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「今日の今」3月1日:空き家問題への挑戦——新たな一歩を踏み出す
「空き家問題」。この言葉を聞いて、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか?
最近では、地方だけでなく都市部でも増え続ける空き家が社会問題として注目されています。私自身、2016年から2年間、副市長として福井県大野市のまちづくりに携わる中で、空き家対策の難しさを痛感しました。防災・防犯、景観、相続など、さまざまな要素が絡み合い、行政の手だけでは解決できない現実があったからです。
それから数年が経ち、私は「夢と誇りのある社会づくり研究所」や「CWP」などの活動、金沢大学での観光まちづくり研究などを通じて、地域の課題に向き合ってきました。そして、この度、新たな挑戦として、「一般社団法人 空き家対策イニシアティブ」を立ち上げました。
👉 詳しくは福井新聞D刊の記事をご覧ください
🔗 福井新聞D刊:「空き家対策、垣根越えて…福井の有志3人が団体設立」
空き家問題は「誰かの課題」ではなく「みんなの課題」
1月に団体を設立し、今日はその初めてのセミナーを開催しました。会場となったのは、福井市の「ぼくらのビル」。ここ自体も、かつての空き店舗をリノベーションした拠点です。地域の方々と意見を交わしながら、「空き家問題をどう解決するか?」を改めて考える機会となりました。
セミナーで交わされた議論
今回のセミナーでは、行政関係者、不動産関係者、地域住民など、様々な立場の方々に参加いただき、意見を交わしました。
🔹 行政の立場からの視点
「空き家対策を進めるために調査をしたいが、どの建物が空き家か判別するだけでも難しい」
「農業、衛生、防災など、政策分野ごとに空き家の実質的な位置づけが異なり、一つの定義でまとめ切れるものではない」
こうした意見がありました。行政としても、空き家をまず網羅的に把握することが困難であり、さらに適切に管理・活用するには膨大な調整が必要であることが課題となっています。
🔹 民間の視点からの声
「自分も空き家を所有しているが、文化財的な価値があり、簡単に手放すのが惜しい。でもどう活用すればいいのかわからない」
「空き家を有効活用したいが、相談すべき論点が複雑でどこに問い合わせるべきか分からない」
こうした声が聞かれ、改めて「個別の相談に総合的に対応し、伴走する仕組みが必要」だと感じました。
私たちが目指す「伴走型の空き家対策」
こうした議論を踏まえ、空き家対策イニシアティブでは、以下の点を重視していきます。
✅ 空き家を抱える方の悩みに寄り添い、相談窓口としての役割を担う
✅ まちづくりの視点から、空き家を活用する可能性を提案する
✅ 行政・民間・地域住民と連携し、現実的な解決策を模索する
また、今回のセミナーでは、「若い世代に空き家問題をどう伝えるか」も議題となりました。
学校が近い立地を生かし、今後は学生向けにキャリア教育の一環として「まちと空き家の未来」を考えるプログラムを作るなどもいいかなと思っています。
空き家問題は「まちづくり」そのもの
空き家問題は、単なる建物の管理の話ではなく、その地域でどんな未来を描くかという「まちづくり」そのものです。
私たちの団体が、この問題に取り組むプラットフォームとなることで、多様な知見を持ち寄り、新しい解決策を生み出していきたいと思っています。
今後も、定期的にセミナーを開催し、皆さんと一緒に考え、動いていきます。
興味のある方は、ぜひ一度、話を聞きに来てください!