WebUIをスマホ上から外出先で操作する方法(基礎知識編)
はじめに
Stable Diffusion WebUIへスマホからアクセスする方法は様々あります。
リモートデスクトップを利用し、スマホからアクセスする
起動バッチ引数に[ --share ]を付与し、スマホからID/PWを入力しアクセスする
起動バッチ引数に[ --listen ]を付与し、スマホからアクセスする
クラウドGPUサービスにSD環境を構築し、スマホからアクセスする
多岐に渡る方法がありますが、これを用いて行う際のメリットとデメリット、おすすめの構築方法について今回はご紹介しようと思います。
構築方法については次回、構築編でご紹介します!
各方法のメリット・デメリット
リモートデスクトップを利用(サードパーティ製)
[ メリット ]
導入が簡単(専門的知識がさほど必要ない)
イニシャルコストが不要な場合が多い
ランニングコストも不要な場合が多い
[ デメリット ]
自身のPCを外出中でも付けっぱなしにしないといけない
スマホ上でタッチによるマウス操作が必要
リモートデスクトップサービスへのアカウントの作成とログインが必要
PC上の画面操作になる為、ピンチアウトによる拡大縮小操作が発生する
リモートデスクトップを利用(Windows標準装備)
[ メリット ]
イニシャルコスト、ランニングコスト(電気代除く)が不要
Windows標準装備のリモートデスクトップツールを使用する為、セキュアである(Windows以外の介入がない為)
[ デメリット ]
多少の専門的知識が必要
自身のPCを外出中でも付けっぱなしにしないといけない
スマホ上でタッチによるマウス操作が必要
ホストPCへ接続する為のID/PW、ユーザー管理を行う必要がある
PC上の画面操作になる為、ピンチアウトによる拡大縮小操作が発生する
起動バッチに[ --share ]を付与し、インターネット経由でHTTP接続する
[ メリット ]
イニシャルコスト、ランニングコスト(電気代除く)が不要
導入が簡単(専門的知識が不要)
スマホのブラウザで直接WebUIを操作することができる
[ デメリット ]
アンチウイルスソフトのOutbound向け通信監視で誤検知される可能性がある
起動バッチを起動する度に、Public URL(公開用URL)が変更になる
HTTPS通信ではあるが、URLが分かれば誰でもアクセスできる状態になる(但し、アクセスにID/PW指定している場合は、この限りではない)
自身のPCを外出中でも付けっぱなしにしないといけない
起動バッチに[ --listen ]を付与し、イントラネット環境(LAN環境)でHTTP接続する
[ メリット ]
イニシャルコスト、ランニングコスト(電気代除く)が不要
導入が簡単(専門的知識が不要)
スマホのブラウザで直接WebUIを操作することができる
アクセスが可能な環境がイントラネット(LAN環境)のみである為、非常にセキュアである
[ デメリット ]
自身のPCを外出中でも付けっぱなしにしないといけない
インターネット経由によるHTTP接続ができない(イントラネットである為)
起動バッチに[ --listen ]を付与し、イントラネット環境にVPN経由でHTTP接続する
[ メリット ]
イニシャルコスト、ランニングコスト(電気代除く)が不要
スマホのブラウザで直接WebUIを操作することができる
アクセスが可能な環境がイントラネット(LAN環境)のみである為、非常にセキュアである
VPN経由である為、高度なセキュア環境である
VPN経由である為、WebUI以外のPC内ローカルファイルへもアクセスすることが可能(但し、アクセス可能領域は共有フォルダ化する必要あり)
[ デメリット ]
専門的知識が必要(VPN構築に関する知識)
自身のPCを外出中でも付けっぱなしにしないといけない
インターネット経由によるHTTP接続ができない(イントラネットである為)
クラウドGPUサービス(Colab等)上に、SD環境を構築する
[ メリット ]
イニシャルコストは不要
スマホのブラウザで直接WebUIを操作することができる
アクセスが制限されているクラウドサービスであるため、セキュアである
自身のPCでないため、リソースを割くことが出来、かつ電気代の心配が必要ない
[ デメリット ]
無料プランだと容量制限や制約等がある
プランによってはランニングコストが発生する可能性がある(サブスクリプション方式)
多少の専門的知識が必要(クラウドサービス上に構築する知識)
メリット・デメリット早見表
おすすめの構築方法は?
ここまで、各方法のメリット・デメリットを紹介してきました。
では、結局どれがいいの?という話になります。
これは個々の使い方、お財布事情、構築する意欲次第で変わってきます。
一概に、これがいい!とは言うことはできませんが、私的な意見としてはリモートデスクトップは操作性が悪い為、あまりお勧めはできません。
次に、私が重要視している選定する指標をご紹介します。
選定する指標#1「コスト」
やはり、一番はコストです。
コストは切っても切り離せないものです。
自分のPCを常時起動状態にして、生成サイクルを酷使すると、それだけ電気代も掛かります。
かと言って、クラウドサービス上へ構築し制限が少ない状態で扱う為には、月額費用が発生します。
では、高性能PCとクラウドサービス(Colab Pro/Pro+)で、ランニングコスト比較してみましょう。
高性能PC(ハイエンドゲーミングPC)の毎時平均消費電力と、電気使用料(東京電力従量電灯料金2023年5月現在)、使用条件は以下の通りに計算します。
平均消費電力(継続的に平均消費する電力)であり、最大消費電力(瞬間的に消費する最大電力)ではないことに留意。
高性能PC 平均消費電力 300W/時
東京電力 第2段階単価 26.49円/kWh
東京電力 燃料費調整額 10.25円/kWh
東京電力 再エネ賦課金 3.45円/kWh
使用時間10時間
続いて、Colab Pro/Pro+の月額料金(2023年5月現在)は以下の通り。
Colab Pro 月額1,179円
Colab Pro+ 月額5,767円
続いて、費用を比較してみましょう。
高性能PCの平均電気代は以下の通り。
[ 費用算出式 ]
月当たりの消費電力=(300W×10時間×31日)
= 93000W
= 93kWh
月当たりの電気代=(26.49×93)+(10.25×93)+(3.45×93)
≒ 3738円
高性能PCは10時間毎日稼働すると、約3,800円ものコストが発生していることになります。
対して、Colab Proは月額1,179円、Pro+は月額5,767円となるので、コストパフォーマンスを見ても、Colab Proが圧倒的に有利です。
選定する指標#2「制限・制約」
やはり、制限・制約なく生成サイクルを回したいですよね。
私が二番目に重要視しているのが、制限と制約です。
やはりクラウドサービスでは、利用規約の変更やサービス継続性はもちろん、クラウドサービスの一番のネックが、モデルデータ等の大容量ファイルのアップロードです。
クラウドサービスによって制限は異なりますが、大容量ファイルを保管するGoogle Driveの容量制限がネックになります。
そこを享受できるのであれば、指標#1も鑑みて間違いなくColab Proが安定です。
但し、一切の制限なく生成したいのであれば、やはり電気代は嵩みますが、高性能PCという選択肢しかありません。
まとめ
コストは「Colab Pro < 高性能PC < Colab Pro+」
制限・制約は一切の制限を受けたくないのであれば「高性能PC」
ということになります。
おわりに
今回は、SD環境へスマホ上から外出先で操作する方法の基礎知識編をお伝えしました!
Colab Pro、予想以上にコストパフォーマンスが優秀ですね。
色々な制約がクラウドサービスにはありますが、クラウドサービス上に構築できれば、スマホからでもアクセスができます。
Colab上への構築方法については、色んな方がブログ等で発信している為、割愛します。
これでいいかも!という人は、是非Colab上へ構築してみては如何でしょうか。
そんな中で、ニッチな構築方法である「起動バッチに[ --listen ]を付与し、イントラネット環境にVPN経由でHTTP接続する」を次回ご紹介します!
参考にする人はいるんだろうか…w
公開しました! → WebUIをスマホ上から外出先で操作する方法(構築編)
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