EURO2020の予測がうまくいったようです.(コンペ結果報告)
皆様ご存じかとは思いますが,EURO2020はイタリアの優勝で幕を下ろしました.
私はこの大会の統計的予測を行っており,途中経過をいくつか報告しています.優勝・準優勝の予測は外しましたが(私の予測はイングランド-ベルギー),勝ち上がりの予測は結構いい感じでした.
EURO2020の予測振り返りです.#spoana
— konakalab (小中研究室/名城大) (@konakalab) July 12, 2021
(1/n)https://t.co/stU9cdu3vL
予測というと精度(予測正解率)が注目されますが,それだけではなく較正値(優位評価のチームが実際どれくらい勝ったのか)も重要だよ,と主張した評価もしています.
全51試合に対し,予測上位チームの勝/分/負の確率の合計は32.2/9.1/9.7であり,実際の33/8/10と非常に近い値でした.したがってこの大会は過去4年間の結果から予測される実力が適切に再現された大会であったことが分かります.(3/n)
— konakalab (小中研究室/名城大) (@konakalab) July 12, 2021
定量的勝敗予測では予測正解数(率)が着目されますが,それと同じくらい較正値(予測勝率の合計と実勝利数の比)が重要です.予測勝率が0.6の10試合の予測が全部当たった場合,それは予測が良いことを示さず,逆に0.6という予測確率がチームの実力を過小評価していることを示します.(4/n)
— konakalab (小中研究室/名城大) (@konakalab) July 12, 2021
EURO2020では予測勝率と実際の勝敗がかなりばっちり一致しており,「ここ4年間の結果から予測されるのに近い程度の番狂わせがあった(特に番狂わせが多くも少なくもない)」と評価できます.
予測コンペへの参加
開幕前にTwitterで見かけたコンペに予測を提出してみました.ここからはその報告です.
Announcing the Euro 2020 Sophisticated Prediction Contest. How good is your probabilistic forecast? Can it beat Elo, FIFA, TransferMarkt and other models? Download the spreadsheet here and email it back to me before kickoff of the first match: https://t.co/XkiKsgoq5l
— Futbolmetrix (@Futbolmetrix1) June 3, 2021
Futbolmetrixさんは今回知ったんですが,ブログを読むと過去の大会でも継続してコンペを開催(予測を調査・募集)されていたようです.予測の形式は「全チームの各ラウンドでの敗退確率を計算する」というものでした.私も同形式で計算できていたのでそれを使いました.スポーツ報道サイトなどで確率を公開していても優勝確率くらいまでが多いので,ここまで算出しているとそれだけでも結構手が込んでる,という感じです.わざわざそこまでやる理由もないのかもしれませんが.
私の予測手法では全チームの実力評価と全試合の予測勝率が計算できるので,トーナメント予測も可能です.
Prediction of the final standings of #EURO2020 pic.twitter.com/KaaQ9JgdnK
— konakalab (小中研究室/名城大) (@konakalab) June 5, 2021
コンペには統計的予測だけではなく,人間の知識と直感に基づくものも参加していたようです.Goldman-Sachs, The Analyst, SAP Sports One, DTAI Sports Analyticsなど,シンクタンクや研究所が公開している定量予測も収集されていました.
結果報告
どうやら現実が私の予測シナリオに近づいてくれたようで,予測性能が1位だったようです.やったぜ.
And here are the final standings of the #Euro2020 SophCon: Congrats to Eiji Konaka @konakalab! pic.twitter.com/kVHYLsReU0
— Futbolmetrix (@Futbolmetrix1) July 12, 2021
Futbolmetrixさんが私の予測を結構詳細に分析してくれました.ありがたや.
イタリア,デンマーク,フランスの決勝トーナメントの結果や,スロバキア,ロシア,トルコあたりのグループステージ敗退確率の算出で良い結果が得られた,と分析していただきました.
個人的には,前の試合結果に強く依存する決勝トーナメントではなく,グループステージやR16の時点で予測結果が良かったことがうれしかったですね.実力の順序付けと定量化がうまくいっていた証拠です.
次はオリンピックの一部種目の予測ですね.現在鋭意作成中です!