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航空機の仕組みを口述する:レシプロエンジンを動かす

航空機のエンジンは大まかに、レシプロエンジンとターボファンエンジンに分けられます。レシプロエンジンは主に小型機に、ターボファンエンジンは中型機や大型旅客機のエンジンに使用されます。ここでは操縦技能証明の実地試験に用いられる小型機によく搭載されているレシプロエンジンについて、その仕組みを考えてみましょう。

〇レシプロエンジンのデザイン
〇レシプロエンジンの冷却方式
〇燃料の噴射方式
〇燃料過給機(ターボチャージャー)
〇航空機用レシプロエンジンの発火方式

レシプロエンジンのデザインは、シリンダー内部で燃料を燃焼させ、そのエネルギーをピストン運動で取り出し、クランクを使って回転運動に変換させるのが基本です。シリンダーの数は対向型エンジンでは4基、6基、8基、12基など偶数が通常です。が、第二次大戦中に開発された戦闘機では、シリンダーが星型に奇数配置されたデザインも実用化されました。例えば中島式九六式艦上戦闘機には、星型9気筒エンジンが搭載されました。

In a reciprocating engine, fuel is burned inside the cylinders, and the energy is extracted through piston movement, then converted into rotational movement via a crank. The number of cylinders is usually even for opposed engines, such as four, six, eight and twelve. However, during the Second World War, star-configuration designs with an odd number of cylinders were also put into practice, such as the Nakajima's Kotobuki engine, which had nine cylinders, installed on the 96-type carrier-based fighter.

レシプロエンジンの冷却方式は、その多くは空冷式です。星型エンジンは、各シリンダーに均等に冷気が当たるので、シリンダー内部温度も比較的均一化します。他方、対向型エンジンは吸気孔に面したシリンダーが冷える一方、奥にあるシリンダーさほど冷えないため、シリンダー間で内部温度差が生じます。それを克服するために水冷式エンジンが導入されたこともあります。一例として、スピットファイアーに搭載されたロールスロイス社V12エンジンなどで採用されました。但し水冷エンジンは大型化、複雑化するのが一般的で、同じ性能であれば軽量小型な設計が望ましいことは言うまでもありません。

Many reciprocating engines are air-cooled. The star engine equalizes the air cooling to each cylinder, resulting in a relatively uniform internal temperature. On the other hand, the opposed engine causes an internal temperature difference between cylinders as the cylinders facing the intake port are cooler than those in the rear. To overcome this, water-cooled engines were introduced, such as the Rolls-Royce V12 engine installed in the Spitfire. However, water-cooled engines are generally larger and more complex, so it goes without saying that lighter and smaller designs are preferred for the same performance.

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