見出し画像

ついさっき終わった東京オリンピックの開会式。見直さずに感想を書きます。

東京オリンピックの開会式

ついさっき終わった東京オリンピックの開会式。見直さずに感想を書きます。

これまでの開会式でありがちだったのは、開催国の歴史文化紹介でしたが、今回は大幅に削られていました(「江戸の火消し」と「歌舞伎」くらいでしたっけ?)。その代わり、「2021年の今、スポーツ・アスリートが置かれている状況」「2021年の今大規模スポーツイベントを開催するということはどういうことか?」に演出の大部分が割かれていました。まぁ、これまでみたいな過剰な祝祭感を出すわけにも行かないですし、この状況で過去の偉人・文豪とか出来事を復習されてもね・・・という気もしますし。


その中で僕が受け取ったメッセージは、「いま直面する困難に打ち勝ちたいけど、オリンピックは良くも悪くもスポーツのイベントでしかなく、何に貢献できるかはわからんがしかしながらスポーツの力は信じてるぜ!」というもの。


比較としているのが(うろ覚えですが)アテネ五輪の開会式で、途中「戦争などの困難に対しても、人類は叡智を持って克服してきた」みたいな描写があった記憶があります。ギリシャは哲学や文化の蓄積がすごいなー、と感心した記憶があります(2年前にアテネに行ったときもそれは感じました)。


でも昨今の状況は、「昔人類は困難を克服したぜ!」と言っている場合ではなくて、克服すべき困難に今まさに直面しているわけなんですよね。なので「にんげんってすごい(すごかった)よねー」と悠長に言っている場合ではなく、「スポーツ/オリンピックが今まさに困難の克服にどうやって貢献できるのか?」に焦点を当てるのは妥当な判断だと思いました。徹頭徹尾「今」に焦点が当たっていたのはこれまでのオリンピックの開会式とは違う印象でした。


そして、アップデートとして紹介されたのが、ピクトグラムだったのには膝を打ちました。それだ!

前回の東京オリンピックで導入され、その後明確に社会に貢献して浸透している(浸透しすぎていてオリンピック由来であると知られてないくらい)ピクトグラムは「オリンピックの遺産」なんですよね。オリンピックの遺産としてスポーツに閉じてしまう内容を持ってこなかったのは脱帽しました。

そしてその見せ方と役割も素晴らしかった。見せ方としては、本来現実の抽象として作成された(作成手順も簡単にアニメーションで紹介されていた)ピクトグラムを、現実世界の人間の着ぐるみで表現し、かつ大半をスタジアムでの生パフォーマンスで披露する、というのは頓智が効いていてよかったですね。

役割としては、かなり膨れ上がった競技数を開会式で全て紹介するカタログとして絶妙に機能していたと思います。ここで近代五種から始まったのもオリンピックのなんたるかを非常に深く理解していることが感じられて、こちらも良かった。

また、こういったイベントは最新技術のショーケースとしての機能も期待されるわけです。地上の演出はプロジェクションマッピングで統一されてしまい差が出にくくなってしまいました。あと、客席を巻き込むような演出も今回は難しく、全体のトーンとしても抑えめだったので派手な技術の入れどころが難しかったように見えました。そんな中特筆すべきはドローンによる3Dディスプレイ(と呼んで良いのかな?)でした。エンブレムから地球儀のスムースな隊列移動は今時だなぁ、と。また、テレビではほとんど拾われていなかったのですが、アニメピクトグラムもドローン隊が空中に生成していたようで、そっちも合わせた映像をきっちりと観たいものです。


オリンピックは記録映画が作成されるはずなので、そこで開会式がどういった形で収録されるのかも楽しみです(記録映画を見るとは言っていない(苦笑))。

いいなと思ったら応援しよう!