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【読書記録】辻村深月『闇祓』

あらすじ

転校生の白石要は、不思議な男子だった。優等生の澪は、クラスに馴染めない要に気を遣いおそるおそる話しかけたが、要のリアクションは「今日、家に行ってもいい?」だった。この転校生は普通じゃない。身の危険を感じた澪は、憧れの先輩、神原一太に助けを求めるがーー。学校で、社会で、団地で、人の心を乱し悪意を振りまく人たちがいる。それは「闇ハラ」かもしれない。満を持して解き放つ、初の本格ホラーミステリ長編!

感想

「え、怖いっ……!」
「待って、そういうこと?」
「はぁ……面白すぎる!!!」


私がこの小説を読んだ時の心の動きは、こんな感じ。

辻村さん初の、本格ホラーミステリ長編ということで、どんなに恐ろしい物語が待っているのだろう、と思いながら読み進めていた。

第1章で、想像を優に超えてくる恐怖を味わい、一旦本を閉じてしまう。
映像ではなく、言葉で人をこんなにも恐怖の世界へと誘えてしまうのか…、と。
第2章、第3章と読み進め、「どこがどうつながっていくの…?」と、頭の中はハテナとドキドキでいっぱい。
第4章で、「もしや……」と思い始めてからは、もう止まらなかった。

昨今、テレビでも様々なハラスメントが取り上げられている。
パワハラ、カスハラ、マタハラ、など。
ホワハラ、なんていうのもあるらしい。
「そんなことがハラスメントって言われてしまうなら、もうコミュニケーション取れないよ…」と挫けてしまうようなものもちらほら。

そんな中、辻村さんがこの物語のテーマとした「闇ハラ=闇ハラスメント」。
読了後は、この「闇ハラ」がフィクションだとは思えなくなる。
明日にでもニュースに出てくるのではないか、とさえ思ってしまう。
そのくらいリアルだ。

ただ怖いだけではない。
現実味を帯びているからこその恐怖が、この物語にはあるのだ。

登場人物たちの言動が、簡単に脳内で再生できてしまう。
まるで、かつて自分が経験したことがあるかのように。

はー、すごい。すごすぎる。
すごいという言葉しか出てこない自分の語彙力が恨めしいが、とにかくすごい。
これは、ホラーが好きでもそうでなくても、ぜひ一気に読み進めてもらいたい作品だ。

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