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教師人生40年、フルタイムで働く再任用教員の大切にしたいこと

所属/浜松市立開成中学校 岡田先生
取材/浜松学院大学 地域共創学科 3年 穐山

再任用になっても関わり方は変わらない

「再任用教員」とは、定年退職した後、再雇用された教員のことです。フルタイム勤務と短時間勤務を選ぶことができ、任期は1年、最長5年と決められています。私は、教員としてのモチベーションを保ちたいという思いから、これまでと同じフルタイム勤務を選択しました。定年を迎えると再任用教員としてフルタイムか短時間勤務か選択できるようになります。私は、モチベーションを保てるからと、今までと同じ勤務体系を選びました。現役の時と変わらないモチベーションを保ち続けることが大切なことだと思います。現在の担当は国語の教科で、卓球部の副顧問。現役の時に比べて「体力的に大変だな」と感じることもありますよ。しかし、定年を迎えたら急に生徒と関われる機会が失われるのではなく、「現役の時と変わらない生徒との関わりがある」ことが、フルタイムで働く再任用の魅力でもあると思います。そして、年齢を重ねるごとに経験で得たものが生かせる場を与えてもらっていると日々感じることに、再任用教員のやりがいを感じます。

生徒を第一に考えることが変わらない唯一の軸

時代が進むに連れてICTの導入が増えてきたことで、学校の授業内でも生徒一人一人がタブレットを持ち、情報を簡単に手に入れ、共有することが可能になっていますよね。授業の方法が広がったことは確かです。しかしながら、多くの中学生がスマートフォンを持っている時代。トラブルに巻き込んだり、巻き込まれたりしないよう指導することも必要になってきます。SNSの普及により、帰宅後も簡単に友達と繋がれるようになり、「いじめ」に関する課題は形を変えながら続いていると思います。時代の流れによる生徒・保護者の考え方の変化に対応していくことは大変です。ただし、どのような時代になろうとも、変わらない唯一の軸は、教員が生徒を第一に考えなければいけないということ・・・。次の時代を担う若い教員に願うのは、保護者への対応も含めて「この方法・指導が子どものためになるか」を常に念頭において指導をしていってほしいということです。

 卒業後の成長が教師人生の原動力

40年間教師を続けてきて一番嬉しかったことは、私によく怒られていたある生徒が成長して元気に頑張っている姿を知ることができたときですかね。休日に買い物をしていたとき、その教え子が私に気づいて「岡田先生!」と笑顔で声を掛けてきてくれました。成長した大人の姿を見られると嬉しいですね。私が「久しぶりだな、元気か」と声を掛けると、「はい!岡田先生に会えて嬉しいです。岡田先生もお元気ですか?」と答えてくれました。少し照れながらも卒業後の話を嬉しそうに話す姿に「私にたくさん怒られていたこの子がこんなに成長したんだ」と、とても感慨深い気持ちになりました。「卒業後の生徒の成長」は自分の教師人生の原動力です。「今、目の前にいるこの生徒が、10年先、20年先、どのような人になるのだろう」と考えるとわくわくしてきます!

 当たり前の学校生活が今は大切

「人を育てる」・・・これが教師の役目です。職人が弟子に技を教えるのではなく、職場の上司が部下に営業スキルを教えるものでもありません。人生の中で人格を形成する大切な時期に、「人間そのもの」を育てるという、重大な役目を担っていると思っています。これこそが教師という仕事の魅力であり、私はその魅力に惹かれて教師を目指そうと思いました。私自身、現役であろうが、再任用であろうが仕事に対する気持ちに変化があるわけではありません。再任用教員となった今、変わらず生徒たちと語り合い、笑い合い、何気ないことに共に喜び合う。そんな当たり前の学校生活が、自分にとっていかに大切なものか、いかに自分の人生を豊かにしてくれるものなのかを、改めて気付かせてもらえたような気がします。
(写真はすべてイメージ)


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