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冬茄子を実らせる方法など。古文書『廣益秘事大全』解読⑲

嘉永四年(1851)の古文書『廣益秘事大全』から、奇巧妙術類「生活の豆知識編」解読の第19回目です。

今回は、カエルを泣き止ませる方法、膏薬かぶれを治す方法など、まったく関連性のないチョイスです。

昔の日本人の、シンプルで人間にも地球にもやさしい生き方の中に、現代でも取り入れることのできるものがあればと思い、そのヒントを提供できるよう、古文書を読み解いてご紹介します。

1.カエルを鳴き止ませる方法

カエルの鳴き声がやかましいときは、
野菊の花を粉にして風上から撒き散らせば、
奇妙なことに3~5日鳴かない。

2.香具の保存方法

香具

丁子(クローブ)・白檀(サンダルウッド)
など匂いのあるものはすべて
刻んで保存してはいけない。
香を作り合わせる時に刻んで使うこと。
先に刻んでしまうと気が抜けて
香りが薄くなってしまう。

薫物たきものなどは香箱に入れて上から蝋紙で包み、
気の抜けないようにすること。

丁子(クローブ)
白檀(サンダルウッド)

3.膏薬こうやくかぶれを治す方法

膏薬にかぶれたときは杉の葉を煎じて洗うこと。
杉がないときはアオキの葉を使ってもよい。

 ※アオキ=日本原産の常緑性低木。
  葉は民間薬となり、陀羅尼助だらにすけの原料。
  (陀羅尼助は胃腸薬)

アオキ

4.冬茄子を実らせる方法

苗のうちから根ににかわ※を置き、
花の咲く頃には頻繁に置く。
花が咲きそうになったら摘み取って
咲かないようにする。

九月から四方を石で囲って根に馬糞を
たくさんやり、南の方面は少し開けて
朝から昼までよく日を当てて、
午後の早い時間の日には当てないようにする。

こうすれば十月頃から花が咲き、
十一月にかけて実がなるだろう。

 ※膠=動物由来のゼラチンを主成分
 とする接着剤

膠(にかわ)

5.炭ひとつで終日消えない煙草の火

椿の木を炭の大きさに切り、
干して乾かし灰の中に埋めておく。

一方、イヌタデ※を黒焼きにして椿の上にかけ、
小さい火をその黒焼きの灰の上に置く。

そうすれば自然と火が移って一日火がもつ。

 ※イヌタデ=タデ科イヌタデ属の一年草

イヌタデ

6.紙についた血を落とす方法

紙についた血を落とすには、
生姜を薄く切って血のついた上に置き、
すばやく生姜を取り換えれば
いつの間にか血は落ちる。


【たまむしのあとがき】

今回、白檀とサンダルウッドが同じものだと知り、驚愕しました。

これまで何十年もお香が大好きで使っていたのに、まったく同一のものだと知らなかった・・・・。

すごい衝撃でしたわ・・・・。

そして膠。漆塗りの仕上げに使うテカテカしたツヤ出しだと思っていたら、動物性ゼラチンとは・・・・。

膠ってゼラチンだったんだ・・・。くぅ~~~~知らんかった。

膠とは、牛や豚など動物の皮や骨などの結合組織を加熱して抽出した液状の物質で、主成分は蛋白質の一種である膠原(こうげん)繊維のコラーゲンです。

坪田眞幸建築研究所

ちなみに、ゼラチンはコラーゲンの繊維をバラバラにしたものだそうです。

そして膠はどんなものに利用されていたかというと、こちら。

膠の歴史は古く、紀元前5000年頃から接着剤などに使われていました。
膠は加熱すると柔らかくなり、常温になると固まりやすいという性質があり、さらに湿度や温度が変化しても伸縮やひずみが出にくいため、建築用の接着剤としてよく使われています。
和膠は吸湿性や保水性に富んでいることから、高級家具や楽器、美術品や工芸品などの製造にも使用されています。

坪田眞幸建築研究所

こうしたものを茄子の根の上に置くという発想がすごいですね。

膠にしても、文中にあったような馬糞にしても、自然のものを使うというのは、今、そしてこれから、もっと注目していかなければいけないことのように感じます。


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