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不真面目読書感想文#5~L・キャロル『不思議の国のアリス』編~
はじめまして。小娘です。今回は、L・キャロル『不思議の国のアリス』について、感想を雑に書いていきたいと思います。書きたかったので!
タイトルに銘打った通り、こちら不真面目でございます故、「何言ってんだこいつ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ただの感想ですのでね。どうぞ生温かい目で見守ってくださいまし。ではゆこう。
すごく雑なあらすじ
姉さんと土手の上に座っていたアリス。白兎がいるなあ~って思ったら、それがチョッキを着て時計を持っているもんだから、まあびっくり。追いかけて巣穴に飛び込んだら、長い長い落下の果て、そこにはおかしな世界が待っていてだね…とおなじみの始まり方
あふれ出る感想
ディズニー作品ですっかりおなじみとなった本作品。やはり原作は一味違いましたよ~。まあ、アニメーションのほうをちゃんと覚えているわけではないのですが。
可愛くてちょっぴりシニカル!
はい、主人公アリスですね。可愛らしい女の子のイメージはその通りなのですが、想像よりもちょっぴり皮肉屋な印象を受けました。まあ、子どもなので皮肉屋というのもどうかと思うのですが。
そうですね、皮肉屋というよりも、子どもらしい負けん気の強さを持っている、と形容するくらいがいいかもしれません。
例えば、クラスメイトのことを思い出して、「あの子はお馬鹿さんだから私はあの子にはなりたくない」とのたまう。あるいは、子どもが扱うには少し難しい単語を知っていることですぐ鼻を高くしたり。
これが大人だったら、ちとくだらないプライドだなあとこちらが辟易させられるような感じですね。けれどもアリスは子どもですし、可愛らしく映るのが憎いところ。憎くはない。冗談さ。
で、アリスの何が可愛いって(可愛いというか可哀想なのですが)、支離滅裂な不思議の国の住人にやりこめられちゃうところなんですね。
彼女、これまた負けん気が働いて、結構住人たちに食って掛かるのですが、その度にしっかり返り討ちに遭うのです。反論の余地がなくなっちゃったり、単に黙らされたりして、泣きたくなっちゃうこともしばしば。
この後触れますが、この住人たちのナンセンス具合、本当に理不尽でして。それに頑張って立ち向かう(と言っても過言ではないでしょう)アリスの姿は、ある種、子どもが大人の輪の中に入ろうとするときにも似ています。
ああ、ひょっとしたら、理屈でできていると誰もが考える私たちの世界も、まったく「意味」というものが役に立っていないのかも、と思ったりね。
ナンセンス!
アリス含め、このお話に出てくるキャラクターたちの会話は、まったく意味をなしていません。それがさも意味のあるように見せかけられているので、読者としてはわざわざ立ち止まるまでもないのですが。
このナンセンスな会話には、その先の真理などというものは存在していないようです。そう、だから皮肉という言葉がぴったりこないのですね。そうだ、そういうことです、ええ。キャロルはワイルドではない。
ですから、読者はこの世界の住人になってしまうことが求められるのです。そうでないと、つまり、実世界と同様に意味を探そうとしてしまうと、とてもついていけない。読んでいられないんじゃないでしょうか。
でも考えちゃうよ~という方は、アリスを見習ってくださいまし。動物が話したって、ちっとも驚きやしないのですから。
魅力的なエンディング!
終わりに入るのが、アリスのお姉さんが物思いに耽る場面です。夢から目を覚ましたアリスが、不思議の国のことをお姉さんに語って聞かせた後ですね。
聞いた話のことを考えながら目を閉じると、お姉さんまで不思議の国にいるような気分になった、と。もちろん、目を開ければ「つまらない現実」に戻ってしまうこともわかっている、とな。
良いじゃないですか!小さい頃、想像したことはありませんか?トイストーリーよろしく、目を離した隙に人形が動き出すところを。動物たちが人の言葉を話すところを。私たち、そういう心、忘れてません?
お姉さんはね、アリスが大人になってもそういう心を失わず、子どもたちと一緒になって「不思議」に思いを巡らせるだろう、と考えるのです。童心って冷笑されがちですけれども、そういう気持ちを忘れるな、というメッセージがこのお話にある気がしてなりませんよ、私は。
で?
成熟した子どもたれ。大人になるとは、子どもをやめるということではない。
といったところでいかがでしょう。くたびれて文字が読めぬ者たちよ、意味を持たないこの本なら、読んでみたって良いんじゃない?
おわりに
こんなところでしょうか。
余談ですが、私が本作を手に取る気になったのは、新潮文庫さんが百周年(違うかも!)とかで、カバーが特別なものになっていたからです。一緒にケストナーの『飛ぶ教室』も購入しました。デザインがお洒落でとっても素敵なんです。
L・キャロル『不思議の国のアリス』!少しでも、ほんの少しでも魅力が伝わっていたら良いな!?ぜひ一度、手に取ってみてくださいまし!
では、これにて。