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個人的な美ぺぺちゃんランキングBEST5

第5位 イオンモールKYOTO裏のぺぺちゃん

 この作品の魅力は何と言っても形式美でしょう。完成されたぺぺちゃんの定型を代表する典型的な作品です。全体的に角ばった輪郭、半月型の白目、目下の頬、程よく丸みを帯びた顎ライン、これぞぺぺちゃんといったデザインです。また、目元は少し垂れており、目線の先にあるハートと相まって可愛らしい印象です。私は個人的に、この作家さんのハートの描き方がキュイっとしててとても好きです。
 第5位には形式美を誇るオーソドックスぺぺちゃんを選びました。仏像でいうところの、定朝様の美しさに近いです。


第4位 堀川丸太町西のぺぺちゃん

 第4位は、堀川丸太町西にある2人ぺぺちゃんです。作家さんのレパートリーの豊富さを物語る作例のひとつであり、ぺぺちゃんが他の落書きと一線を画している所以です。この変型。この可愛さ。やはりぺぺちゃんは高度に完成されたグラフィティです。
 この作品の魅力はなんといってもひとつの画面に2人いることでしょう。単独型のぺぺちゃんは可愛らしいですが、ぺぺちゃんが何を考えており、どのような人物なのかはよく掴めません。(はっきり掴めないからこそ、こちらの解釈を投影する余地があるという魅力はもちろんあります。)それに対して、この2人型では、同じ画面に2人のぺぺちゃんがいることで、なんとなくぺぺちゃんの人となりまで見えてくるような気がするのです。向かって左のぺぺちゃんを見ると、片目を開けて隣のぺぺちゃんを見つめています。なんてかわいい表情。愛や情の類を感じざるを得ません。右側のぺぺちゃんからは安堵や信頼を感じてしまいます。青いハートがアクセントになっているのも、この作品の魅力です。作家さんは色遣いが抜群なのです。
 また、個人的に閉じた目の描き方も好きなので、ここで言っておきます。作家さんの目の描き方は、釣り針のような形をしています。アラビア文字でいうとنの1画目のような形です。これがぺぺちゃんの表情に茶目っ気を生み出しているような気がします。閉じた目を描くとき、なかなかここまでカックンとつり上げる人もいないと思いませんか?大抵の場合、左のぺぺちゃんの目くらいの曲線、アラビア文字でいえばبの1画目くらいの反りにするのが相場かと思います。これも作家さん特有の表現と言えるかもしれません。

第3位 東大路通のベンチぺぺちゃん

 これは完全な好みですね。私はこのぺぺちゃんを姫と呼んでいます。控えめな口元、右に傾いた目、はみ出た頬、丸い輪郭、かなり計算された表現と配置だと思います。5つ流れるように浮かんだハートがまた可愛いです。なかなかここまで横に長い作品も見ない気もしますが、横長の作品の中でも群を抜いて可愛い美ぺぺちゃんがこの作品だと思います。

烏丸通のぺぺちゃん

 このようにスペースとの兼ね合い故か、横長に引き伸ばされたぺぺちゃんもありますが、東大路通の姫はぺぺちゃん本体は中央に小さく、形式的にも省略形(私はこれを半ぺぺと呼んでいます)で描かれ、両側にハートを散りばめています。このゆとりのある表現が好きなのです。そしてこの品のある愛らしさ。左側の頬は顎ラインからはみ出させ、右の頬のみ内側に入れているところはほとんど神業と言っても過言ではないでしょう。妙技を尽くした傑作と評して、第3位としました。

第2位 河原町丸太町北東角のぺぺちゃん


 これもまた少し変則的な作品からです。黒地に白、青、黄の3色を巧みに用いた装飾性の高い作品で、なんといっても上部のハートがポイントです。ハートの華麗なデザインが目を引くところであり、作家さんの高いセンスを物語ります。青でふわふわ模様を描いていますが、右上内側にスペースが空いたようです。そこを埋めるかのように描かれたデーヴァナーガリー文字のजの下部のような模様が巧みだと思いませんか。私ならここを埋める模様の選択に失敗して破綻させる自信しかありません。こういう的確なデザイン力には圧倒されるばかりです。
 また、下の2人のぺぺちゃんを見ると、髪に黄と青でチチっと影かハイライトのようなものが描かれています。この些細な色彩の追加表現が、全体の繊細で彩り豊かな印象に一役買っています。そして頬には青色を採用しており、この作品では塗りつぶしが行われています。4位の2人ぺぺちゃんの青ハートもそうですが、作家さんは固定的な色彩のイメージというのを打ち壊した、柔軟でその作品全体との関係において最適な色彩表現をよくとられます。

河原町通のぺぺちゃん

このように衝撃的な色をしたぺぺちゃんもあります。でも全く全体として崩壊していないのです。奇抜・斬新な色遣いは、作品全体をたてるために行われるものであり、もっと言えば固定観念に囚われずに自由な選択肢を用意し、その中から適当な表現手法を作家さんは選び取っていると言えるでしょう。そんなこと並大抵の表現者にはできません。敬服するばかりです。

第1位 京都タワー下のぺぺちゃん

 圧倒的第1位は京都タワー下のぺぺちゃんです。私がこの作品を推す理由の第一は群を抜いた可愛さであり、第二は技術の高さです。
 まず可愛さについて、かわいいぺぺちゃんは数多くありますが、このぺぺちゃんからしか得られない可愛さがあると思います。この魅力に寄与しているもののひとつが口元でしょう。ぺぺちゃんとしては珍しく?ホッチキスの針のような、アラビア文字でいうنの1画目のような口をしています。また、目線の逸し方も抜群に効いてます。そして作品全体の微妙な傾き。ぺぺちゃんに勢いすら感じます。
 大きなほっぺたもいいです。このほっぺたを省略した姿を想像してみてください。全体のバランスが一気に崩れると思います。このほっぺたは、単なるほっぺたではないのです。可愛らしさを演出する要素であるばかりでなく、作品全体の均衡を保つ上で必須のエレメントでもあるのです。
 顎のラインが平坦で全体的に顔が平たいのもいいですね。この平坦ラインは新しいぺぺちゃんの特徴です(たぶん)。そして特にこの作品では顔の縦幅が狭い。なのに間延びしていない。それは大きな目の表現や、真円に近いほっぺの表現などによって中和されているからでしょう。まるで醍醐寺の五重塔のようなバランスのとり方です。もはや恐ろしい技術力です。

 忘れるところでしたが、次に技術について。このぺぺちゃんは2枚合わせになった看板の狭間に描かれています。この看板は南北に伸びる烏丸通の西側の歩道と車道の間にあり、2枚の看板の裏側はぺぺちゃんの他にも様々な落書きやステッカーで埋められています。しかし、北面の看板裏には手書きの落書きが多いのに対し、南面の看板裏はほとんどステッカーで埋められています。やはり右利きの人にとっては北面が描きやすく、南面は車道に出るわけにもいかず描きにくいのでしょう。では、このぺぺちゃんはどちら側にあるかというと、南面なのです。作家さんが左利きなのでは??と思われるかもしれませんが、JJ FreaksさんというYouTuberさんの動画にバチバチのモザイクとともに登場された作家さんの手元を見るに、右利きのようです(もはやストーカーの域かもしれない)。ですのでこの南面に難なく描かれたぺぺちゃんは作家さんの圧倒的な技術力を示していると言えるでしょう。

写ぺぺの例

 ちなみに筆者はこのぺぺちゃんが好きすぎて、あんまり忠実ではありませんが、写ぺぺしたりしてます。本当にかわいいですね、この作品は。

 ということで、以上で発表を終えます。

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