めんどくさいパパ
夕食、おかわりのシチューをよそった夫がふらつく。
「だいじょうぶ?」
ああ、また飲みすぎたんだ。いつの間にかワインのボトルがカラになっている。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。」
上機嫌になって、3歳の娘をぎゅっとしたりがぶっとしたり。
「もう、パパやめてー! きらい! あっち行って!」
「そんなこと言うんやったら、もうパパは家に帰ってこないぞ!」
「いいもん!」
めんどくさいなー、酔っぱらいは。いつもなら、本気でイライラしているところだけど、今日は、たまたま泊まりにきている母が言う。
「パパも会社で大変なんだから。だいぶ疲れてるんだよ。」
そうなのかなー。布団でガオォーーと吠えてうつ伏せに夫が倒れる。
「腰がいたーい・・・」
しょうがないなー。腰をトントン、なでなで、マッサージ。
「今日は(仕事で)あいつに言い過ぎた。オレはもう何も口出しせんことにする。」
「そうなんだ。それがいいかもね。」
「なみー、おまえには、感謝してるんやぞーー。」
「えーー? 何を?」
「何をってぜんぶ。」
「あーちゃんもマッサージするー。」
さっきはパパを嫌がっていた娘もやってきて、腰をトントンした。息子もやってきた。今度は娘が腰に乗ったりしている。
夫は夕方、家族の好きなものをいっぱい買ってきてくれた。長男の好きなコーンフレーク、次男の好きなチーズ、娘の好きなヤクルト、そして私の好きなチョコレート。
飲みすぎないで、ずっと健康でいてね。