【読書記録】瀬尾まいこ『図書館の神様』
あらすじ
思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに"私"は文芸部の顧問になった。……「垣内君って、どうして文芸部なの?」「文学が好きだからです」「まさか」!……清く正しくまっすぐな青春を送ってきた"私"には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。
感想
「共通点が多い」と、読み始めてすぐ思った。
バレーボール部出身、やっぱり運動部は厳しくなきゃ!という精神、高校教員で担当科目は国語、でも文学大好きかと言われるとそうでもない…(読書は好きだけれど)。
そんなこんなで、自分のことのように読み進めていった。
清の真っ直ぐさが好きだ。
清の考えは正しいと思うし、欠けているところがないから、彼女の主張は誰からも責められる筋合いはない。
でも、清の弟・拓実が言うように正しいことが全てじゃない。
世の中は、正しさだけでは成り立たないこともたくさんある。
垣内君との出会いを通じて徐々に物の見方が変わっていく清。
単純に考えれば、生徒が教員を変えた、という構図である。
しかし、生徒と教員というのは、その時々の肩書きにしか過ぎず、結局のところ、どちらも1人の人間である。
つまり、人と人との関わりの中で、清は変わっていったのだ。
教員という仕事は、物事を教える仕事である。
しかし、実際は生徒から学ぶことが本当に多い。
教員という立場に甘んじていてはいけないな、と事あるごとに感じさせられる。
だから私は、生徒と接する際、彼らを1人の対等な人だと思ってこれまで過ごしてきた。
そのおかげで得られた信頼関係も少なくないように思う。
読みやすい瀬尾さんの文章。
シンプルで柔らかい文体であるが、心に鋭くグッと入り込んでくるものがある。
職場復帰する前に再読したいな、と思った。