夫と過ごしたこの一年①
夫が肝硬変だと分かってから、そして結婚記念日の節目の去年、アホがつく程一年で旅行した。
令和5年2月12日 午前3時39分 永眠
安らかだったのかと言われれば、それは確かに違う。
肝硬変の末期で、十二指腸と胃に多数の潰瘍ができ、モルヒネを使わなければ死ぬほどの激痛。
それでも夫は必死に生きていた。
「トイレに行く」
「家に帰る」
亡くなる前の晩まで酸素マスクや血圧を上げる点滴などを物ともせず引きずり、ベッドを動き回っていた。
慌てて看護師の方々も止めに入る程だった。
私は「もう好きにさせてあげて下さい。」
そう、言うことぐらいしか出来なかった…
そしてその時は突然に訪れた…
酸素マスクさえ苦しくてもがく夫のマスクを顔に着ける
そんなやり取りを幾度となく繰り返す夜だった。
少し眠れた様な夫の横で、私も簡易ベッドに横になった。
突然、夫が言葉にできない声をあげ、苦しみ出した。私は慌てて体を起こしたと同時に看護師が駆け込んできた
「○○さん❗️○○さん❗️」
夫の肩を叩く看護師
そう、夫は延命さえもできない程、内臓が弱っていて人口マッサージをすれば内臓が潰れてしまうのだ。
もう出来る事は何もなく、肩を叩くのが精一杯の【生命】への回答だったと思う。