【公務員試験】30代での転職 メリット・デメリットや給与水準も解説!
今回の記事では、30代から公務員へ転職する際に考慮すべき点とメリット・デメリット、給与水準、そして難易度を紹介していきます。
民間企業でキャリアを積んだ30代の方々にとって、公務員という新たなキャリアを選ぶことは、一大決心が必要ですが決して遠い夢ではありません。
社会人経験者向けの採用枠が増えている現状を踏まえると、これまでよりも公務員への転職の壁は低くなっています。
ただし、30代で公務員に転職する際にはいくつかの留意点があります。
成功への道を探るには、現実をしっかり把握し、必要な情報を集めることが不可欠です。
30代から公務員への転職に関して、そのメリットとデメリット、給与水準、そして挑戦するにあたっての難易度について、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
年齢制限は事実上ナシ
30代の民間企業勤務者が公務員への道を歩むことは十二分に可能です。
通常、公務員として採用されるための主な方法は、地方自治体などで実施されている公務員試験の民間経験者採用(社会人採用)枠を受験することです。
さらに、多くの自治体では公務員試験の年齢上限を引き上げる動きが加速していて、現在では59歳まで受験が可能な地域が増えています。
これにより、社会人経験者向けの公務員試験は、事実上年齢制限がないと言える状況になっています。
20代・40代との比較
公務員試験の経験者採用枠に挑戦する際、20代と30代の合格率は大きく変わることはありません。
経験者採用枠は年齢よりも実務経験や専門スキルに重きを置いており、豊富な職歴を持つ30代の応募者はむしろ好意的に評価される傾向があります。
ただし、公務員試験には年齢制限を設けている場合が多く、20代応募者は受験の選択肢がより広いという利点があります(大卒程度枠も受験できるため)。
40代と比較しても大差はありませんが、40代は経験豊富な反面、受験できる範囲は30代より狭くなることが一般的です。
そのため、年齢自体が直接的な障壁にはならないものの、より多くの選択肢を得るためには早めの行動が推奨されます。
30代に求められるスキルや経験
現代の社会構造が複雑化する中、公務員に求められるスキルも多岐に渡ります。
そのため、組織内の人材だけではカバーしきれない専門技能が求められることもあります。
その結果、民間企業で育んだ専門知識や経験が評価されることが多くあります。
転職を考える際には、自らが持つ「公務員では得難い独自の強み」を自己分析することが有効です。
また、公務員の経験者採用枠の背景には、他にも「組織の活性化」「職員の年齢構成を維持する」などの目的があります。
家庭があると不利?
一般的に、公務員転職は30代であっても、家庭を持っていても、その難易度に大きな違いはありません。
試験は客観的かつ公平な基準で評価されるため、家庭の有無は転職の成否に影響しません。
事実、30代後半の家庭を持つ方が公務員転職する事例は数多くあります。
しかし、30代後半の方は、30代前半の方と比較して受験可能な組織が限られる可能性がある点は考慮する必要があります。
公務員転職のメリットとデメリット
30代で公務員に転職することには数多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットもあります。
転職後に後悔しないためには、それぞれのポイントをしっかりと把握することが大切です。
メリット
【安定した福利厚生や給与】
公務員の給料は非常に安定しており、充実した福利厚生を受けながら失業リスクなく働けます。
特に30代は、家庭を持ち始める年代として家計や住宅ローンを支えている方が多くみられます。
この時期、公務員として得られる豊かな福利厚生は育児や家庭生活のさまざまな面でサポートが受けられることは、大きな助けとなります。
【高水準の退職手当】
公務員の退職手当は長期間勤務するほど高額になります。
30年以上勤めると、退職金の額が大きく増加するため、30代で転職するとこれを十分に利用できます。
公務員の退職金の平均額は約2,200万円前後です。
後述する公務員の定年が引き上げられることを考慮して例をあげると、35歳で転職、65歳で定年退職の場合、勤続年数が30年となり、その場合の退職金平均は2,000万円となります。
【経験の豊富さ】
民間企業での経験を積んでいるため、初めて社会人になる新卒よりも仕事に馴染むのが早いのが一般的です。
公務員では定期的に異動があり、新しい業務にもすぐに適応できる環境が整っています。
さらに30代であれば、これまでに様々な職業経験を積んでいるため、異動に伴う業務の変化に柔軟に対応する能力があります。
さらに、公務員の仕事は多岐にわたるため、自分のそれまでの経験を生かして、新しい分野にも積極的に挑戦することができるのです。
デメリット
【民間企業への再就職の難しさ】
公務員になった後で民間企業に戻ることは困難です。
長期間にわたる公務員としての勤務は、民間企業の文化や業務スタイルへの適応を求められるため、転職の際には留意が必要です。
しかし、明確な転職の動機と、転職先の企業で活かせる専門スキルや経験を持っていれば、成功する可能性はゼロではないでしょう。
【一時的に給与が減る可能性アリ】
公務員に転職する際、最初の給与は以前の民間企業での勤務年数に基づいて決定されますが、給与水準が今よりも下がる場合があります。
ただし、公務員としての給与は勤務年数と共に増え、生涯年収が高くなる可能性は十分にあります。
経験者採用のプロセスでは、「職歴加算(前歴加算)」と呼ばれる重要な制度が適用されます。
この制度により、中途採用された公務員の場合、以前の勤務経歴が給与計算に影響を与えます。
具体的には、民間企業や他の公的機関での勤務期間が、特定の「換算率」を用いて計算され、その結果、同じ年数を公務員として勤務した職員と同様の給与水準に設定されます。
給与・年収・退職金のイメージ
公務員の給与は勤続年数や職種によっても左右されるため、30代で転職する場合、これまでの職歴やスキルが給与決定において重要な役割を果たします。
公務員の給与は、民間企業に比べて基本的に安定しており、給与アップのペースは一定です。
30代の転職者は、公務員としてのスタート時点で既にある程度のキャリアを積んでいるため、最初の給与は若干高めに設定される可能性があります。
参考として平均給与額を挙げると、勤続年数10年以上15年未満で293,883円、15年以上20年未満で335,783円となり、その額面に諸手当が加えられます(令和5年国家公務員給与等実態調査結果より引用)。
年収に関しても、公務員は定期的な昇給やボーナスがあるため、長期的なキャリアを通じて安定した収入を確保できます。
特に30代で転職する場合、子育てや住宅ローンなどの家族の経済的負担を考慮すると、この点は非常に大きなメリットとなるでしょう。
最後に、公務員の退職金についてですが、勤続年数に基づいて計算されるため、30代からの転職者も十分な退職金を得ることができます。
公務員の定年は2023年4月1日から61歳に引き上げられ、その後2年ごとに1歳ずつ引き上げられ、2031年度に65歳となります。
これは特に、長期的なキャリアプランニングや老後の資金計画を立てる上で重要な要素です。
また、公務員の退職金は民間企業に比べて高額であることが一般的であり、安定した老後を支える貴重な資産となり得ます。
倍率と難易度
公務員試験の経験者採用枠は決して簡単なものではありません。
例えば、令和5年度の国家公務員経験者採用試験では、1,669人の申込者中、わずか152人のみが最終合格し、その倍率は約11.2倍にも上りました(試験実施状況より引用)。
また、同年度の東京特別区(23区)の経験者採用試験においては、720人の受験者に対し、最終合格者は112人で、倍率は6.4倍となっています(特別区職員採用試験(選考)実施状況より引用)。
とはいえ、地方公務員採用における合格者の年齢層を見ると、全体の約14%から20%が30代との統計があります。
これは30代での入庁者が相当数存在していることを示唆しています。
公務員への転職を目指す場合、日々の仕事と並行して試験対策を進めることが求められます。
仕事をしながらの試験対策は容易ではありませんが、効率的な学習を行えば、十二分に合格を勝ち取ることができます!
なお、下記の記事では、転職先として最もオススメできる「東京特別区(23区)」の経験者採用試験について解説しています。
公務員転職を考える30代へのアドバイス
この記事では、30代の方々が公務員へ転職する際のポイントを詳しくご紹介しました。
既に述べたように、30代であっても公務員への転職は十分可能です。
公務員として採用されれば、安定した収入と、充実した福利厚生を受けられます。
さらに、退職金が新卒者と大きく変わらないことや、その額が非常に大きいのも公務員転職における大きなメリットです。
しかし、公務員になるためには、経験者採用試験を突破しなくてはいけません。
独学での試験対策も一つの方法ですが、予備校を利用することで、よりシステマティックかつ効率的に対策を進めることができるでしょう。
このように、30代での公務員転職には大きなメリットがありますが、成功の鍵は入念な試験対策にあります。
計画的かつ戦略的なアプローチで、新たなキャリアへの扉を開きましょう!
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