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創作絵本「あじさい色のきもち」

昨年、紫陽花を見て描いた絵からお話が生まれ、それをnoteにアップしました。その後、それをもう少し絵本仕立てにしてみたくなりました。

絵は全くのド素人なのですが、絵のプロの息子に透明水彩の使い方を教わり、試行錯誤しながら絵を描き仕上げることができました。
今までの人生で、こんなに夢中になにかをやったことってあったかしらと思うほど、それはそれは楽しかったです。

とても拙いけれど、せっかく生まれてきたのだから陽の目をみさせてあげたくて、初チャレンジの記念にnoteにアップさせて頂きます。

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トコちゃんは、自分のきもちや思っていることを、ことばにするのが少し苦手な女の子です。

ふいに胸があつくなって、涙があふれたり、
なんだか落ち着かなくてソワソワしたり、
心の奥がチクッと痛くなり、
かたまってしまうことがよくあるのです。

まわりのみんなが「どうしたの? 大丈夫?」と声をかけてくれるのですが、なにも言えず、その場に立ちつくしてしまうのでした。

まるで、ガラス玉のなかに、ひとり閉じ込められたみたい。

そんなトコちゃんは、愛犬クロベエと
まんまる山にお散歩に行くのが大好き。

とくに梅雨の時期は毎日のように、
まんまる山にてかけます。
なぜなら、まんまる山には、
あじさいがたくさん咲いているからです。

青や紫のあじさいは、
それぞれ色がちょっとずつちがっていて、
さまざまな色合いが、トコちゃんの心のとびらをそっと開いてくれます。

ことばにならないたくさんの思いやきもちは、
いつのまにかあじさいの色に映り込んで、
トコちゃんにそっと教えてくれるのです。

紫色は、大好きだったおばあちゃんの
カーディガンの色。
お空の国に行ってしまったおばあちゃん。
一緒に過ごした楽しい思い出が
よみがえります。
そしてたまらなく会いたくなるのです。

おばあちゃん、寂しいよー。会いたいよー。

かくれんぼで、トコちゃんだけみつけてもらえず、とほうにくれて見上げた真っ青な夏の空。

みんなどこー。わたしはここにいるよー。
ひとりぼっちだよー。だれか早くみつけてー。

おかあさんが作ってくれた、あわい水色のワンピースを着て、雨あがりの道をるんるんと歩いていたら・・・

走ってきた男の子がはねあげたどろ水で
ワンピースが汚れてしまいました。
あたまにくるやら、悲しいやら。

わたしの大事なワンピース、
どうしてくれるの!!

なかよしのみーちゃんが
遠くのまちに引っ越してしまいました。
みーちゃんを見送ったあと、ながめていた夕焼けを思い出します。

みーちゃん、ずっと一緒にいたかったよー。
わたしのこと忘れないでね。元気でね。

あじさいの色合いは、トコちゃんの心のなかの
さまざまなきもちや思いを映して、
やさしくトコちゃんをつつみこんでくれます。

あじさいいっぱいのまんまる山を
クロベエと歩きまわると、
トコちゃんは、きもちがすっきりとして、
元気がでてきます。

そんなトコちゃんを見て、クロベエは「わん」と吠え、うれしそうにしっぽをふるのでした。

おしまい

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