LaTeXでシナリオ同人誌が出ました
すっかりnoteの更新をサボっていたのですが、ちゃんと裏では開発が進んでおりまして、さる12月7日、ついにLaTeXによるインセインシナリオ本が出てました。
無料頒布ですので、LaTeXでどんな感じのシナリオ本ができるか気になる方もどうぞ。中身はこんな感じです。
なかなか格好いいんじゃないですかね!
実装できたこと
忘備録も兼ねて、実装方法は追々……ですが、ひとまずどんなことまでできたのか、こちらで設定した目標を参考に振り返ってみます。
【実装可能なはずなのでやる】
・目次・ページ番号表示スタイル
→できた!
今回、シナリオは1本だけだったので目次は作りませんでしたが、目次に関してはjsbookのままでも十分そう。
ページ番号の表示は、titlepsパッケージ+tikz(LaTeXで直接図形を描写するやつ)で、画像ファイルを使わずに色々できます。色々できすぎてこの沼に落ちたらヤバい香りがします。簡単なパス指定で曲線まで書けるのは危なすぎる……。
・オシャレなタイトル・見出しにカスタマイズ
→できた!
titlesecパッケージを使用。
セクションタイトルは見やすさ重視で、どうしても「黒地に白」にしたかったんですが、それはtikzを併用して実装することができました。
・色付きブロックで、シナリオ本文と描写例をわかりやすく分ける
→できた!
tcolorboxパッケージを使ったら一瞬できました。tcolorboxは、枠囲みを作成するパッケージなのですが、とにかく多機能ですごい。
【私の技術でもたぶん可能なのでやりたい】
・エネミーデータなど、特有のデータ用にマクロを組む
今回はやってないので、今後追々。前回ある程度実装しましたが、tcolorboxを使えばもっと体裁よく表示できそうです。
・マージンノートまたはサイドバー的なやつの実装
A4サイズのjsbookクラスだと、marginparコマンドがいい感じに使えました。マージンノート背景はtitlepsパッケージ+tikzで実装。
・NPCページとかで格好良く画像を表示する
今回NPC画像描かなかったので、実装なし。でもばっちりできそうです。
【余力があればでいいや】
・イケてるハンドアウト、トレーラーページなどをバッチリ作る
→意外といける
タイトルページはwallpaperパッケージを使用であっさりクリア。今後凝ったタイトル装飾をしようと思ってきたら、また何か考えないといけないかもしれません。
問題のハンドアウトですが、こちらは前述のtcolorboxパッケージを使って完全攻略です! ハンドアウトのタイトルや内部の文章が長いとき、自動的に文字を縮小してくれる機能つき。ベスト・オブ・よくやった自分賞です。
【番外編:その他にもできたこと】
・フォント埋め込み
→できた!(頒布する関係上できないと困る)
ここを実現するにあたり、散々苦戦したのちpLaTeXからLuaLaTeXに乗り換えています。Overleafだと自動的にフォントを埋め込んでくれるようで、あっさりクリア。
・メタデータ埋め込み
→できた!
hyperrefパッケージを使って実装。ついでにPDFファイルに目次がつくので一石二鳥です。
別になくても構わないんですが、ちゃんと作者名が表示されるとちょっと格好いいじゃないですか……。
実装でちょっと困ったこと
逆に少し困ったのは、フォントを11ptの設定にすると、一部のtilz系の座標が2.2mmほどずれる現象。
jsbookが10ptを基準として拡大縮小している関係だと思うんですが、結局解決方法わからず。表紙の表示とかは手動で2.2mmずらして表示しています。
LaTeXで書くとここがすごい!
ということで、思っていたよりもずっと多くのことができて、思っていたよりもずっと完成度の高いPDFを作ることができました。
一通りLaTeXでシナリオを書いてのイチオシポイントです。
とにかくメンテナンス性がいいので優柔不断な皆さんも安心
折に触れて言っていますが、私はすぐ仕様変更したくなる病気を患っています。しかし、前回触れたマクロ機能を使えば、後から命令の内容を書き換えるだけで、すぐに全体の仕様を変更することができます。
本文を書く→仕様変更→本文を書く→仕様変更と、チーム作業でやったらデザイナーが発狂しそうなやり方もできる!
ポイント単位でスタイルを管理したがる偏執狂の皆さんも安心
基本的にプログラミングなので、「◯ptだけずらしたい」「ここをずらすなら同じところもずらさないと」という細かい要求に十分応えてくれます。
昔は「イマドキGUIじゃないなんて……」と思っていましたが、こだわりだすと際限がない私にはこちらの方が合っていたのかもしれません。
あと、デフォルトの体裁がそもそも美しい。
オンライン環境が便利すぎる
ありがとうOverleaf……!
どこからでも編集できて、どんな環境でも同じ出力を得られるという安心感は強かったです。
なので直前まで本文修正ができる
頒布イベント開始10分前まで.texファイルいじっていました。
よいこの皆さんは真似しないようにしましょう。
まとめ
LaTeXなら俺の隣で寝てるよ。
思っていたよりもずっと、私は彼女のことを好きになってしまっていたようです。個人的には、今後シナリオ本を作るときもLaTeXを使っていきたいですね。