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ICAO航空英語能力証明:二次(実技)試験の準備

二次(実地)試験の実施方法は、試験問題が公開されていないため、最近の受験者から状況を尋ねるしかなことは、前回お伝えしました。しかし、国土交通省が実施する試験様式は、大きく変わることはないでしょう。

他方評価項目については、毎回ICAOの試験要綱に準拠していることは確かですが、一番の問題点は各項目についてのスコアが発表されないため、どれが悪かったのか受験者に知らされないことです。最も低いスコアのレベルが総合評価となるため、これが分からないと次回の試験へ効率的に備えることが出来ません。

一般的に言えることとして、Level 4に達しない場合はATC特有の英語を含め、英語力全般に補強が必要です。一方、Level 5を目指している方々は語彙、発音、言い回しのいずれかが1つ上のレベルに達していないことが多いものです。Level 6となりますと、殆どの日本人では発音がネックかと思われます。これらは一朝一夕に上達しないため、日常的に英語力を高める努力が必要です。操縦業務中の色んな緊急事態を想定して、自分の意見や経験に基づいてメモ書きし、それを英語を母国語とする人に聞いてもらって、アドバイスを受けるのが効果的です。

採点する試験員については、詳細は分かりません。ICAOが指定する採点員の有資格者であることはほぼ間違いなく、大半はエアマンではない普通の英語教師です。試験会場にはおらず、会場で試験官とのやり取りを録音した音声で評価しています。ですからATCのやり取りはICAOの定めた航空英語で話しているかで評価しますが、それ以外のヒヤリハット・緊急事態などの説明と試験官とのやり取りでは、日常の英会話力を見ています。試験官は日本人で、ベテランのエアマンと思われます。ジャパニーズ・イングリッシュで話されることが多く、受験者の英語表現が稚拙でも理解して頷いてくれるのですが、採点員はより厳しい評価を下すことがある点に留意しましょう。

試験結果は受験後2ヶ月経った月末に郵送されてきます。Level 4以上に達していれば、名刺大の新しい航空英語能力証明が同封されています。その結果に満足出来なければ、次の実技試験へ直ぐ申請したら良いでしょう。一年間に3回は受験出来ます。試験結果を待たずにガンガン場数を踏みたいならば、年6回かそれ以上受けられます。

以前に受けた試験と同じレベルでも、有効期限がLevel 4なら3年、Level 5なら6年先に延長されます。逆に以前の試験結果よりレベルが下がっても、以前の高いレベルは取り消しとならず、有効期限もそのままです。このチャレンジを決着させられるのは、有効期限がないLevel 6に到達した時です。

FAAなど英語が公用語の国で操縦証明を取得すると、手続きすればLevel 4が発給されます。ICAOの航空英語能力証明に準拠した試験を行なっているオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港で発給された英語能力証明は、同レベルのまま日本で書換えが出来ます。

Level 4は航空業務に必要な最低限の英語力なので、決して充分とは言えません。特に国際線や国内の米軍管制空域を往来するエアマンはLevel 5以上を目指しましょう。エアマンにとって英語力は操縦技量に勝るとも劣らない大事な素養なのです。

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