甲子園という場所vol.15
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やっと決意して頂きありがとうございます。
多分もう少しで終わります。
サインを書く事へのトラウマを感じながら、みんな冷静さを取り戻し、筆からバットへ握りを変え、夏までの追い込みに入ります。
残す公式戦は、夏の大会のみ。
後、遠征を含めた練習試合と練習でチームを仕上げて行きます。
名電は、ホームグランドに相手校を招いて試合する事がほとんどです。
その中でも年に1回ずつの関東遠征と関西遠征のリズムが出来て来ており、当時を振り返ると秋〜冬にかけての関東遠征。
泊まりで行きます。
東海大相模に始まり、そこからAとBに分かれて
横浜隼人、横浜商大、日大藤沢、平塚学園、そして最終日に横浜高校という流れ。
東京だと日大三高、修徳、桜美林等々。
そしてもう1つは、夏前に行く関西遠征。
智辯和歌山(和歌山)、関大北陽(大阪)、近大付(大阪)、天理(奈良)、履正社(大阪)、育英(兵庫)、PL学園(大阪)、等々いろいろな所に行かせて頂きました。
あんまり思い出したくない遠征に、
履正社からの育英ルートがありました。
ちょっと振り返りましょう!
あ、すいません。
ここで、履正社・岡田監督の最高の一冊、ご紹介させてください。
素晴らしい指導者であり、考え方、選手とのコミュニケーション、甲子園秘話等が詰まった一冊です。ぜひ!興味があれば、お買い求め下さい!
履正社は、毎年やっている事もあり、今回は、こちらから行く事に。
やはり、事件は起きました。
この日、履正社との試合は、お互い譲らない互角の展開でした。
そして、古茂田のプレーも冴え渡り、遠征前に自分が考えたトリックプレーを共有していたので、試す時が来ました。
いろんな呼び名があるかと思いますが、いわゆるピックオフプレーですね。
ピックオフとは
塁上にランナーがいる時に、リードしている間に野手がベースに入り、キャッチャーからの送球でランナーをアウトにする意表を突くプレー。簡易的ですいません。
これを試す良い機会でした。
ランナー1塁にいたので、すかさずピックオフ。
はじめて試みて、はじめて成功しました。
意表を突かれたランナーは、状況が掴めてないようでしたが。
『よし!!これ使える!
それにしてもこの選手ゴツ過ぎる。』
その選手は、現オリックス・T-岡田選手だった事は言うまでもありません。
塁上でサインもらえば良かった。
あのピックオフがあったから、自分もここまで成長出来ましたって、何かの取材で言ってくれないかなぁ。
古茂田の技は、異彩を放っていたんですが、最後の最後でサヨナラ負け。
整列が終わり、ベンチに戻ると監督がマジ切れる5秒前でした。
てか、キレて3秒後でした。
標的になったのは、2年生エース。(後にヤクルトスワローズ)
完全にあの時と同じ空気でした。
(第一次堂上サイン事件)
『これ、ヤバイ!完全に一緒だ。』
『絶対走らされる!!』
そして、履正社の本拠地に入った時から、名電ナインは、感じていました。
『グランドの隣にサブグランドあるんかぁ。』
『これ負け方によっては、まずいぞ。』
本当、選手って鋭いですよね。笑
2年生エースが、なぜか生活態度から掘り返されて、炎上中。
そして、矛先は、全員に。
監:『おい!お前ら隣のサブグランド借りて
俺が良いって言うまで走っとけ』
来たぁぁぁ!!!
監督もサブグランド把握してるぅぅ!
今回は、本数が決まっていないので、
『エンドレスラン。』
日が暮れるまで走ってました。
履正社の選手には、ご迷惑をおかけしました泣
何とか生き延びた自分達は、宿舎で1泊してから、最終日、育英(兵庫)に乗り込みます。
その日の朝に、事件はピークを迎えました。
続々と選手がバスに乗り込み、監督はすでに乗り込んでいました。
そして、昨日炎上していた2年生エースが乗り込んだ時でした。
監:『おい。お前、何だその眉毛は。』
ここに来て、畳み掛けるように、今まで触れて来なかった眉毛に焦点をあて、集中砲火。
まるで、タイミングを見計らっていたかのように。
2年生という事とエースという事、いろんな期待を眉毛という1つの着火剤により、引火させたのかもしれません。
朝からバスのエンジン音と監督の怒声が入り乱れて、イレギュラー満タンでした。
監:『お前はそんなんだから勝てないんだ!
今すぐバスを降りて新幹線で名古屋に帰る
か、眉毛全部剃るかのどっちかにしろ!』
究極の2択過ぎる....。
エース『.......。剃って来るので試合
行かせて下さい!!』
〜つづく〜
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