データ・ボール―アナリストは野球をどう変えたのか― を読みました.
(2024年9月読了)
Numberなどで名前をお見掛けするスポーツライターの広尾晃さんの新書.記録に着目した記事が多い印象を持っていました.
概要や宣伝画像に「アナリスト」「トラックマン」「スポーツデータ関連ビジネス」などの単語が並んでいて,あまり深く考えずに電子版を購入.
序盤は今プロ野球の現場で働いているアナリストやそこで採用されている計測システムの紹介が淡々と(良い意味で)示されていきます.野球のデータ活用というと「マネー・ボール」や,それに続く一連の書籍を思い起こしますが,アメリカのそれらはかなりドキュメンタリー風味が強く,一本のストーリーとして映画的に読ませる意図があるのとは対照的です.事実を提示するだけなら本書のスタンスがいいですね.測定機器(システム)ごとの違いを比べているのもありがたい(触ったことが無いと,どれがどの原理を使っているのかよくわからないので…)
それで,うっかり「マネー・ボール」的な展開,つまり特定球団のデータ活用によるサクセスストーリー,を連想していたところ,後半はスコアブックから始まるデータ記録の歴史.正直こういった内容を想像していなかったので良い意味で驚きがあり非常に興味深かったです.
とにかく野球のデータについて,その記録・計測と活用の歴史と現状をまとめた,資料としても素晴らしい一冊.発行直後に見つけて読めてよかったです.
小ネタ:野球専用の数表があるのは,言われてみれば当然ですが,面白かった.数表って何年生まれまで通じますかね?(筆者の年代がギリギリ最後かと思っています)