発達障害日記1107(イモリが逃げた日)

・ウチには2匹のイモリがいる・・・いたんです。

 ウチには2匹、イモリがいたんです。もう過去形。1匹、水槽から脱走してしまった。
 とてもよくあるケースなんですってね。イモリの脱走。んで、その結果というのが、ほとんどが「乾いて死んじゃう」だそうで。
 家中、家具をひっくり返して探したけど、見つからなかった。
 辛いし、切ないし、すごく悲しい。

・ビックリするほど、寂しくて悲しい。

 そう、自分でも意外なほどに悲しい。
 元々、イモリを飼おうと言ったのはこどもだった。ペットが欲しいと言っていて、犬や猫はダメな賃貸だから、鳴かないペットならねって言ったら「イモリ」って。
 案の定、世話をするのは100%わたしになった。最初は正直、おなか面を見ると背筋がザワっとするくらいには苦手だった。でも、一年半もすれば、手の上に乗せて遊ぶようになるんだから人間変わるもんだ。
 ホームセンターで買った2匹のうち、1匹は慎重派で固形エサも食べない。1匹は好奇心旺盛でなんでも食べるし外にも出たがった。こっちのコは、水槽に手を入れると手の上に乗ってきた。慎重派のコよりちょっと小さくて、細めで、目がクリクリしていて、テーブルの上に乗せると元気いっぱいに歩き出して落ちそうになったりしていた。イモリに個性があるなんて思わなかった。好奇心が旺盛なイモリだ。
 その好奇心で、ある日水槽の外に出て行ってしまった。

・できれば外の世界を見てほしいな。戻ってきてなんて言わないから、せめて。

 本当に家中ひっくり返したけど見つからなくて、これはなんかのタイミングで外に出たんじゃないかなあと思っている。
 家のどこかで干からびている可能性もまだある。ビックリするようなところで。
 でも、本当にめちゃくちゃ探してもいなかったので、あのコの好奇心で外の世界を見て楽しんでる、というふうに思いたい。願いとしても。
 戻ってこなくて構わない。あの元気な行動力で、外の世界に適応して生きていると思いたい。
 でも、
 初めて、手の上に乗ってきた時の、小さな手がチクチク動くあの感じ。かわいいなあ。かわいかったなあ。
 本当は、あのクリクリしたお目目で、ヒョッコリ戻ってきてくれないかなあなんて思っている。本当はそう。だって30年生きるって聞いたのに。ずっといると思ってたのに。
 まさか43歳にもなって、イモリがいなくなって泣くとは思わなかった。でも、すごく悲しい。元気で、楽しんでいて欲しい。クリクリ目のかわいいマリン。キミが最後の一瞬まで楽しんで生を終えるよう祈っている。
 

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