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ブラインドデート

ホバートでひとり自由行動の午後、海が見えるちょいと洒落たカフェで一休み。
静かにぼーっとしていたいという気持ちと裏腹に、なんでか知らんけど耳が象みたいになって周囲の話を聞いてしまうヤラシイ私。

隣のテーブルの男女はこの日初対面らしい。
ははーん、ブラインドデートってやつやな。

どうもマーガレットという女性が仲人。
二人の会話に何度も「マーガレットから聞きました。」が繰り返される。

この二人、父娘ほど(いやもしかしたらそれ以上に)年齢が違うように見える。

他にもテーブルは空いてたのに、私よりも後に来たこの男女はわざわざ私の隣のテーブルを選んだ。
海が真正面に見えるからやろう。

事前にお互いの写真を交換していたらしい。
「すぐにあなただとわかりました・・・」とお互いに言うてる。
爺さんはすごく身なりが良い。
お嬢さんも「タンスで一番」着てきましたって感じ。
でも、彼女の装いは午後の明るい陽射しが降り注ぐ海沿いのカフェにはなんとなくそぐわない。

「写真よりも実物の方が魅力的です」と爺さんはこの若いお嬢さんにぬけぬけと言った。
同じセリフを毎回どの女性にも言うとるんやろう・・などと静かに私は舌打ちする。

テーブルの下に隠してた赤い薔薇の花束なんぞを今にも差し出しそうな雰囲気。
どうしよう?
いや、別に私が困ることはない。

「私はお金が好き。お金は大切。貧困家庭で育ったから・・・」
この若いお嬢さんはよく通る声でハキハキと爺さんに話してる。

大胆かつ正直過ぎる彼女の発言に私は息をのんだ。
お金持ちだからこの爺さんと見合いしたのか?
確かにお金は大切やけど。

あの二人、あれからどうなったんかいなあ?
ホバート滞在中に撮った写真の整理しながら、ちょいと気になる。

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