三井物産を辞めてカスタマーサクセス業界で起業した話
国内最大級のカスタマーサクセスコミュニティを軸に傍楽*(ハタラク)に繋がる事業を展開しているKOMMONS代表の白塚です。
*傍楽:自分が楽にしたい「誰か」の役に立っている実感を得ながら働くこと
今日は、僕が三井物産を辞めて、カスタマーサクセス領域で起業した経緯やKOMMONSとして実現したいVisionについてお話しできたらと思います。
起業につながる3つの原体験
最初に自己紹介とともに起業を考えるきっかけになった3つの原体験についてお話しさせてください。
まず、これまでの経験から、自分が大事にしている考えが3つあります。
だからこそ、スキル・経験の違いで他人にマウントを取る方を見るととても嫌な気分になりますし、そんな態度を取られていることを受け入れてしまっている方を見ると、本当に勿体無いなと感じてしまいます。
僕は幸運にも努力を惜しまず取り組めるテーマが見つかり、迷った時に助けてくれる人達にも恵まれて来ました。
知識や経験は詳しい人から分けてもらえばよい。
大事なのは、他人よりも努力できる「何か」を見つけられているか。
ただ、そのことに気付いていない方が世の中にはたくさんいます。
だから、僕たちが実現したいのは「自分なんてこんなもん」と考えている人達の可能性を広げ、熱中できる何かを見つけ、楽しく働く人たちを増やすことです。
そう考えるようになった3つのきっかけがあります。
1. 正しいコトに向かう大事さを知った中学生時代の体験
中学時代、元々強豪チームとして知られていたサッカー部に入ったものの、しんどい練習をいくら頑張っても全然試合に勝てず、中1の試合で一勝もできないという苦い経験をしました。
中2になってから監督が元プロサッカー選手の方に代わり、戦略やトレーニングが変わった結果、その年の大会で県大会ベスト16に残るまで成長しました。
同じ努力量でも、正しいアプローチができているかによって結果が大きく変わることを知るとともに、自分が努力できる領域であれば、どうやるか?については、知識や経験のある方を頼るのが近道だという学びも得られました。
2. 能力の差は埋められると知った高校時代の体験
昔から、意思決定をする際に考えていたことは、「誇れる自分でいられるか」ということでした。しんどくなったり、判断に迷った時には、どちらの意思決定がより誇れる自分に繋がるかを自問自答していました。
これを意識するうちに努力することが当たり前になり、色々なところで変化を感じられるようになりました。
高校時代は県内の進学校に進みましたが、最初の学年テストはクラスの真ん中ちょい下くらいでした。
そこから、歩く時は単語帳を読み、参考書は問題を覚えるまで繰り返し、冬には窓を開けダウンを着ながら机に向かってなどしているうちに高校でもトップの成績を取り、第一志望の京都大学にも合格できました。
大学受験に限らず、今までできなかったところができるようになるという体験を繰り返すうちに、人間が持って生まれた能力には大差がないと考えるようになりました。
3. 正しい努力が報われないことがあるのを知った前職での体験
そんな中で、これまでの人生で培ってきた価値観が覆されたのが、起業のきっかけにもなったコールセンターでの体験です。
私は新卒で三井物産に入社し、CS領域に投資する部門に配属されました。
1〜2年程、投資先向けの営業支援や新規事業の戦略策定支援などを行った後、大手コールセンター事業者に出向し、CSの現場で業務経験を積みました。担当していたプロジェクトでは、ユーザーとクライアント双方に対するCS業務を行っていました。
そのプロジェクトは適切な投資がなされない為に、属人化が進み、現場の方々の頑張りだけでなんとか回っている状態でした。彼らはそんな中でも「顧客に価値を届ける」という正しいコトに向き合って真摯に仕事をされていました。
「正しいコト」に向き合って努力をしているはずなのに、企業や社会から評価されない状況を見て、これは絶対におかしい。彼らのように、誰かの為に頑張れる方々がちゃんと顧客に向き合い、価値を生み出せる社会に変えないといけないと感じ、起業を決意しました。
ここからはKOMMONSが実現したいことに対して、なぜカスタマーサクセスが重要だと考えているのか?をお話ししていきたいと思います。
なぜカスタマーサクセス?
冒頭で、「正しいコトに向き合って努力すれば必ず成果が出る」という私の考えについて話しました。それでは、ビジネスにおける「正しさ」とは何でしょうか?
私は「顧客に価値を提供できているか」の一点だと考えています。
では、ビジネスとして「正しいコト」に向き合い、顧客志向で働いていたはずの現場の皆さんがなぜ過小評価されてしまっていたのか?
考えられる理由は大きく2つあったと考えています。
1. 提供価値について、企業が従業員と合意できていなかった
一つ目は、Vision, Missionと紐付けて、企業が誰にどんな価値を提供しているのか、していきたいのかを言語化し、従業員に正しく伝えられていなかったことです。
売上・利益などの数値目標を達成することが目的化すると、提供価値などの抽象度の高い議論が社内で減り、理解しやすい数値だけのコミュニケーションになります。
その結果、顧客志向の方々からパフォーマンスが落ちていき、社内での評価が下がり、最終的に離職してしまうということも多くありました。
2. 提供価値について、企業が顧客と合意できていなかった
もう一つは、企業として提供したい価値を顧客に納得してもらい、サービスに対して適切な対価を払ってもらえていなかったことです。
顧客が提供価値に納得しないままサービスを提供していると、「費用を払っているのに全然成果が出ない」「不要なサービスを受けて、無駄な時間を取られてしまっている」といったように顧客の期待値と提供価値にギャップが生じてしまうことが多くなります。
その結果、無謀な期待値に応えるのに多くの時間を使ってしまったり、顧客が求めていないサービスを提供してしまったりと、顧客の価値に繋がらない仕事が増え、顧客志向の方々の活躍機会の減少につながります。
私たちは、顧客への提供価値(= 顧客の成功)を起点に事業・組織戦略を設計するカスタマーサクセスドリブン経営によって、上記のような課題を解決できると考えています。
当時は残念ながらこういった課題を整備し、解決策を提示してくれる方はいませんでした。カスタマーサクセスはまだまだ新しい概念で、顧客起点で事業や組織を作れる人材を市場で見つけるのは非常に困難です。その為、いまはプロ人材のノウハウを外部から提供することが成功への近道になると考えています。
カスタマーサクセスドリブン経営のメリット
カスタマーサクセスドリブン経営は業態に関わらず、事業・組織双方にさまざまなメリットを生み出します。
1. 事業側のメリット
2. 組織側のメリット
サービス内容
KOMMONSでは、Visionを実現する為に大きく3つのサービスを提供しています。
1. カスタマーサクセス起点の事業・組織開発支援
カスタマーサクセスドリブン経営の実現のためには、顧客への提供価値を中心に事業と組織の双方を設計していく必要があります。
事業においては、以下のような問いを解く必要があります。
事業戦略を整理した上で、企業として「誰」に「どんな価値」を届けたいのか、各部門が共通認識を持って動ける体制を作ることで事業戦略の実現スピードを速めることができます。
その為には、会社として「誰にどんな価値を届けたいか」をきちんと言語化した上で、従業員の皆さんに浸透させていく必要があります。
KOMMONSでは上記のようなカスタマーサクセス起点での事業・組織開発に関するコンサルティング支援を行っています。
2. カスタマーサクセス特化型の業務委託・正社員マッチング
カスタマーサクセス起点での事業・組織戦略を描くことで、実施すべき施策が見えてくると、それに合わせて採用を進める必要があります。
カスタマーサクセス起点での事業開発においては、フェーズによってマーケ・セールス・CS・開発など、さまざまなスキルを持つ人材を組み合わせながら取り組みを推進しなければなりません。
その中で、スポット業務や定型業務が発生することも多く、全てを社内リソースでやり切るのは非効率。その為、社内リソースと外部リソースを戦略的に使い分けるのが効果的です。
KOMMONSは、1,200名以上のカスタマーサクセス人材が登録する国内最大級のオンラインコミュニティを運営しており、カスタマーサクセス起点での事業づくりに必要な人材の正社員・業務委託マッチングを行っています。
3. コミュニティを起点にしたカスタマーサクセスキャリア支援
また、個人においても「誰にどんな価値を届けたい」かを整理することは、自身の得意・強みの活かし方や、会社選びなど、キャリアに関する意思決定にとても役立ちます。
KOMMONSはコミュニティを通じて、カスタマーサクセス業界での出会いや、ウェビナー等での情報発信、副業・転職の機会提供などを行うことで、カスタマーサクセスキャリアのサクセスを支援しています。
KOMMONSが実現したい世界観
最後にKOMMONSとして最終的に実現したい世界観についてお話しさせてください。
現代では何かを知っていたり、何かができたりといった能力(Can)が評価されがちです。ただ今後、加速度的に技術が進歩し、情報取得が容易になる中、能力による差は生まれにくくなり、それ以上に何かをやりたいという意志(Will)に価値がある時代になっていくと思います。
ビジネスをする上で、「儲かるか?」という経済的な価値尺度はもちろん欠かせまん。ただ、ビジネスの本質は「誰をどう楽にしたい」(=傍楽、ハタラク)か。
「儲からなくてもこの人の助けになりたい」「自分はこの業務が楽しい」「同僚に感謝されたい」など、傍楽は人それぞれ。
だから、経済的価値以外の尺度を重視する人がいても良いはずなのに、そういった人が肩身の狭い思いをしていることが多いと感じます。
全ての人が、自分にとっての"傍楽"に胸を張って働ける世界にしたい
そう考えて、「働くを、傍楽に」というVisionを掲げました。
僕たちは、「誰かを楽にしたい」という意志さえあれば、そこに共感した方々の知識やリソースを借りられる共有地(KOMMONS, コモンズ)を作ることで、このVisionを実現していきます。
おわりに
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございます。
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