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膝枕リレー2knee周年&誕生日記念に膝枕外伝を作ってみた…「悪魔の膝枕」
はじめに
音声SNSクラブハウスで2021年5月31日始まった脚本家
・今井雅子先生の「膝枕」を読み次ぐ「膝枕リレー」
アレンジ作品、外伝もたくさん生まれ2023年6月5日で、遂に200作品となりました。
正調 「膝枕」と、派生作品はこちらをご覧ください。
2023年5月31日で「膝枕リレークラブ」が2周年を迎え
5月28日~6月4日まで
「やっちゃえ膝フェス!! 2nd A knee versary!! ~愛knee来てねI knee d you~」というキャッチフレーズでのフェスウィークが盛り上がりました。
↓は記念のアイコンです
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さて、膝フェスに向けて外伝を作ってみました。
膝フェス直後の6月6日は私の誕生日。
タイトルは、、んーー
6月6日は悪魔の日と呼ばれているから「悪魔の膝枕」でどうだ!と
タイトル先行の外伝作成。
できるかなできるかな?
クラブハウス内でなら、どなたでもお読み頂けたら嬉しいです。
★ 2023/06/03公開直前ルーム
公開直前にクラブハウスにて、読みながら校正するルームを開きました。
★預言者の名前kneeトラダムスは、やまねたけしさんのアイデア頂きました。ありがとうございます。
★鈴蘭さんも久五郎の膝枕作品の名前について、お気づき頂いてありがとうございました。
★2023/06/04膝開き
ひろさんが膝開き(公開後初めて朗読すること)してくださいました。
ありがとうございます。
★ひろさんのルームでお聴き下さった成孝さんの「江戸時代からではなく、源氏物語にも、膝枕の描写がある」との書き込みに従い一部加筆修正しました。ありがとうございます。
★成孝さんバージョン(2023.619)
成孝さん(Shigetaka3)さんが、豊富な知識を盛り込んで追筆をしてくださいました。インテリジェンスな「悪魔の膝枕」ご覧下さい。
クラブハウス内での朗読
悪魔の膝枕
作 こもにゃん
僕が小学生の頃、世の中は不景気になっていました。
僕の父親が勤めている会社も経営が危うくなり、家は暗いムードが漂っていました。
当時子供たちの間で大人気だった膝枕型育成ゲーム・ヒザコッチや、大ブームのテレビゲーム「ポケットモンヒザー」「ヒザゴン・クエスト」も買って貰えず、級友との話の輪の中にも入れなくて、休み時間は1人図書館で過ごしていました。
図書館で本を読んでいると、僕は嫌なことも忘れ、空想の世界へと旅立つことが出来ました。
ある日、書架の奥の方で1冊の本を見つけました。
「膝枕大辞典」
作り物の膝枕の歴史や、種類などがカラーの絵や写真で紹介されていました。
美しい写真と、小学生にも分かる優しい文章の解説が楽しく、この本を何度も貪るように読みました。
「膝枕大辞典」によると、人は、いにしえより人の生身の膝に頭を預けて、リラックスすることを好んでいたようですが、それだけでは飽き足らず、江戸時代には作り物の膝枕が登場しました。
最初は武士など身分の高い者しか手に入れることができなかったのですが、不要になって海に捨てられた膝枕を浜で拾い、磨いて細工をし、価値をつけて売り出す、「膝屋」という商売が生まれ、庶民にも広がって行ったようです。
中でも久五郎という膝屋はその器用な手先を生かし、「花魁膝枕」「侍膝枕」「十二単膝枕」「歌舞伎膝枕」などの大ヒットを飛ばし、一代で「膝久」という大店を築いたのです。
「膝久」は、近代になって、「膝枕カンパニー」と名前を変えて、膝枕業界NO.1の企業として世界に名前を轟かせました。
僕の小学校時代には、膝枕にコンピューターが内蔵され始め、挨拶などの簡単な言葉を発する商品、ヒザコッチと連動したものなど、単に頭を預けるだけでなく、より娯楽性の高いものが出回るようになっていました。
しかし、「膝枕大辞典」最後のページだけは、1度見ただけで恐ろしくて、二度とページを開くことは出来ませんでした。
「膝枕大辞典」最後のページには、イギリスの預言者kneeストラダムスが未来のことを預言していると、記されていました。
「空から悪魔の膝枕が降ってきて、世界は滅亡する」と彼は予言していました。
そして、この世のものではないような異様に青白く骨ばった膝を、黒いスカートからのぞかせ、とがったしっぽを持つ「悪魔の膝枕」をイメージしたイラストが添えられていました。
僕は恐ろしくなって、本を閉じてしまいました。
僕は大学を卒業すると、「膝枕カンパニー」に入社し、新商品開発チームに配属されました。
「膝枕で人を笑顔にする」という創始者久五郎の精神が受け継がれているカンパニーでの日々はとても充実したものでした
開発を手懸けた膝枕が完成し商品化が決定すると、チームみんなで祝杯を上げました。
社員一同、世の中を自分の手で幸せにするという共通の目標を持って働いていました。
僕達は次々と新商品を開発し、膝枕の性能は目まぐるしい進化を遂げました。
膝に頭を載せた時の感触は、昔とはくらべものにならないマシュマロのような沈み心地とフィット感を実現しました。 また、AIが組み込まれ、複雑な会話を学習できたり、ナビ機能や、健康管理ができる機能を持つものも開発しました。
しかし、人は膝枕に沈み込むあまり生身の人間との関わりを避けるようになり、膝枕に溺れて起き上がれなくなる「膝枕廃人」と呼ばれる者たちが増え始め、このままでは国が滅びると、政府は膝枕禁止令を出し、国民の膝枕を没収しました。
江戸時代からの老舗「膝枕カンパニー」はついに倒産し、僕は失業してしまいました。
折しも、ある大国が、近隣の小国に仕掛けた戦争が長引いていました。
我が国のリーダーは、国民から没収した膝枕を戦地に投下し、兵士を骨抜きにするという突拍子も無い作戦で、戦争を終結させ、所属している連合国の首脳から拍手喝采を受けました。
そんな時、職も家族も失い、失意の日々を送っていた僕に、外資系の膝枕の会社からの誘いが舞い込んできました。
「また膝枕が作れる」
僕はその話に飛びつきました。
初出勤の日、膝枕カンパニーで苦楽を共にした仲間たちの姿を何人かみつけ再会を喜び会いました。
「君たちには今までこの世になかったような究極の膝枕を作ってもらいたい」
社長の言葉にますます僕達は腕がなりました。
そして完成した「究極の膝枕」
今までにない沈み込みと恍惚感を実現するために、体脂肪40パーセント、ピンクの花柄のスカートを着たぽっちゃり膝枕を採用し、優しい包容力を表現しました。
膝枕カンパニーでの失敗を教訓にして、1日5時間以上膝枕を使用することができないように、制限時間が来たら膝がカチコチになり、頭の乗せ心地が非常に悪くなるという、膝枕廃人防止装置を搭載しました。
久しぶりに新製品を完成させたという達成感と、破格な給料をもらい、明るい希望が見え始めました。
そして膝枕が完成した130日後……突然空からたくさんの箱が降って来ました。
開けてみると、僕達が開発した「究極の膝枕」でした。
しかし空から降ってきた膝は、廃人防止装置が外されていました。
人々はこぞって箱を開け、膝枕に沈み込み、膝枕廃人となって行きました。
「どういうことですか?」と開発チームメンバーは社長に詰め寄りました。
「君たち、『悪魔の膝枕』の開発ご苦労さま」
社長はニヤニヤしながら言いました。
「悪魔の膝枕!!」
僕の脳裏に、小学生時代に好きだった「膝枕大辞典」の最後のページがよぎりました。
僕達が採用された外資系の膝枕会社は、近隣の小国に戦争をしかけた、あの大国がバックに隠れていたのです。
「この国のリーダーと同じ方法で報復させてもらったよ」
社長はそう言って高笑いしました。
その時社長秘書が飛び込んできました。
「大変です!『悪魔の膝枕』が大量にネットに売りに出され、本国にも輸入されています!!!!」
僕は今、『悪魔の膝枕』に沈みこんでいます。もう何日も飲まず食わずですが、不思議と苦痛はなく心は安らかで幸せです。
我が国の大多数の人々も、この膝枕に沈み込み、廃人と化しました。
ライフラインもストップし、町は廃墟となりつつあります。
あれから「悪魔の膝枕」はコピー商品が大量に出回り、あっという間に世界中に広がり、人類は滅亡への道を突き進んでいます。
小学生の頃見た「膝枕大辞典」に載っていたイギリスの預言者kneeトラダムスの予言は見事的中しました。しかし、『悪魔の膝枕』は、想像図とは似ても似つかないぽっちゃりと優しい姿でした。
しかもまさかその悪魔を自らの手で作り出してしまうとは。
「本物の悪魔は優しい膝でやってくる」
薄れゆく意識の中で、僕はそう呟きました。
終
最後までお読み頂きありがとうございます。
《参考にさせて頂いた作品》
この外伝は以下の作品を参考、またはインスピレーション頂きました。
ありがとうございます。
合わせてお読みください。
脚本家の今井雅子先生がフリーのストーリーをたくさん発表してくださり、その作品を読んだり、派生作品の創作を歓迎してくださっているお陰で、私たちは毎日楽しい膝ライフを過ごすことができています。
ここで改めて、お礼を申し上げます。
本当にありがとうございます。
朗読していただいた皆様に感謝を込めて
「膝開き」して頂いた、ヒロさん(リンクは冒頭に埋め込んでいます)以降、引き続き朗読して頂いております。ありがとうございますm(__)m
2023.6.16
おもにゃんさん
私の相方(漫才コンビ?)のおもにゃんさん、「一房の葡萄」の香りがする朗読、ありがとうございました。
2023.6 6.
順子さん
順子さんも私の誕生日に朗読してくださいました。ハリのあるお声で感情の籠った朗読、ありがとうございました。
2023.6.6
鈴蘭さん
なんと私の誕生日に、もうひとつの私の作品「胸騒ぎの膝枕」とカップリングで朗読して頂きました。ありがとうございました。
Special thanks‼️鈴蘭さん
「社長の高笑い」を「悪魔の膝枕」名物にしてくれました。
正確な数字は分かりませんが、おそらく20回以上お読みいただいていると思います。
【鈴蘭さんの朗読記録】
過去の履歴は後ほど追っていきます。
2024.613膝の日