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「向夏*きらきらと木漏れ日」


2023年6月29日

Buttercup Yellow Flowers, Photo by Manto Artworks

カナダde着物

第48話*糸が織りなす模様と物語*

 日本では梅雨の月に入りましたが、カナダではこれから日照時間が増え、降水量が減ります。

 毎年山火事のニュースが流れ、街に漂う、うっすらとした煙は健康への影響も怪訝されるでしょう。

 私は花粉や煙などで咳が出るので、今でもマスクを常備して必要な時だけしています。

 コロナ禍のお陰で、マスクをしていても以前より変な人に見られないので、有難いです(笑)

 それでも晴れ間の木漏れ日は、乾いた風と合わさり、大変に美しい北米の夏の風景です。

 さて、そろそろ卒業シーズンも終わり、楽しい夏休みに入りますね。

 皆さま、カナダの短い夏を、どうぞ満喫されてください!

京都西陣織 手織ミュージアム織成館にて、豪華な能装束や袋帯。写真:コナともこ

*今日の着物*Today’s Kimono

「糸が織りなす模様と物語」

 糸を織り上げて、美しく織物を織る。

 縦糸と横糸の組み合わせで作られる布地は、単純な作業の繰り返しのようですが、多分で複雑な模様を作ることが可能です。

 歴史を遡れば、紀元前5000年前から作られていたとのことで、織物は衣服や寝具、敷物、家具、さまざまな道具、日用品等に幅広く使われるほか、タペストリー等の芸術品としても製作されてきました。

 その意味では、織りは人類の文化発展の象徴だと言えますね。

「高級絹織物で有名な西陣織」

 着物の世界で代表される織物は、やはり帯でしょう。

 その中でもヨーロッパから技法を取り入れ、京都・西陣の地で発展した「西陣織」は、日本を代表する絹織物として世界に名を馳せています。

 西陣織は「多品種少量」生産方式がとられているのも特徴です。
 明治期にジャガード機が導入されると進んで新しい技法を開発するなど、伝統を守りながら今でも手作業で帯を作り続けています。

 昨年、私は京都上京区にあります、手織りミュージアム織成館を訪れました。

 素晴らしい着物や帯に触れまして、改めて日本職人の高度な技と美意識を学ぶことが出来ました。

 皆さまも是非一度足を運んでみてください。

「織りに願いを。」

 織りの文様や柄は、五穀豊穣、開運福徳、子供の成長、家族の健康や長寿、学業成就、家内安全、子孫繁栄、芸能の上達など、人々の想いを今に伝えています。

 もうすぐ「七夕まつり」がありますが、星に願いを…のように、織りに願いを込めて、織姫気分で美しい帯をうっとり眺めましょうか。

京都西陣織 手織ミュージアム織成館にて 

*今日の和の学校*Today’s Gathering

「お寺で施餓鬼大法要」 

 境内の桜が散り、葉桜になったころ、お寺では毎年、施餓鬼大法要が行われます。施餓鬼の由来は、『救抜焔口餓鬼陀羅尼経(くばつえんくがきだらにきょう)』というお経にあると言われています。お釈迦様の弟子の一人である阿難(あなん)が、餓鬼に死を予告された際に、お釈迦様の教えに従って、陀羅尼(だらに)を唱えながら餓鬼に食事を施したところ、その功徳によって餓鬼が救われ、阿難も寿命を延ばすことができました。

 こうした説話に基づいて、施餓鬼が行われるようになったようです。

 現代に置き換えますと、侵略戦争や世界で起きている紛争や自然災害などで、食べるものが無く困っている人々に、敵や味方とは関係なく、食べ物を施すことが大事だと説いているように解釈できるでしょうか。

 お供えされた果物や野菜は、カナダに住む私たちには普通に手に入るものですが、地球上には、まだまだ飢餓で苦しむ人々がいることを知り、原因を探り、私たちにできることを考えていきたいですね。

施餓鬼大法要 東漸寺にて、単衣:色無地菱地紋 袋帯:唐草蓮花文様。写真:コナともこ
施餓鬼大法要 東漸寺にて、お茶室に飾られていたお軸と花。写真:コナともこ

参照
日本の行事・暦:
http://koyomigyouji.com/index.html

織物(おりもの)とは、糸を縦横に組み合わせて作った布地である。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

きものと手織ミュージアム織成館 https://orinasukan.com/

施餓鬼(せがき)とは、仏教における法会の名称である。または、施餓鬼会(せがきえ)の略称。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムは
こちらから

コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
13年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。
tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘+老犬1匹(昨年末、虹の向こうへ)がおり、バンクーバー近郊在住。

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