甲子園という場所vol.14
古茂田
▶︎高3の古茂田
良く分からなくなって来ましたね。
高3の古茂田を選んで頂き、光栄です。
今日もよろしくお願いします!
春の選抜も終わり、いよいよ夏の前哨戦。
甲子園には直接関係はありませんが、春季大会の最重要ポイント。
それは、夏の大会のシード権がかかっているという事。
愛知県は、全国でも1.2位を争う出場校の多さなので、今も変わってないと思いますが、名古屋地区、東三河地区、西三河地区、尾張地区、知多地区の各地区で1次、2次トーナメント、そして決勝トーナメント、そこの勝ち上がりチームが県大会に出場。
この県大会でベスト8に入れば、夏の愛知県大会シード権GETです。
春の選抜に出場しているチームは、トーナメントは免除となり県大会からの参戦になります。
この時、県大会で2回勝てば、シード権GETという位置に名電はいました。
春の選抜甲子園から帰って来た後という事、タケ(堂上)がプロ注目選手に確実になりつつあった事、いろんな事が重なり、行く球場、行く球場に観客の方々でごった返し、古茂田もその流れに乗って勘違いさせて頂きました。
その節はありがとうございました!
選抜の開会式のリハで撮った2枚。
最強の呼び声高かった中京(岐阜)から。
1枚目は、後にソフトバンクに行く城所選手。
2枚目は、後に日本ハムに行く榊原投手。
この辺りから、古茂田も色気付き、高校球児の最大限のおしゃれと反抗期。
それは、眉毛を整える事。
毛抜きで、練習時間と同じくらい時間を費やして、整えていました。
あの時の自分をぶん殴りたい。
油断をしていたつもりはないんですが、チーム自体も緩んでいたのか、本当におかしかった。
『試合やりづらい....。』
『毛抜いた所、痛い...。』
悪い事って続きますよねー。
県大会初戦。
勝ちはしましたが、思うような展開にならず、選手個々の調子もイマイチ。
ギリギリ勝てたという表現が正しいかもしれません。
別に手を抜いた訳でも、選手を入れ替えた訳でもありません。
案の定、監督ブチ切れます。
めちゃくちゃキレられたのは覚えてます。
その嫌な流れで、2回戦。
シード権のかかった大事な試合。
対春日丘。(現:中部大学春日丘高校)
愛知県でも強豪校と言われる高校です。
良い選手も居たし、侮れないチーム。
でも、普通に戦えば負ける事はないチームでもありました。
でも、
『勝てる気がしない...。気持ちが入らない』
甲子園という舞台に立った事で、達成感と同時に帰ってきた時の喪失感。
本人達は、そんな事ないのに、結果的にそうなってしまっている。
甲子園に出たとは思えない別のチームになっていました。
同じ選手に2本ホームランを浴びるなど、散々な内容でした。
愛工大名電、2回戦敗退。
県内に激震が走った瞬間だと思います。
その結果、名電は、夏のシード権を取る事が出来ず、1回戦から登場し、夏の抽選会を荒らす事になります。
その帰り、野球部のバスに乗り込み、事件は起こりました。
ファンの方々がゾロゾロ駆け寄って来て、バスの窓越しに。
『堂上さーん!サイン下さい!!』
タケ(堂上)もきつかったはずです笑
地獄の選択です。
A サインを断る事で、自身の人気も下がる。
風評被害◎。だから、サインする。
B 書いた事で、この試合結果にも関わらず調子 に乗っていると監督がブチ切れる。
全選手の被害甚大◎ だから、サインしない。
タケは、Aを選びました。
これは、仕方ないですよね。悪気はないし、もし自分だとしてもサインしてます。
ファン:『ありがとうございますー!!』
ファン:『ありがとうございましたー!!』
ファンの方々が喜ぶ姿を背にしながら、バスの中は、嫌な空気を感じました。
恐る恐る監督に目を向けると、、、、
選ばれたのは、Bでした。
(綾鷹のCM風)
監:『お前はなー!!何を.....!!とるんだ!』
(10〜15分経過)
座席の後ろに座っている選手達は、身を隠しながら、ずっと震えていました。
『何もかも終わった.....。
今日は、長い1日になるわ。』
こうゆう時の選手の勘は、めちゃくちゃ鋭く、研ぎ澄まされます。
タケ(堂上)への怒号がこちらに向きました。
監:『野球なめんなよ!お前ら、
すぐ帰ったらベースランニングな。』
ベースランニングとは
・大体の球児が嫌がる走塁練習の1つ。
試合を想定して、1塁、2塁、3塁、ホームと、ひたすら走る。簡易的ですいません。笑
いろんなパターンがあるが、基本的には
ヒットなら、1塁へ。
2塁打なら、2塁へ。
3塁打なら、3塁へ。
ホームランなら、一周する。
人数が少ないチームであればある程、すぐに順番が回ってくるので地獄。
しかも、この時は、ユニホーム着てる奴、すなわちベンチに入っているメンバーだけでのベースランニングが確定。
20人前後が、公開処刑。
そして、最も過酷なコースが待っていた。
監:『ホームランな』
ホームから1周して、またホームに返って来る。
多分、10本〜20本くらい走ったはず。
後半は、スタート地点も分からなくなるぐらい、グルグル回っていたので、点に換算したら
20人✖️20本で、400点は入っている。
公開処刑、夏のシード権を失い、下半身も持って行かれ、たこ焼きも甲子園ファンもいない、この場所で誰もが思っていた。
『何でサインしたんだよ!
ふざけんな!!』
人間、嫌な事が重なるとすぐ人のせいにしている時がある。(笑)
この時は、なぜかサインの1択に。
この一件で、名電ナインにすり込まれました。
『現役中は、絶対サイン書かない。』
みんなプロに行ける訳じゃないのに。(笑)
プロ意識だけは、
無駄にあったのかもしれません。