見出し画像

ラグビーワールドカップ2019をランキングポイントから予測する試み(20190909追記).

開幕直前世界ランキングに基づく予測(20190909追記)

開幕(9月20日)前最新の世界ランキングが現地9月9日(月曜日)に発表されました.それに基づくワールドカップの予測です.予測手法の詳細は以下の本文および本文内で言及した文献をお読みください.

プールステージ

プールAでは日本とスコットランドの2位争いが伯仲するとの予測です.以降プールB,C,およびDの勝点予測です.

トーナメント展望

ニュージーランドはランキング1位の座こそ明け渡しましたが,組み合わせの妙などもあり優勝候補の筆頭との予測です.その後アイルランド,イングランド,ウェールズ,南アフリカまでが優勝予測10%以上です.

日本はプール2位以上,決勝トーナメント(ベスト8)進出を目標としていますが,その確率は0.504という予測です.ホームアドバンテージに加え,試合日程(特にスコットランド戦は日本が中7日に対しスコットランドは中3日で対戦)の後押しもあり,この予測です.

本大会,楽しみですね!

概要

・ラグビーの世界ランキングと試合結果(得失点差)の相関を調べてみたら非常に強かった.

・なので,予測モデルを作り,9月開幕のラグビーワールドカップ2019の予測をしてみよう.

・日本はどんな評価なのかな?

という記事です.大筋は以下のスライド(8月30日の研究会で発表予定です.8月24日のSpoana#4からちょっと内容が増えています)と同じでして,それらのさらにダイジェスト版と思ってください.

ラグビーにおける世界ランキングと結果の関係

ラグビー代表チームの公式ランキングは,対戦前のお互いのランキングポイント差(=実力差)と実際の試合結果に基づき,一方からもう一方へポイントが移動する方式(ポイント交換法式)です.大雑把に言うと,以下です.

・勝つ確率が高いと評価されたチームが実際に勝つ→負けたチームから勝ったチームへ,ちょっとだけランキングポイントが移動する.

・勝つ確率が低いと評価されたチームが実際に勝つ→負けたチームから勝ったチームへ,たくさんランキングポイントが移動する.

世界ランキングは2003年のワールドカップ直前に導入されているので,過去4大会の開幕時のランキングポイントと実際の試合結果を集計してみました.

横軸がランキングポイント差,縦軸が得失点差です.赤丸は日本の結果です.相関は何と0.87(!)と非常につよい.予測精度(ランキングが高いほうが勝つ)も0.86とこちらも非常に高いです.「ラグビーって対戦チームで結果がなんとなくわかっちゃうからなー」とお思いのあなた,(幸か不幸か)それは間違っていません.

(余談ですが,上図で,勝利した(得失点差が正)の中でランキングポイント差が最もマイナス(-13.09)なのが日本の試合です.そうですね,あの2015年大会の南アフリカ戦です.ランキングポイントが実力を適切に評価できているので,「番狂わせランキング」も適切に評価できています.)

予測モデルを作ろう!

過去の結果から,どうやらランキングポイント差から勝率を説明することができそうだぞ,と思えます.実際は勝点が必要なので,各試合のトライ数(4トライ以上で勝点+1のボーナスがある)も調べます.

そして,試合間隔も結果に影響しそうだぞ,ということでこれを予測に組み込みます.具体的には以下の簡単な仮定を入れます.

・試合直後には疲れきってしまう=ランキングポイントが0相当になる.

・一次遅れ系でランキングポイントが回復する.回復の時定数は過去の予測精度が最良になるように選ぶ.→時定数は約1日で,3日で約95%回復.

・そして,(体力の回復を反映させた)ランキングポイント差と勝点の関係をロジットモデルで同定する.

とすると,予測モデルの出来上がりです.じゃん.

横軸はランキングポイント差,縦方向の長さが各勝点となる予測確率です.これでランキングポイント差から試合結果の簡易なシミュレーションが可能になりました.

細かいことは良いから予測結果を見せて欲しい!

細かいことは良いから早く予測を,と著者自身も思いますので,各プールの予測勝点,およびトーナメント全体の展望の順に示します.ランキングポイントは8月19日時点のものです.公式ランキングの定義に基づき,日本にはホームアドバンテージ+3点が含まれています.開幕までにまだまだテストマッチが予定されているので,その結果でも公式ランキングが更新されることに注意してください.

ではどうぞ.

プールA.何と日本が2番手の評価です(!)

プールB.ニュージーランドが本命.ナミビアとカナダのどっちが1勝するかにも注目.

プールC.一番の混戦.アルゼンチンは2007開幕戦で開催国フランスに勝つという金星を挙げているので,それの再現なるか.

プールD.初のランキング1位に躍り出たウェールズが本命.

そしてトーナメント全体の展望です.

横方向の棒の長さは確率,国名のあとの数値はランキングポイント(ホームアドバンテージを含む)です.優勝はニュージーランドに加えてウェールズ,アイルランド,イングランドあたりまでで争われそう.

そして日本は初のベスト8進出を目指していますが,なんと予測は80%(!).ちょっと強気すぎて書いている私が何かおどおどしてきてしまってるんですが・・・(苦笑).(私ではなくランキングがこう言っているのです・・・と逃げ道を用意しておいて・・・)

ちょっとインタラクティブ版も作りました.

以下のサイトではちょっとだけ(マウスオーバーで数値が出る程度に)インタラクティブな版も作りました.あとデータの見せ方がちょっと違います.

何はともあれ,Enjoy RWC2019!

追記(20190827予測更新)

8月26日付ランキングでの予測結果です.

9月6日に,日本(77.21+3.00)は南アフリカ(86.83)と,スコットランド(79.87)はジョージア(77.42)と対戦し,ランキングポイントが入れ替わる可能性があります.

いいなと思ったら応援しよう!