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殻の恩返し #寄せ文庫

「どうしてそんなに気にするの?もう一生会わないかもしれないのに」

自分の人生にこの先関わりがないであろう人。そんな人の視線すらも気になってしまうのは、おかしいことなんだろうか。確かに他人の視線を気にしすぎている自覚はある。けれどそう簡単にそんな自分を変えられるわけもなく、そう言ってきた人の前で「他人の視線を気にするわたし」を隠すことに舵を切ってきた。

人に見せたくない、知られたくない、隠していたい、だけど自分自身でコントロールすることが難しい感情というものがいくつかある。なぜもっと上手く出来ないんだろうと思い悩むことも多々ある。

ふみぐらさんの「誰かの殻が好きだ」と言う言葉は、幾つもの殻に篭っていたわたしの元にまっすぐ届いた。

恐る恐る殻から顔を出して見てみると、ちょっとヒビが入っていた。目を逸らしていたその部分だって、紛れもなく自分自身だったのに。

ふみぐらさんの言葉に背中を押されてわたしは初めて殻のメンテナンスに取り掛かった。殻を見つめ直したことによって、自分との付き合い方が少し上手くなった気がする。

いつか殻と共にふみぐらさんに直接お礼が言いたい。
「あの時助けて頂いた殻です」って。

(495文字)


ふみぐらさんへの寄せ文庫企画に参加させて頂きます。

脳内では某ねずみさんの絵本のように「ふみとぐら」のリズムで呼んでいたふみぐらさん。ちょっと不思議でやさしいお話も好きですが、1本選ぶならこれだと決めていました。

ふみぐらさんの文章が読みたいなあ、と無性にそう思う時があります。日常にちょっと疲れたり、村上春樹の「品川猿の告白」を読んだ後だったり。
ユーモラスで、品があって、ふみぐらさんの文章から生まれた人たちと会話したいなあなんて思いながら読んでいます。たとえばライオンとか、とか。どちらも人じゃなかったですね。でも本当にそう思っているんです。記憶に残る登場人物(人じゃないものも含めて)が多くて、そして愛おしい。


スタッフのみなさま、どうぞよろしくお願いします。



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大麦こむぎ
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