日々の疑問が事業の新たな柱に?
1.そのちょっとした疑問が発明の着想になる
「もう少し効率的に業務を進めることができないか?」
「なぜいつまでも手作業で行っているのだろう?」
「手作業だとミスが多い。ミスを減らせないか?」
「もっと合理的な方法はないか?」
等々、日々の業務においてちょっとした疑問(不満?)を抱くことがあるのではないでしょうか?
その疑問を持った瞬間、実は、発明の入口に立っています。なぜならば、「疑問」は「(解決すべき)課題」に直結しているためであり、その「課題」を認識することこそが発明の「着想」だからです。
つまり、疑問を持った瞬間、発明の「着想」が得られている、ということになります。
2.着想を具体化することで発明が創出される
発明は得た着想を具体化すること、つまり、「課題」をどのようにすれば解決できるのか、特に「課題」を「技術的な手段」でどのようにして解決すればよいのかを具体化することで創出されます。
まず、「疑問」を持ったということは、どうにかしたいという「課題」を持っていることに等しいと言えます。
そして、その「課題」を「技術的な課題」に落とし込み、どのような「技術的手段」を用いればその課題を解決できるかを明らかにした時、「発明」は創り出されています。もちろん、実際に使えるようにするためにはいろいろと試行錯誤が必要なことがほとんどです。
しかし、特許法における発明は「技術的思想」、いわば「技術的なアイデア」なので(※1)、『課題&課題を解決する技術的手段』を明らかにすることで、たとえ現物がなくても特許になる可能性を秘めた発明が生まれる、ということになります。
※1 特許法2条1項には「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定義されています。
3.発明の活かし方
とある企業さんは、これまである業務を手作業で行ってきたためミスが多く、ミスを減らすためのチェック・確認の時間が必要で、そのために従業員の勤務時間が長くなりがちだったという「課題」を抱えていました。
そこで、その業務を合理化するため、業務の流れを明確にすると共に一部をシステム化しました。
その結果、手作業に起因したミスをなくすことに成功しただけでなく、確認作業が減って従業員の労働時間を短縮できたことにより働きやすい労働環境の実現にも結びついたそうです。
更に、そのシステムをパッケージ化し、協力企業を介してシステムを販売すると共にシステムの保守を新たな事業として展開しています。
ここでシステムについて特許を取得しておけば、第三者にシステムを真似される恐れがなく、システム販売及びその保守を事業展開できることになります。
4.疑問が新たな収益源になる?
このように、日々の業務における疑問や不満を、ある意味、大事にし、どうにかして解決できないか?を考えることが、後々、新たな事業の柱(収益源)になることもあります。
ただ、一人で悶々と考えるだけではついつい後回しになりがち。
そのため、疑問や不満をどうにか解決できないかについて周囲の人を巻き込んでコミュニケーションすることが必要になると思います。
by 今 智司
※今回の記事は今知的財産事務所のコラムからの転載です。
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