災害時の道路アクセスについて
災害時のアクセス道路として、緊急輸送道路という路線の位置付けがあります。
緊急輸送道路は、地震等の災害時に、発災直後からの避難路や応急活動のため、救急車両や物資輸送車両等の通行を確保すべき路線として位置付けられた道路のことを言います。
緊急輸送道路の指定は、平成7年1月に兵庫県で発生した阪神淡路大震災が契機になりました。
阪神淡路大震災では、被災地域の主要なアクセス道路である阪神高速道路の倒壊や、沿線建築物の倒壊により、主要道路が通行不可となり、通行可能な道路にアクセスが集中し、渋滞が生じました。
人命救助においては、災害発生から72時間で生存率が大きく変化すると言われており、渋滞による到着遅延は、救急活動の大きな妨げとなるため、発災直後の救援ルート確保は、防災上、重要なテーマとなります。
このため、阪神淡路大震災の翌年には、全国の都道府県で緊急輸送道路ネットワーク計画が策定されました。
緊急輸送道路では、大きな地震が発生した場合においても、災害地域へのアクセスを確保するため、橋や沿線住宅等の耐震性能の確保や無電柱化に取り組まれています。
耐震性能の確保と同じく重要となるのは、道路啓開です。
道路啓開は、緊急車両等の通行のため、早急に最低限のガレキ等を寄せて、応急的に車両走行スペースを開けることを言います。
津波被害が甚大だった、平成23年3月の東日本大震災では、くしの歯作戦と呼ばれる、内陸を縦走する道路から沿岸部に向かうアクセスルートを確保する道路啓開が行われました。
また、今年1月に発生した能登半島地震では、もともとのアクセス道路が限られていたこともあり、アクセス道路が土砂崩れなどで寸断され、応急活動に大きな影響が生じました。
道路における防災においては、緊急輸送道路の耐震性能の確保、並びに道路啓開活動、さらには道路寸断時の迂回路や代替手段の事前計画の重要性が、一層、深まってきそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?