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面接は営業?「自己をPRせよ!」の嘘と真実【公務員試験ゆる面接ch】#8
面接対策の講師をしております、筒井夢人でございます。このアカウントでは、学生や既卒の方を対象に、公務員試験の面接対策について情報発信を行っております。
本日は「面接は営業なのか?」という問いについて、皆さんと考えていきたいと思います。
面接は営業?
よく公務員試験の面接で「面接は営業だ」という言説を聞くことがあります。そこで今回は、この考え方は妥当なのか、そしてそれに関連して「面接でこれだけはやめておきましょう」というエラーについてもご案内したいと思います。それでは早速参りましょう。
まず、「面接は営業なのか?」という問いについて考えてみたいと思います。結論から申し上げますと、もしこの問いにイエスかノーかの二択を迫られたなら、私は躊躇なく「イエス」とお答えします。なぜなら、面接というのはその構造において、営業と非常に似通ったものを持っていると考えているからです。
どういうことかと言いますと、まず営業、あるいは営業職というお仕事について考えてみましょう。極度に単純化すると、営業というのは特定の商品やサービスを誰かに売り込む仕事と定義できそうです。この定義を採用した場合、面接という場はどう考えられるでしょうか。面接も極度に単純化すると、自分自身という商品を自分で売り込む場と考えられます。
つまり、特定の商品を誰かに売り込むという構造においては、営業も面接も全く同一であると言えます。もちろん、面接は自分自身という商品を自分で売り込む、つまり売る商品と売り手が同一であるという特殊性はあります。しかし、特定の商品を誰かに売り込むという構造では、両者は同じであると言えるでしょう。
その意味で最初の問い、「面接は営業なのか?」に対しては、イエスかノーかで言えば明らかに「イエス」と答えるのが妥当だと考えます。
営業されるの好きですか?
さて、そうなると皆さんは「なるほど、面接は営業なのか」と思われるかもしれません。
では、「どんどん自分を売り込まなければいけないのか」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そう考えるのは少し早計です。なぜかと言いますと、「面接は営業なのか」という問いと合わせて、次の問いを考えなければならないからです。それは、「営業されたい人っているのだろうか?」という問いです。
ぜひ皆さん自身に置き換えて考えてみてください。誰かから営業をかけられるのって、お好きですか? おそらく、そういう方はほとんどいらっしゃらないと思います。もしかしたら「私は営業されるのが大好きで、三度の飯より好きです」という奇特な方もいるかもしれませんが、そんな人は百人に一人もいないのではないでしょうか。
つまり、一般的に人は誰かから営業をかけられるのが好きではないのです。これを論証するのは非常に簡単です。どういうことかと言いますと、この世に営業職という仕事が存在すること自体が、人々が営業されるのを嫌がっている証明なのです。
例えば、世の中の人々が営業されるのが大好きだったとしましょう。そうであれば、営業職は必要ないですよね。営業の専門職がいなくても、人々が営業されるのが大好きなら、プロでなくても営業をかけて話を聞いてもらえるはずです。しかし実際はそうではありません。つまり、人々は営業されるのが嫌いなのです。だからこそ、その嫌がる人たちに何とか話を聞いてもらうために、営業職というプロ、エキスパートが必要なのです。
つまり、営業のエキスパートが存在しているという事実自体が、人々が営業されるのを嫌っている証拠なのです。したがって、ここで一つ明らかになりました。面接という場は営業の場であるけれども、同時に人々は営業されるのを好きではない、という事実です。この事実をはっきりと認識しておいていただきたいと思います。
不必要な営業はやめろ
さて、そうなると「結局どうすればいいの?営業した方がいいの?それともやめた方がいいの?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、私がお伝えしたいメッセージは非常にシンプルです。それは、「不必要な営業はやめましょう」ということです。つまり、面接というのは繰り返しになりますが、営業の場ではあります。
ですから、要所要所ではしっかりと自分を営業、つまりPRすることは重要です。わかりやすい例で言えば、自己PRやプレゼンテーション、入庁後に自分の力をどう生かせるか、強みや長所は何かといった部分は、積極的に営業して良いポイントです。しかし、それ以外のところでも不必要に営業をかける方が非常に多いのです。
例えば、自己PRではなく自己紹介を求められているだけなのに、無理に自己PRを入れてくる受験生は少なくありません。さらに、アイスブレイクの場面、つまり「今日の朝食は何を食べましたか?」や「ランチは何を食べましたか?」といった、営業を求めていない何気ない会話においてさえ、
「はい、私は普段から健康管理に気を配っており、特に食生活に配慮しています。具体的には、本日の朝食は白米と、タンパク質と脂質を摂取するために焼き魚と納豆を食べてきました。さらに、食物繊維としてサラダを日々摂取するようにしています。このように私は健康管理に常に気を配っています」
といった回答をしてしまう受験生が意外なほど多いのです。しかし、面接官からすると「そんな営業、今は求めていないんだけどなあ」というのが正直なところでしょう。
もちろん、面接は営業の場ですから、そういったことをして良い場面もあります。しかし、すべての回答で営業するのは、どう考えても間違っていると思います。なぜなら、人は本心では営業されたくないと思っているからです。
ですから、面接が営業の場である以上、営業しても良いのですが、不必要な営業はすべきではないというのが私の結論です。ぜひ皆さん、自分の回答を練り上げる際に、すべてが営業になっていないか、過度に自分を売り込みすぎていないか、その点に注意していただきたいと思います。