「パズルで解く世界の言語:言語学オリンピックへの招待」を全問解き終わりました!
(2024年8月読了)
いやー、充実感!達成感!!
「国際言語学オリンピック」をご存知でしょうか?私も結構最近知ったんですが、中高生を対象とした科学オリンピック(これ以外には数学オリンピックなどが有名)の一つで、言語を分析する能力を競う大会です。
「言語を分析する」?? そうです。英語やドイツ語がうまく喋れるかどうか、ではなく、(未知の)言語の構造を分析して文法や単語の意味をうまく推測する能力を競うんです。問題は原則問題文のみで解けるようにできていて、知識の有利不利が少なくなるよう利用者が少ない言語が採用されることが多いようです。
利用者の少なさの極め付けとして、人工言語(シャレイア語)が問題に採用されたことでも話題となりました。
日本言語学オリンピックは過去問も公開されていて数年前からちょろちょろと眺めていたんですが、いかんせんちょいと敷居が高い。そんな折、昨年なんとより解きやすく再編集された問題集が出版されました。それがこの本「パズルで解く世界の言語:言語学オリンピックへの招待」です。
本書では51言語から難易度が異なる問題が出題されています。想定解答時間が短いものでは3分、長いもので30分とされていますが、自分はもうちょっと長くかけたような気がします。
画像はある問題を解いているノートです。カナダ北部の数万人が使っているイヌクティトゥット語からの出題。知らない文字とその発音の組からそれぞれの文字の発音の規則を推測する問題です。わかるわけないじゃん!とお思いでしょうが、卓越した問題作成のおかげでこれが解けるんですよねー。自分は特に未知の文字が好きなので、かなり気に入っている一問です。
2023年の年末に買ってから少しずつ解き進め、今日最終問題まで到達!時間をかけて粘ったおかげで正解率は90%程度はあったと思います。充実感!
ただ興味があるからやっているだけなので効用みたいなものを語るのは野暮な気もするんですが、本業(研究・教育)にも良い影響があるように思います。
言語の主目的は現実の描写と伝達なので、目の前で起こっている現実には共通点が多いんですよね。でも異なる言語がたくさんある。何が違うかというと、現実のどの部分・どの関係を表現するか・しないかの違いなんですよね。複数の言語を知っていくと、現実の描写方法の多彩さや、母語だけでは気づかない分節方法に気づけるわけです。もうちょい広げるとプログラミング言語も実体(データ)に対する処理をどう表現するか?という問題意識で作られているので、いくつか発想が異なる言語を知っておくことで新しい言語の習得が早くなる効果がありそうです。
日本言語学オリンピックは学術系オリンピックとしては珍しくオープン枠(学生以外の参加)があるので、今年はどうしようかな…。でも過去問はこの本よりもうちょっと難しいんですよね…。
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