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2024.04.13 中山11R中山GJ回顧

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1着:イロゴトシ(黒岩)…○
2着:ジューンベロシティ(森一)…△
3着:ニシノデイジー(五十嵐)…△

勝ち時計:4:47.2(13.52)
前半:180.8(13.65)
後半8F:106.4(13.30)
上り4F:52.9
上り3F:40.4

スタートで大きく出遅れたのはワンダークローバーとマイネルグロン。先行争いはそれほどなく、ビレッジイーグルを先頭にギガバッケン、ニシノデイジーと雁行。その内にジューンベロシティが潜り込むという隊列で最初のスタンド前を通過。この2号生垣でタマモワカムシャが落馬競走中止。2コーナーのバンケットでギガバッケンがビレッジイーグルの真後ろに潜り込むのと対照的にニシノデイジーはその外を引き続き外めを追走して、大障害コースに入って内外入れ替わるとビレッジイーグルのインを突いて大竹柵の飛越でこれをパス。大きく置かれたポルタフォリオとワンダークローバーを除いた後続集団の殿・フロールシュタットまでで2秒弱と大きく差はつかない序盤戦。
逆回りに替わって先頭に立ったニシノデイジーが後続を引き離す構え。4~3コーナーで3馬身後方に2番手・ビレッジイーグル、更に3馬身ほどあってジューンベロシティとやや縦長に。一方後ろで動いたのはイロゴトシで、ジューンベロシティの外めを離されずに追いかけて、バンケットを下って上って大障害コースに入るところでこの内の進路に馬体をねじ込む。この間にも先頭のニシノデイジーは気分よくレースを進め、2番手ビレッジイーグルとで約1秒、3番手のイロゴトシとは2秒ほどの差で大生垣をクリア。2番手以下の集団でフロールシュタットが置かれ始めた以外に大きな差はないものの、人気のマイネルグロンはこの集団の後方に位置。
再度順回りに替わり、2コーナー奥の外回りコースに合流する辺りから3番手のイロゴトシが進出を開始。これに呼応するように抵抗する内のビレッジイーグルと併走しながらニシノデイジーとの差を詰めて、残り800m標識付近でこれを交わして行く。その後も暫く併走が続くが、4コーナーで遂にイロゴトシがこれを競り落として先頭に。2番手ではビレッジイーグルの後退を待っていたかのようにニシノデイジーが再浮上。更に2~3馬身後方では内からジューンベロシティとエコロデュエル、そこから更に差があってマイネルグロンと続いて直線へ。
先頭に立ったイロゴトシは早めに仕掛けた分で坂で止まってはいるものの、後続も終始ロスなく追走したジューンベロシティ以外は脚色が一緒。そのジューンベロシティも外にヨレながら懸命に脚を伸ばすがニシノデイジーを交わして2番手まで。昨年同様、早め先頭で押し切ったイロゴトシが連覇達成。

レースラップの上では後半8Fがかかる競馬になっているが、これはニシノデイジーが中盤からペースを上げに行く形にシフトした分の影響が強く出ていて、手計測で勝ったイロゴトシの残8Fが104.60、2着のジューンベロシティが104.78なので後半スピード勝負というトレンドの大枠は変わっていない。むしろ3着のニシノデイジーが一旦リードを取りながら後続を引き付けて、尚且つ脚を使わせながら粘り込むという持ち味のスタミナを活かした形で巧なペースメイク。立ち回りの面で明確なレースプランを持った馬が上位を占めた。

イロゴトシはスタートを五分に出て押して行ったものの、序盤は行き脚つかず中団から後方の位置取り。それでも飛越とバンケットの捌きがスムーズなので要所でロスのない進路取りができたし、ペースを考えてもこの距離は走りやすそうな印象。その辺りの適性を最大限に引き出したのは黒岩Jのエスコートで、特に光るのは昨年このレースを制した時と同様大生垣に入るところの動き。横のジューンベロシティ・森一馬Jに対して退かずに主張して順回りに替わってのイン3番手を確保。向正面では強気のプッシュで勝負をかけて、ビレッジイーグルが存外渋太くゴール前では苦しくなって、結果的にはもう少し溜めても楽に勝てたような気もするがジューンベロシティがあれだけ脚を使ったのなら勇気を持った決断が功を奏したと言える。馬自身についても昨年勝った後に順調さを欠く1年になって、それでも立て直しさえすればという馬の力を信じた陣営の決断と執念が引き寄せた連覇となった。

ジューンベロシティは内枠を利して好位のインを追走。終始自分のリズムでレースを進められて、勝負どころでもスムーズに外めに持ち出してゴール前良く伸びたが勝ち馬には及ばず。このコースでの安定感は随一の鞍上らしく道中で無駄な動きを一切なくしてこの馬自身の力は最大限に引き出していると思うが、唯一悔いが残るとすれば大生垣に向かう箇所で勝ったイロゴトシの内からの強襲を阻止できなかった部分か。ただこの馬自身の折り合い面もあって恐らく無用に出して退いてというのは難しいタイプで、勝敗を分けたのは立ち回りの器用さを含めた完成度の部分と言えるのでは。とはいえこの舞台でも結果が出せたことで適性面での幅を証明できたことは大きな収穫。スピード勝負に不安はないので、如何に手数を増やせるかが今後の課題。

ニシノデイジーは大竹柵から飛び出すいつもの形。昨冬の中山大障害とは違ってビレッジイーグルには並ばれず行けて、向正面で早々にイロゴトシとビレッジイーグルに交わされたのも恐らく想定内。この区間で引き付けてから後続に脚を使わせて直線もうひと脚というプランだったのでは。ビレッジイーグルに対してはこれがハマったものの、先着を許した2頭には純粋に力負けと見る。ただ大障害コースのようにタフな条件では底力が出せるし、外回りコースよりも内回りの中山大障害向きと思う中での結果なら悲観するものではなかったと思う。仕掛けどころ次第ではまだ結果は違っていい。

エコロデュエルはこれまで好走した時よりも前めのポジションで追走を続け、勝負どころでも早めに先行勢を追っていく。結果的にその分で直線は伸びあぐねた格好だが、今までにない積極的な位置取りで最後まで気持ちを切らさず走り切れた点には成長の跡も見えた。今回の経験が糧となれば一皮剥ける。

ビレッジイーグルはニシノデイジーに交わされても自分のリズムを守り、向正面半ばから4コーナー手前まではイロゴトシに並ばれても退かずに突っ張って見せ場十分。流石に最後は離されたものの、これは距離適性の差。ペガサスJS3連覇もあるが、決して中山適性だけの馬ではないと思っているしそういうパフォーマンスを見せてくれた今回の走りでもある思う。前に出て後ろを抑え込むような立ち回りができるコースならタイトルは圏内。

マイネルグロンは出遅れて後方寄りも、ダッシュがつかないのはいつものこと。大竹柵では先行勢を見るくらいの位置にはリカバーできたが、ここからなかなか上げて行けずに前に入られてしまう。直線では脚を伸ばしてはいたが、ゴール前の坂の途中で鞍上が止めさせた。レース後は右前深屈腱とその支持靱帯を痛めたという発表があり、その辺がレース自体に影響した部分が大きそう。治療を経て復帰を目指すとのことなので、万全の状態でイロゴトシとの再戦に期待する。


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