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#空想世界コンピ vol.2 主催ライナーノーツ【Disc1】

おはこなばんわ~ こな a.k.a. ふくたらうです。
noteとしては久々となりますね。(3年ぶり?え?
私が何者なのかというのは過去のnoteを見ると書いてはあるのですが、現在は本業の傍ら、個人サークル〈ナナとのプロジェクト〉にて創作企画『ナナコと歌のキャンバス』『空想世界コンピ』を企画・運営しております。

さて、タイトルにもある通り、本記事はM3-2024春にて頒布しました『空想世界コンピvol.2 Magia Electronics』の主催ライナーノーツです。
え?空想世界コンピvol.1のは?と思われる方もいるでしょう…….本当は前回のvol1も書きたかったのですが、当時は時間が取れず断念してしまいました……許してくれ……
ご要望があれば、あれば、順番は前後しますが書こうかなと思います。だれかご要望して。(他力本願)


今回は『空想世界コンピvol.2 Magia Electronics』【Disc1】に収録されている楽曲の感想、制作時・編集時のエピソードなどを交えながら語っていきます。
本作はサイバーパンク&スチームパンクがテーマとしてありつつ、架空の魔科学都市〈メトロマギア〉に存在する数々のスポットをイメージした楽曲を収録しています。各エリアごとに特色が変わっていくのもまた一つ面白いところなので、購入いただいた方はその辺りも是非お楽しみ頂けると幸いです。

そして、書きながら改めて全曲聞いていたのですが……濃い。めちゃくちゃ濃い。
皆さんの創作に対する熱量もそうですし、楽曲も多彩で1曲1曲に独特の色がある。クロスフェードで伝わっている魅力はたぶん、良くて2割くらいだろうなと悔しく感じるくらいなので、もしこれをたまたま読んでいてまだ購入してない方はこちらから↓
Booth : https://konadrop.booth.pm/items/5703605

また、当サークルの企画及び作品は、すべて同じ世界観を共有しており、今回の『空想世界コンピvol.2』でも同じです。
なので、今回のコンピに関係する世界観設定などはサークルHP等で多少知っているという前提でコメントさせて頂いていますので、まだ見ていないよという方は是非HPをご覧ください。
https://www.7tono-project.com/world

↓↓↓↓↓↓前置きは以上!それではどうぞ!↓↓↓↓↓↓



- ジグラート (part1) -

01.conspiracy under the council / theVoidword

ジグラートの1番目、もとい、コンピvol.2の1曲目に選んだのがこの曲。
(他のジグラートの曲はDisc2に収録しています)
今回のテーマがサイバーパンク&スチームパンクなので、「1曲目はまずサイバーパンクを感じさせる楽曲が良いなぁ~」と、最初にいくつか候補を挙げました。ランドマークの並び順にもこだわりたかったので、あまり的外れな順番にならないということも条件にしたとき、メトロマギアの象徴的建物でもあるジグラートをテーマにした曲でもあり、サイバーチックで少しダークなテイストが入ったVoidwordさんの楽曲がビタッとハマりました。
特にイントロのかっこよさが半端じゃないんですよ。これはクロスフェードにはあえて入れてないので、購入頂いた方の”特権”としてお楽しみいただきたいのですが、本当に出だしからぶっちぎります。なんていうんですかね、このサイレンみたいなシンセ音。個人的に某ゲームを連想して、その時点から「ぁああサイバーぁああ」となりました。
からのどぅーーん。どぅーーーん。
はい、こんなの1曲目に決まってるじゃん。

妖艶なコーラス、唸るベース。ダークでありながら高貴さも感じるサウンドが一気にサイバー沼に誘います。

そして、後半2分20秒からの展開が超ヤバイ(語彙力)。ここでさらにぐっと心を掴まれました。
構成としてはシンプルめでありながらクオリティも解像度も高い1曲。ブックレットでは最後のほうに作者ライナーノーツもあるので、読んで頂くとさらに浸れると思います。ありがとうございます。


- アルタークロス駅 -

02.世界が交わる場所 / sirone

1曲目にサイバーパンクを置いたら、次はスチームパンクでしょう。
ということで、いったんジグラートの曲は取っておいて、ここからアルタークロス駅の楽曲が続きます。アルタークロス駅はメトロマギアの玄関口なので、曲順としては早い場所に入れたいなという事は考えていました。

そんなアルタークロス駅の1番目がsironeさんの壮大で繊細なオーケストラ。これは初見で「あ、これ始めに流そう」と決めたくらい世界観に引き込まれた楽曲です。
タラタラタラ……とピアノが流れて、だんだんと視界が開けるようなイントロ。一旦静かになったかと思えば、ブワッと盛り上がる、かと思えばまだ焦らしーのからのさらなる展開。ステキな躍動感。
鉄道駅らしい効果音的要素も入れて頂きつつ、程よいファンタジー感が、コンピのテーマをより一層深いものにしてくれています。楽曲内の変化がダイナミックで、世界の広がりを感じさせる素敵なオーケストレーションです。
3分8秒のストリングスが刻みだすところとか、蒸気機関車の駆動をイメージさせて本当に豊かな”映像美”を体験できるでしょう。

あと、単純に曲名が素敵ですよね。まさにアルタークロス駅を表すにふさわしいタイトルだと思います。ありがとうございます。

03.Crossing Gateway / xion kohinata

だーだっだっだっだだっだっだーっだーーー!!(ぶらすのおと)
いやぁ、いい、ビッグバンド……..
sironeさんの楽曲から打って変わって、よりスチームパンクらしさが際立つ名曲ではないでしょうか。スパイものが似合いそうなサウンドがちょっぴりロンドンっぽくもあり。
というのも、今回のテーマはサイバーパンク&スチームパンクなのですが、可能であればテイストとして〈ロンドン〉要素を入れて欲しいというのを参加者の皆様にはお願いしておりました。ビッグバンド自体はアメリカ発祥ではありますが、日本ではアニメの影響もあってなんとなくヨーロピアンなイメージも強い印象です。(←個人の感想です)

ともあれ、様々な人が行き交う交通の拠点らしいドタバタ感や喧騒感を、無駄なく満遍なく表現しているあたりが非常にテクニカルだなぁと感じました。イントロでちゃっかりシンセ音とかも、世界観を意識してこだわって頂いているのだと感じます。
あとは何より、前半のブラスとピアノの掛け合いが非常にすきぃです。こんなんどうやったら作れるん……??
あと個人的に好きなのが1分19秒のビブラスラップ。いいセンスだ……

04.静かなる喧騒 / Litsar.

さて、アルタークロス駅最後の1曲がこちら。前2曲とも華やかな楽曲でしたが、曲名にもある通りゆったりとしたサウンドが一旦のメリハリを付けてくれます。アルタークロス駅の楽曲群は、時間軸で言うと朝⇒昼⇒夜のイメージで曲順構成したつもりなのですが、Lister.さんのアプローチはぼくには思いつかない一手だったので、たまたまそういう並びになった感じ。。こういう偶然の産物もコンピの醍醐味と言えます。

この曲は、イギリス民謡をフレーズに取り入れるなど実験的な試みもして頂いてまして、駅の発着メロディとも感じさせる面白い1曲です。
ご本人曰く「民謡の「スカボローフェア」と「アニーローリー」のフレーズを引用しています。」とのことでしたが、皆さん気付いたかしら?
オルゴールの音を上手く使用してレトロメカニックな雰囲気も出しつつ、霧や蒸気が漂うようなパッド音が印象的。
実際のところ、メトロマギアではどんな構内アナウンスが流れているんでしょうかね……そういうところも想像が膨らんでいきます。

"静かなる”喧騒という捻りも知的で素敵ですよね。うるさくはないけど、無音でもない感じ。言われてみると確かにそういう雰囲気を感じることある気がする。。。


- ダウンタウン - メガスクエア-

05.Black Alley / 最うし

ダウンタウンと聞くと、雑多、小汚い感じ、色んなものが密集してる、けど味や奥深さがある、っていうイメージを個人的には思い浮かべるのですが、この楽曲は全部網羅しちゃってます。欲張りセットです。「ダウンタウンはこういう場所ですよ」というのをすごく的確に表現してくださっていて、解釈一致が素晴らしいです。ありがとうございます。

何処か取り留めのないサックスのメロディが一番耳に残ると思うのですが、アドリブチックなサウンドはなかなかハードルが高いんですよね。アドリブをアドリブらしく聞かせるテクニックみたいなところはやはり技術がいると思うのですが、非常に絶妙な具合だなと思いました。
1分10秒辺りにたらららーらーらーとメロディが盛り上がるところがやっぱ好きですね。
他にも、気怠さを感じさせるエレピ…….忙しなさを感じるグリッチピアノ……などなど、楽器ごとの特色も生かしつつ巧みに世界を表現している感じがたまらなく良い。もしメトロマギアがゲームとかで登場したら、フィールドBGMとしてずっと流したいですね。(ゲーム脳)
個人的に、40秒あたりからぴよぴよ鳴っている木管っぽいシンセ?音がサイバー味がしてとても好物です。ごちそうさまでした。

06.Behind the Scenes Called MegaSquare / Rist feat.鈴木デコ

最うしさんがばっちり世界観を構築してくれたこともあり、次のRistさんの楽曲に込められたナラティブ的な展開がよりドラマチックに引き立てられている気がします。両者打ち合わせたわけではないはず(はず)なのですが、物凄く良い分担と塩梅で制作くださったなと思いました。

メガスクエアは、ダウンタウンの中心地みたいなところで、高層ビルも立ち並んでおり、そこには様々な社会が形成されています。そしてその中には、表に出てこないような裏の顔もあり……という、より具体的な”詳細部分”に迫るような1曲ではないかと思います。
ダウンタウン自体はただの街ではあるので、そこからこんなに壮大な曲が生まれるとは思ってなかったのが正直なところ。Ristさんの空想力には感服ですね。

ちょくちょく入るシンセ音がしっかり世界観をかたどりつつ、闇の部分を描くようなダークなオーケストレーション。そしてこの、ボーカルですよ。鈴木デコさん、デコ姐さん、強いですね…….この声質がまた裏の世界って感じがして相性ピッタリなのですよね。個人的な好みだと、1分14秒のメロディが下がるところの響きが妖艶な感じがして非常に痺れます。
皆さんもこういうボーカルが欲しかったらデコ姐さんにお願いしましょう。僕もお願いします。

ちなみに、エンディングの終わり方が好物過ぎて好きです。
現場からは以上です。ありがとうございます。


- ヒガシ ネオンストリート -

07.Small Greenhouse Park / a1426p

こういう音楽ってなんというジャンルなんでしょう?環境音楽……?ノイズミュージック……?そこは無知で申し訳ない限り。。。
a1426pさんのサウンドはとても前衛的に感じるのですが、(vol1の時もそうだったのですが)他の方には絶対に出せない世界を提案してくれるんです。

この楽曲、所々に入るちょっとした効果音が非常にナイス。
「あ、こんな音が鳴ったからきっとこういう場所なんだ」
という妄想がメチャクチャ楽しいんですよ。
ただの音楽ではなく、いま、その場所に自分が立っていると思って聞くと、様々な発見があるとても面白い楽曲。
決まったメロディがあるわけでもないし、印象的なリフがあるわけでもないのですが、提示される世界はものすごく壮大だなと感じますし、聞く人によっても見る世界が変わりそうですね。

ぼくの本職がサウンドデザイナーなのもあり、こうした完全に効果音的なアプローチは物凄く刺さりました。52秒くらいからのふぉ~んっていう浮遊感のあるシンセ音が何を表現しているんだろうとすごく気になっています(

08.Synaptic net dive / Epic Vanguard feat.Lilie Mehara

Epic Vanguardさんの本領発揮といったところでしょうか!サイバーファンタジーというジャンルにおいてはまさに最強の一角だと思います。respect☆

ヒガシネオンストリートは文字通り極"東"地域=日本を意識したランドマークですが、サイバーパンクあるあるな〈仮想ネットワーク〉であったり〈ニンジャ要素〉であったりをテキスト・歌詞込みで作り込んでくださいました。ベタな設定で攻めて下さることも非常にありがたいことで、共通認識として理解を深められるし、そこから新しいものへ繋ぐことも出来るのですよね。

それで、ガチの英語ボーカル(ばりかっこいい)とガチのエレクトロサウンド(ばりかっこいい)。まさにテーマにピッタリで、今回のコンピ全体をグッと引き締めてくれる、ばりかっこいい1曲です。はい。ネットワークにダイブしてからの攻防が歌に乗せて描かれていくのですが、のっけから想像が膨らみまくるわけです。物語に沿った楽曲展開にも注目したいですね。
「~, Dive to live」の「らぁいぶ⤵」って下がるところがSo Cool…..
1分55秒からのリフパートもずっと聞いていたいくらい好みです。
ありがとうございます。

09.白刃の雨 / MischiefEve

ニンジャときたら、カタナ!サムライやろ!ということで勢いのままに続くのがこちらの楽曲。
テーマ的には似ているのですが、先ほどのシンセサウンドとは違いハードロックなゴリゴリギターサウンドというのが、いぶし銀的な深みを出してくれています。タイトル通りひたすら五月雨の如く、ギターという名の刃が降り注ぐ圧巻のサウンド。フレーズもこれまた渋くて大人の色気みたいなものを感じますね.......

ギターサウンドって、特にその人の生き様だったり個性や感性が強く表れると勝手に思っているのですが、MischiefEveさんの楽曲は”ワビサビ”という言葉がピッタリなくらい味のある素敵なサウンドを奏でてくれます。
今回の日本をテーマにした雰囲気と相性抜群で、無口で無骨なサイバー時代のサムライ像みたいなものがはっきりと浮かぶのが凄いですね。バックのコーラスも妖艶な感じを漂わせていて良い感じなのです。

24秒からの疾走感溢れるパートがどちゃくそかっこ良くて、8小節目でデーンって下がるのがめちゃ好き。(音楽理論なんもわからん)
ワウギターがいい雰囲気を醸し出しています。
ありがたきありがたき。


- レジスタンスレスト -

10.Quantum Alliance / こだきんP

ハードシンセの音がメチャクチャかっこいいですよね。機材を上手く使って独特の世界観を生み出している、なかなか攻めた1曲です。要所要所でいろんな音色が入ってくるんですが、どれも良いアクセントになってて、全て必要不可欠なピースとして機能してる感じ。1分28秒から盛り上がり、1分44秒でフワァアアンって響くFXがたまらない…….
あと1分辺りからのギターがかっちょいいのです…….惚れた……
そして、2分23秒からなんとボーカルが入ってくるんですが、ちょっとエスニックな感じがするのですよ。この雰囲気は超好き。ガラッと雰囲気が変わりミステリアスさが強調されて、不思議な気分になりますね。
と、挙げだすときりがないくらい推しポイントが多彩であります。

音色的には90~00年代のアニメ・ゲームを彷彿とさせるのですが、その時代のサイバーアニメの雰囲気もありながら、何かと"ちょっと古いもの"がフィーチャーされがちなサイバーパンクの世界と相性抜群で、程よいレトロ感こそが”らしさ”に繋がっている気がします。

「レジスタンスの隠れ家」というイメージを、サイバー要素をしっかりと交えながらここまで昇華させて表現してくださるとは。脱帽です。

11.R2 -Resistance Resilience- / むとーこー

こだきんPさんとはまた違う方向性ではありますが、ストレートに”サイバーパンク”している楽曲でこれもまた良いです。どことなく某SFアニメを想起するフレーズはリスペクトを感じるのと同時に、今回のジャンル的にも影響力が凄いなと思いました。コンピ制作時にぼくが一次創作で参考にしている作品を皆さんに共有しているのも要因かもですが、「サイバーパンクと言えば」な要素として、他に参考にされている方も多数いました。

楽曲のベースとしては〈隠れ家〉的雰囲気でぶち上げる感じではないですが、全体の重心の重たさやコード進行、音色の面で、レジスタンスの強い意志や活気、あるいは士気を高めてくれそうな力強い印象があります。そこがまさしく〈回復力〉と呼べるのではないかなと思いました。

30秒くらいからポポポポっていうシンセリフとか、特に1分35秒くらいからのハープかな?のグリッサンドとか、細かーいところに強いサイバーっぽさを感じられるテクニシャンな楽曲、とても良いです。
ありがとうございます。


- スクラップステージ -

12.The Call of DegraBABEL / みゅーまん

スクラップステージ勢は本当に解像度が高く3曲とも素敵なのですが、みゅーまんさんの楽曲は特に制作中から異彩を放っていました。(弊コンピではDiscordで進捗を共有しているのですが、何度も制作状況を共有してくださり、大変力を入れて制作されていることを感じました。感謝です。)

機械が歌うかのようなメロディ、何となくとんちきなリズム、作り込まれた世界観と奇天烈なサウンドがまさしく空想世界コンピらしい楽曲と言えます。13秒くらいからぽわぽわみゃぁー(?)って言ってる猫みたいなボイスがとても、好き(ただの猫好き)。1分20秒くらいから入る鍵盤ハーモニカっぽい音とか、2分22秒からのボコーダーサウンドとか、バリエーション豊かな音色も印象的ですね。聴いていて楽しい!

ぼくが提示する世界観はあくまで”枠”の部分が強く"中身"に言及することは少ないのですが、この楽曲はスクラップステージの"中身"こそを存分に強化してくれているのも推しポイント。ブックレット2P分を使った盛りだくさんのフレーバーも是非堪能して欲しいです。感謝。

13.pile of scrap / hidekazu

スクラップステージのフィールド曲としては、hidekazuさんの楽曲がドンピシャです。軸となるベースがとても良い雰囲気を出していて、スクラップステージの陰の部分を的確に捉えられていますし、そこにスクラップ感たっぷりのリズム隊が乗っかってくることで、こちらは”枠”としての音楽が完成されているなと感じました。途中のドローンやFXもしっかり味が効いててかっこいい。しかして大きな変化は付けない、あくまでバックグラウンドミュージックに徹するスタンスが素敵ですね。

そんなスクラップステージのテーマ曲ともいえる楽曲をあえて2番目にしたのは、他2曲がかなり濃い中身なので、その橋渡し的な存在として世界観を語るのがバランス良く感じたためです。
あと、ゲームだとこういうステージって自力で行くというよりは、何かのイベントで流れ着いたパターンが多い気がするのです。その時、大体施設や建物の中がスタートからのフィールドという流れになると思うので、意外とこの順番が妥当なんじゃないかなと。(完全にゲーム脳)

ちなみに、hidekazuさんにはアニメPVの楽曲も制作して頂きましたので、この場を頂戴して宣伝もしておきます↓
https://youtu.be/sYXy31KHqBg?si=wP3RaCvAhr6l32xE

14.Crash / ソウキ

ということで3番目がこちら。より機械・スクラップに焦点を当てて、しかもそこの機械人間たちをバンドメンバーにしてしまうという素晴らしい発想。空想のキャラクターがいて、そのキャラクターが歌って演奏しているという、アイデア一つでメチャクチャ面白い1曲になるのもこのコンピの醍醐味ですね。(詳細はブックレットで見てね)

スクラッチやグリッチサウンド満載のイントロがもうカッコいいし、パンクなギターも効いて凄く良い世界観になっています。こういうテイストの楽曲はM3では割と珍しい気がしますね。(コンピやって良かった!
特に2分あたりからのギターソロ部分が良き。2000年代アニソンとかメチャクチャ好きな世代に刺さりそうなフレーズ。ぼくもそうです。
ドラムの音もちょっとガラクタっぽさを出しているのが忠実に感じますし、全体のサウンドにこだわりを感じるのがイイッ!ですね。
1分19秒くらいからの2番のアレンジがメチャアツ…….

そういえば、この曲の歌詞はブックレットには載っていません。設定として”難解な歌詞”らしいので、考察好きな方は解読してみてください(丸投げ


- ジャンスキーブレイク -

15.キライ・ライ・パレード! / 冬木 実弦

Disc1のラストを飾るのがジャンスキーブレイクの楽曲群。
ここは〈ならず者たちの巣窟〉という設定なので、さぞいかつい曲が集まるだろうなーと思っていたところに……
変化球が飛んできました。
そう来るか!という驚きが一番強かったのがこの曲ですね。しかも歌もの!
だけど1番目にしちゃいました。
正直ぶっちゃけると、ラストを締めるなら”圧が強い曲”がいいなということでジャンスキーブレイクを持ってきたのがあるので、その目的達成は他の曲に任せて、この曲はジャンスキーブレイクという場所の入り口部分、とっかかりとして持ってこようという意図です。

こう書くと「テーマと的外れなのか?」と思われるかもですが、ところがどっこい。歌詞やブックレットを読んでいくと、ここに込められたストーリーや背景が浮かび上がってきて、むしろジャンスキーブレイクの”生々しさ”を一番強く感じるくらいです。ブラス&ピアノのアンサンブルがオシャレな曲ですが、その煌びやかさの裏には影があって、そんな影にも人生や夢があって、決して悪ばかりではない……と、ぼく自身の"ならず者"のイメージも新しく広がっていきました。だからこそ、光と闇が見え隠れする”入口”の曲としてピッタリだなと思ったわけです。

空想世界コンピはその人の空想や妄想を第一にするコンピ。
だからこそこういう変化球は大変美味しく頂きました。
ありがとうございます。

16.Incognito / eksoka

さて、そんなジャンスキーブレイク、奥に行けば行くほど闇も深くなる。そんなイメージで持ってきたのがこの曲。
Incognitoは「正体を隠した」とか「未知の」というイタリア語由来の言葉(らしい)ですが、まさに深奥に潜む何かを連想させる楽曲ですね。多くを語らずとも何を表現したいのかがスッと入ってくる良い世界観を表現できているなと感じます。ギャング?マフィア?怪物?それとも…….?

ドゥッドゥッドゥッドゥッ……と、非常にキャッチーなイントロから、容赦なく繰り出されるバチバチなダブステップ(あってる?)、途中途中に混ざる和&アラビアンなエスニックサウンドが魔法的なアプローチとも取れて超イケてるし、何よりMIXバランスがメチャクチャ綺麗。綺麗すぎません?
こういうジャンルには明るくはないですが、サウンドのクオリティだけでいえばハイクラスな作品ではないでしょうか。
いかついシンセの面的な音圧と、民族楽器の線的な奥行きが非常に良いバランスで絡み合っているのが最高に良いですね。
2分26秒の一回溜めてからいくところとかセンスが光っていてぼくはとても好きです。
ありがとうございます。

17.The New Order / 夏木わく

Disc1のトリを飾るのが夏木わくさんの曲。
前回から参加して頂いてて懇意にしてくださっているのもあり、Disc1のトリに選ばせていただきました……!!

ジャンスキーブレイクの締めの1曲でもありますが、同時にジャンスキーブレイクの世界観をさらに拡張してくれる曲でもあります。
〈メトロマギア〉は名前の通りメトロ+マギア(マジック)=魔科学都市、つまり魔法が存在する世界なので、それに付随して魔物というのがいたり、魔法犯罪も勿論あったり。そこに着目して制作してくださったのがテキストからも読み取ることが出来て、企画を作った身としては結構嬉しいところです。ありがとうございます。

メチャクチャカッコいいEDM風味なのですが、途中で「わくさんと言えば」なピアノソロが入ったりと、オシャレな一面も垣間見せる非常にテクニカルなサウンドメイク。
30秒あたりのコード進行ばりキレイ。。。
EDMパートの構築の仕方が少しZedd味を感じます。(大好き)
勢力同士のせめぎ合いやドラマティックなストーリー展開などを想起させる部分もあり、コンピ前半のラストを飾るとしても良いテーマに仕上がっているなと、改めて感じました。
まさしく「darkside」な厳ついシンセと、サイバー全振りなリフ。
ボーカルの使い方もメチャクチャかっこいい。さいこう!


今回はここまで!
【Disc2】のライナーノーツは次のnoteで書きます。
お楽しみに~~~~~~~~


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