”実は”忙しい地方議員。
本記事をご覧いただき、ありがとうございます!
元公務員ライターの 稲井 亮介 です!
私のnoteでは、「地方議会」に焦点を当てた記事を配信しています。
「自分とは関係のないもの」「学校で習った記憶があるけどよくわからない」
言い方は悪いですが、議会に対する世間一般のイメージは所詮その程度ではないでしょうか。
でも、それって不思議なことじゃないと思ってます。
自分から知ろうとしないと議会の情報なんて入ってこないですから。
多くの人が議会の知識を持たないのも当然のこと。
じゃあ、そのままでいいのかというと・・・当然 ” NO ” です。
知ろうとしないことがそもそもの問題だと、私は思うのです。
だって・・・
地方議会には、あなたが我慢して収めている税金がたーくさん使われているんですよ?
地方議会には、あなたの生活を変えるだけの大きな力があるんですよ?
良くも悪くも、地方議会はあなた個人とも密接なつながりがあるということです。
なので、私は、
”地方議会というものを、もっともっと知ってもらいたい!”
その一心で今も記事を書いています。
熱くなりすぎて前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「地方議員の仕事」。
地方議員は選挙で選ばれた超重要人物なのですが、具体的に普段なにをしているのか、案外知られていないものです。
それでは、早速、ベールに包まれた地方議員の仕事内容を明らかにしていきましょう!
地方議員って何してるの?
地方議員は「県議会議員」とか「市議会議員」とか呼ばれるあの人たちのこと。
選挙で選ばれたみなさんのリーダーです。(選挙にいきましょう)
みなさんが住む街の未来のために働いてくれる地方議員ですが、普段、何をしているか知ってますか?正直、私も公務員として議会の仕事に携わるまではまったく・・・・。
まず前提として、議員には、一律の休暇制度というものはございません。
なので、行動時間は本人の裁量に任されることになります。
じゃあ遊んでばかりかというと、そうではありません。
地方議員のみなさん、実は、忙しいんですよ。
条例や予算の審議・提案・決定
前回の記事でも、お話させていただきましたが、地方議員の一番大きな仕事は、自治体の予算・条例を決定することです。
首長がつくってきた条例や予算を審議することもありますし、議員自ら提案することもあります。
で、これらの仕事は基本的に議会の会期中に行われます。
地方議会は、6月、9月、12月、3月の年に4回、それぞれ3~4週間にわたって開催されます。
開会中は・・・
首長や自治体職員の幹部、議員が一堂に会する本会議。専門分野に分かれてより具体的な話し合いを行う委員会。などの場で、こういう予算をつくるべきだ!とか、こんな条例はだめだ!とか議論するわけです。
また、「臨時議会」というものも存在します。その名のとおり、緊急を要する話し合いが必要になった際に、臨時的に開催されます。
ここ数年は、コロナ対策で、臨時議会を何度も開かざるを得なかった自治体も少なくないでしょう。予算を作るには、原則として議会の開催が必要になるので。
本議会や委員会が徹夜で行われることだって、意外と珍しくないんですよ。
そう考えると、予算や条例の制定に関する仕事は時間的にも労力的にも、まぁまぁ重たいと思いませんか?
行政の監視
議会は、行政を監視する役割も担っています。
知事や市長が失敗したり、暴走したりするのを防ぐのが一つの仕事というわけです。
***ちょっとだけ脱線***
話はちょっとずれますが、知事や市長、いわゆる首長という人がもつ力はめちゃくちゃでかい。
特に、首長の手足となって働く公務員になるとそのすごさがよくわかります。
あの人たちが何気なく発した一言によって、たくさんの職員が走り回り、執務室に一晩中あかりが灯ることもしばしば。
来客との面会の様子を見ることもあったのですが、どんな大企業の社長であっても、どんな有名な俳優さんでも、首長と面会する際には、最高の敬意を払っていました。
こんなえらいひとだったんだーって、私も、何度思ったことか。年に何回か廊下ですれ違うときなんかは、心臓バクバクしてました。
住民の代表者なので、大きな力をもっているのは当然のことなんですけどね。
***話をもどします***
さて。
小学校でも習ったはずですが、不信任決議といって、議会は首長を失職させることもできます。
首長と議会の対立構造はときどき生じるので、その度に、ニュースになったりしますね。
ただ、ほとんどの自治体は首長と議会の方針が一致している(例えば、首長も議員も自民党系であるとか)ので、不信任決議を突きつけることなんてレアケース。
ですので、議員にとって、行政の監視は大事な役割ですが、実質的にそこまでのウエイトを占めているものではない気がします。
視察
議員にとっては、「視察」も大事な仕事。
現場を知らずして、本当に必要な施策なんて導き出すことはできません。
他県の先行事例や成功例を知らずして、税金を使ってしまうのはあまりに時期尚早です。
知見を養うための「視察」は、やっぱり必要なものなんです。
例えば・・・
公務員として働いていると、議員からの視察要望に対応することもあります。
私も経験があるのですが、まず送られてきたスケジュール表を見ると、予定がビッシリ。
実際に施設見学に同行したときも、熱心に見学されていたのを覚えています。失礼ですが、ちゃんと視察してるんだなーって思ってましたから、当時は。
しかし・・・
視察=旅行=税金の無駄遣い
一部の不誠実な議員によって、このようなイメージがついてしまっているのも事実。
政務活動費というものに、莫大な税金が当てられているにも関わらず、適切に管理されていない、場合によっては不正に使われている・・・残念ながら、これらはよくあることなんです。
次の章では、政務活動費について説明していきます。
政務活動費って?
政務活動費というのは、研修や会議、住民相談、視察などを行う際に使えるお金のこと。
きれいごとに感じるかもしれませんが、さまざまな課題を認識し、効果的な施策を生み出し、自治体のよりよい未来をつくりだすためには、一定の資金を費やした活動も必要なんです。
政務活動費の厳重な管理
ということで、政務活動費はそれなりの金額に。
全国平均でいうと、月額30~40万円といったところでしょうか。(参考:国政情報センター , 政務活動費の概況 , 2019)
なお、これは議員としてのお給料とは別にもらえるお金です。
で、問題は、この大金が何に使われているかっていうところですよね。
時間があれば自治体のホームページを見てみてください。
政務活動費の内訳が公開されていますよ。
「資料購入費」「交通費」「通信費」といったように、何にいくら使っているのかがわかります。
”証拠をみせろ!”という方は、情報開示請求をしてみてください。
領収証まで確認することができます。
実際、今では、政務活動費に対する世間の目はめちゃくちゃ厳しいですからね。
議員さんたちも、政務活動費の管理にはかなり気をつかっていることでしょう。
ただ、政務活動費の管理ってかなりめんどうなのが実情。(大事な税金なので当然っちゃあ当然ですが)
これはセーフ。これはアウト。領収証が必要。報告書も必要。自動車の走行距離も毎回記録。もちろん帳簿の作成も必要。
活動が多岐にわたるのが議員の仕事ですから、その出費も膨大な数・種類になります。
それを厳格なルールのもとで、正確に積み上げていく。
これは大変な作業であることは間違いないです。
聞いた話によると、あまりにも煩雑な作業なので、政務活動費を減らして、報告義務のないお給料を増やそうとする動きもあるとか。
(給料に振り替えるのはどうかと思いますが)こういう事務作業のせいで、大事な政務活動が消極的になってしまうのは問題なわけです。
政務活動×DX
そこで登場するのが、DX。
デジタル化によって業務効率化を図ろうっていう考え方が、ようやく地方議会にも及んできました。
地方の自治体や議会というのは、ミスが許されない分、どうしても柔軟性に欠けるので時間の流れが止まってしまいがち。
支出をエクセルで一つ一つ手打ちして、同じような書類を何時間もかけてつくっている議員もまだまだ多い世界。
ただ、単純な事務作業なんてものは、自動化すべきです。
そのほうが、間違いも少ないですし、なにより、無駄な時間を短縮できる。
つまり、政務活動に専念する時間が増えるってわけです。
もっといえば、システムで自動化してしまえば、人の手による不正な処理を防ぐことだってできます。
今の時代になって、デジタル化の流れを止めることは、さすがに不可能。
政務活動費に関わるバッドニュースが、この世からなくなる日も遠くないかもしれませんね。
まとめ
少しばかり長くなりましたが、結局なにを伝えたかったのかと申しますと・・・
議員って実は意外と忙しい。
政務活動費も怪しいようで大事なもの。
でも、政務活動費の事務処理が煩雑すぎ。
だから、議員の活動にも支障が。
事務処理なんかデジタル化しちゃえばいいのに。
時間と労力に余裕ができて、よりよい政務活動が実現するでしょう!
・・・です!
今回も、長文にお付き合いいただいてありがとうございました!
また、次回もお会いできたら嬉しいなと!