天祖天神は御一神なのですか?古文書『富士信導記』解読③
明治10年発行の古文書『富士信導記』第3回目です。
神とは何か魂とは何かというところからはじまった問答が、前回は悪事を働けば地獄に墜ちるのかという内容に至り、今回天地のはじまりのときに誕生した神とはどんなものかという、大変高尚な話に入りました。
古事記の記述と合致した深い部分に突入しますので、ご興味のある方はぜひご覧いただければと思います。
■御直願というのはどのようなことですか
諸神へ特別な願いをかけないことです。
例えば、役人へ物事を頼まず、
天子様へ直接お願いするなど、すなわち
無上至尊の天祖天神へ直にお願いし、
自分の願望を成就してくださいと
願うことが御直願です。
または陰願しないことだともいいます。
■三の字を尊ぶというのはどのようなことですか
一は三を生じ、三は万物を生ずと
いいますから、三の字を尊ぶのです。
■三万物を生ずとは何か物を指しているのですか。または神を指しているのですか
造化の功徳は三神から起こり、天地世界の
ありとあらゆる万物を生み育てられたの
ですから、天祖天神の神徳を指して
三万物を生ずというのです。
■天祖天神とは御一神なのですか
天御中主神御一神とはいっても
高皇産霊神と神皇産霊神の御神徳を
合わせたこの三神が万物を創られた
ことから、三神を尊重するのです。
■万物は春生まれ、夏成長し、秋収まって、冬籠るというのも三神の決めたことなのですか
立春になれば、誰が教えるともなく
ウグイスが鳴き始めます。
60日余りもすれば雁は寒いところに
帰りますし、今度はツバメがやって来ます。
そうしたものはすべて春夏秋冬の
季節の移り変わりに合わせるものです。
これはみな天祖天神の業によるものです。
■天祖天神の尊さは藤原武邦尊師やそのほか元祖たちがはじめて知り得たのですか
昔から聖人君子は皆、この神の尊さを
知っていました。いずれも崇敬なさって
いましたが、人に広く知らせて信心の道を
広め、人の霊魂を救おうとなさったのは、
藤原武邦尊師やその他の元祖たちが
はじめといえるでしょう。
【たまむしのあとがき】
藤原武邦という人は、藤原角行もしくは長谷川角行ともいい、江戸時代の富士講の開祖とされる人です。
この人の偉業はたいへんなもので、次のようにあります。
この角行の多くの弟子がやがて流派を分かち、その一派が現在も残って、全国で富士講として今でも活動しているというのですから驚きです。
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