいけないことだと認識したのは小学3年生の夏。

その頃になると性教育も始まって、その日々行われていたいけないことが、”いけないこと”だと認識できるようになったのだ。

認識してからは兎に角お風呂の時間、寝てる時間、ふたりで居る時間が心底嫌いで夜なんて来なければいいのにと毎日願って願ってひたすら願った。

でも現実はそうも行かず、毎日犯される日々を過ごす。



今思えばその頃から死にたかった。

消えてしまいたかった。



風俗の仕事をしていて決まっていつも

「初体験はいつ?誰と?」

と質問される事がある。

同じ仕事の女性もよく聞かれるのではなかろうか。


その時は決まっていつも「中学2年。当時付き合っていた彼氏と。」と嘘をつく。

私には誰にも言えない秘密があるのだ。



私の母は当時小さな会社を経営していたのだが、

会社兼自宅になっていて会社員も出入り出来るようになっていて、

いじめが原因で小2から不登校だった私は飼い猫と会社員の人と一緒に過ごしていた。



そんなある日、起きたら人の体温と体に激痛を感じて薄目を開けてみると

会社員の男の人のアレが私の体に入っていた。


訳が分からなかった。

怖かった。

痛かった。


恐怖のあまり寝たフリをしてその場をしのぎ、ただその行為が終わるのと、時間が過ぎるのを待つしか無かった。


それはどのくらいの時間続いたのだろうか。



今でも犯されている景色や音は鮮明なのに、時間は今では思い出せないでいる。


小学生4年生の夏。それが私の初体験だった。



そして、その事をきっかけに母親に兄の事も会社員からされている事も打ち明ける事にした。

小さい頃から殴る蹴るをしてくる母親でも、

私の事を守ってくれるかもしれない。

そう思った。


「兄と会社員から性的行為を受けている。」

そう打ち明けた私の耳に飛び込んできた言葉は


「だから何?知ってるわよ。どうしろって言うのよ!誰にも言うんじゃないぞ。」


母は私が受けている全てを知っていて、ずっと見ぬ振りをつづてけていたのだ。


助けてくれるかもしれない。そう思った私の心を

現実はどん底に突き落とした。

なぜ希望なんて持ってしまったのか。

期待なんてしまったのか。


やっぱり神様なんてこの世にはいなかった。





あの日、私の心が死んだ。



こなつ










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