氷、蛾、思考
カラン
と氷が鳴る。
ひとつ、腑に落ちた。
ああ。
そうかそうか、つまり
きみは、おまえは、わたしは、
そういうやつなんだな。
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馴染みのあるフレーズ、
なんとも70年近く国語の教科書に乗り続ける名作。
「そうか、そうか、」「そうかそうか、」
句読点の位置で印象変わる。
文学のおもしろいところ。
さてはて原作はどっちだったか。
そんなこともよぎる。
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何年も付き合い続けて
何年も考え続けて
未だ答えはでない。
きっとその時その時で
己を納得させる理由なんて変わってくる。
他人にも自分にも、自然にも。
諦めざるを得ない。
そうかそうかと。
そういうやつなのかと。
理由もよく分からないけど、
きっと、たぶん、つまりは、そういうことでしょ。
はっきりとしない、
抽象に抽象を重ね、形ばかりの納得を。
答えはある、出てこないだけ。
気づいていても、気づかないだけ。
考えて、考えた結果、考えることを放棄した。
いや、もしも口に出してしまったら、
不躾だ、やめよう。
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それでは来月も。