手袋をどうぞ
「メリークリスマス、サンタさん」
毎年、我が家に来てくれるサンタクロースのために、暖かいお茶とお菓子を用意した。
それから今年は真っ赤な手袋。
手作りは初めてだけど、大好きなサンタクロースのためにえんやこら。
だけど出来上がった手袋を見て悲しくなってしまった。右手の指、親指、人差し指、中指、薬指、小指……が2本。
そう、私間違えちゃったの。
だから仕方なく、親指以外は解いてぜんぶくっ付けちゃった。これじゃあお仕事中は使ってもらえないかもしれないけど、指が6本よりいいはず。
でもクリスマスの夜、お茶とお菓子を食べた後に私が渡した手袋をサンタクロースがはめたら、不思議なことに6本指のあの手袋が。
「えっ?!」
だけどサンタクロースは凄く嬉しそうな顔で、
『お嬢さんどうもありがとう!メリークリスマス!』
というと、またソリに乗って颯爽と去っていったわ。
ヒラヒラ手を振るサンタクロースの手には小指の隣にもう一本指があったけど、頑張って作ったんだもん。喜んで貰えたなら私、嬉しいわ!
「来年はちゃんと5本指を作ってあげなきゃ!」
そう張り切ったところで私は目が覚めた。
サンタクロースからのクリスマスプレゼントは、『愛と素晴らしい夢』だった。
「ありがとうサンタさん。また来年会いましょう!」