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Sports Analyst Meetup#08でLTしました(題材:無観客試合におけるホームアドバンテージ)

Sports Analyst Meetupとは?

プロ・アマ・現場・アカデミア問わず,スポーツのデータ分析(スポーツアナリティクス)に関心のある有志で集まって情報交換をしよう,という素敵なイベントです.2019年2月に第1回が開催されたのち今回で早くも8回目.私は第2回,第4回にLT登壇し,今回が3回目のLT登壇です.テーマは「無観客試合におけるホームアドバンテージ」としました.

本日J1マッチデーということもあり,ある意味での正装で参加しました.通販開始時間に出張で網走駅の待合室におり,そこから注文したのが懐かしいです.

発表スライドはspeakerdeckで公開済です.この記事冒頭に示したものです.発表の骨子は以下です.詳細は資料内をご覧ください.

・スポーツにおけるホームアドバンテージは確実に存在する

・けれども,その要因を突き止めるのは難しい.

・観客の影響(Crowd effects)が主要因と,特にファンの間では信じられている.

・COVID-19影響下で無観客試合が多数開催されている→この結果がホームアドバンテージの理解に使えないだろうか?

・分析手法(割愛)

・欧州5大リーグ(のうち,シーズンを中止した仏を除く4か国)を対象.そのうち2か国でホームアドバンテージが観客の有無で有意差が認められた.

たくさん質問もいただき,ありがとうございました.時間の都合でお答えできないものもあり,後で何とかできればな,とは思っております.

この研究に限らないのですが,大体素人が思いつきそうな要因はすでにサーベイペーパーで50以上の文献リストとともにまとめられています.この論文自体はたったの3ページ,かつオープン(無料)なので,概要を把握するには最適そうです.

昨今の社会状況を密接した興味深いテーマだと思うので,8月末あたりでシーズンが終わる各国の試合結果を反映させ,もう少し網羅的な研究成果にできるといいな,と思っております.これから先行研究調査の旅へと向かいます….#この段階が研究で一番苦手なんですよね…重要なのはわかっているんですが.

アウトテイク

ここからは時間の都合で割愛した部分です.

異常なホームアドバンテージ

横軸に1シーズンの試合数,縦軸にホームチームの(勝率)-(敗率)を取った図です.

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試合数が少ないときに勝率差がばらけるのはまぁわかるのですが,400試合近く行われているのにホームの勝率差(勝率ではない!)が0.7あるヤバい国があり,集計ミスを疑いました.が,元データを確認してみたら合っている.その国はナイジェリアで,「アウェーチームの勝率が最高の年でもやっと10%程度である」というとんでもない状況.Gurdianに記事がありました(が,長くて僕は読んでいません…).世界は広い…

マイルドな日本のホームアドバンテージ

それに対し,Jリーグは世界的に見てもホームアドバンテージが弱いリーグです.上手を拡大したものを掲載しますが,赤丸がJリーグです.

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欧州5大リーグでの勝率差はおよそ0.2であるのに対し,Jリーグは大きくても0.15程度,年によってはマイナス(!)です.

試合数が2種類あるのは,数年間導入された2ステージ制が(元データの都合で)2シーズンと解釈されているからです(この辺のデータの名寄せは今後の課題).1ステージが1回戦総当たりでホームアウェーが不均一な日程だったことも影響しているのか,ここでホームアドバンテージがマイナスの年があります.

以前バスケットボールでも調べたことがあり,その時も日本はホームアドバンテージが小さいリーグでした(これはプロバスケの設立から間もない,という事情もありそうです)


国内の均一性とか,交通網の発展だとか,このあたりを説明できると面白そう(ですが,難しそう)ですね.

得失点比と勝率

横軸に得失点比,縦軸に勝率差を取ってグラフを描いてみました.

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・得失点比が1=勝率差0

・得失点比が大きくなる→勝率が連続かつ単調増加に1に近づく

という,言われてみれば「そうなってないとおかしいよね」という性質が満たされています.これはEloレーティングなどで,レーティングと予測勝率を結びつけるモデルとしてロジスティック回帰曲線(シグモイド関数)を想定することや,一部スポーツで発見的知識として用いられているピタゴラス勝率の一般化とも解釈できます.(脱線しますが,ピタゴラス勝率の指数は競技ごとに調整されるべきで,当然サッカー(得点が少ない)とバスケットボール(得点が多い)では得失点比と勝率の関係は異なります).

ということで,アウトテイクはこのあたりで.今後は「あの人の話飽きたね…」と思われないような内容とLT間隔で #spoana に関われればな,と思います.SNS(Twitter)でもぼちぼち出没していますので,そちらでもぜひ.

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