2018.7.26

今日の終わりに。

　今日も良い日だったと思う。
　何より朝から調子が良かった。
　いつもは電車を降りてから10分ほど歩く通勤路で、暑さにバテて大変なのに、今日は6分で職場の冷房に当たれた。

　朝イチの仕事は、なかなかなクオリティになったと思う。
　上司のあの満足そうな顔。
　先週の意見をまとめておいてよかった。

　昼前のミーティングは、用意していた資料と意見がうまく皆に伝わった。
　お陰でやりたいことが、またひとつ出来るようになった。

　昼休みは上司に捕まり、好きじゃないタバコの臭いを嗅ぎながら昼飯。
　少しテンションが下がったところで、事務室にはあの子からの差し入れがあった。
　昨日までの連休で、京都に出かけたのだという。
　天の川をモチーフにした羊羹。ものすごく甘くて、渋めのお茶が欲しくなった。
　でも、あの子が嬉しそうに京都の暑さや祇園祭のことを話してくれたことが、何より甘くて幸せだった。

　午後は資料の作成。
　目標にしていたところまで出来たので、一度先輩に見てもらう。
　いいんじゃない。僕のキャリアモデルである先輩の言葉は、午後の間ずっと頭に残る。

　15時からまたミーティング。
　同僚の企画をフォローすることになる。
　正直苦手なタイプだと思ってたけど、話し合えば意思疎通できることがわかった。

　夕方、また上司に捕まる。
　今度は喫煙所ではなく、自動販売機に誘われた。
　なんの理由も無い、そう言いながらコーヒーを奢ってくれた。
　口の中がまだ甘かったので、助かる。

　定時近くで、日報を書く。
　が、同僚から書類作成のフォローを頼まれて中断。
　ごめんごめんと言われながら、数字を追いかけた。

　帰りの電車を待つホームでは、あの子が向かいのホームにいた。
　手を振るべきか迷っていると、向こうから手を振ってくれた。
　まもなく来た向こう側の電車に、あの子は見えなくなってしまった。

　今日の終わりに、僕は、世界の終わりをちょっとだけ望む。