ペンの指す方向~青春櫻井翔疑似体験~
友達とYou Tubeに期間限定公開されている嵐の「Untitled」のコンサートを見た。
曲について話をしているときに、やっぱりPIKA★★NCHI DOUBLEは名曲だ、この曲を聞かなければ帰れない、というような話をした。
そう、私はPIKA★★NCHI DOUBLEが大好き。
曲調も歌詞も空気感も世界観も、そしてMVも大好き。
でもなにより一番好きなのは翔君のラップである。
2004年の翔君にしか書けなかったラップの歌詞。
動き続けた長針と短針は 振り返ってみるといやに短期間。
そこまで考えて私は思い出した。
大学の卒業式の日にペンの指す方向を聞かなかった、と。
ペンの指す方向。
櫻井翔が自身のラジオSHO BEATで流した自作の曲で、全3部作。
ざっくりと曲を説明すると、大学卒業にあたっての今までの振り返りのような、別々の未来に進んでいく自分たちのことを歌うような、そんな曲。
当時を知らない私は細かく知らないので、このくらいの認識である。
この曲について語りだすと止まらないだろうし、何よりこの曲のブームが自分の中で来ていたのが昔のことなので、今脳ミソのストックに記憶があまりないから、それっぽい話が何もできない。
そう、ペンの指す方向。
中学生の頃にこの曲に出会った私は、単純に憧れた。
小中高大一貫の学校で友情を育んだ櫻井翔の青春と、その友情に。
自分が大学を卒業するとき、今夜が一番長い夜って言いながら酒呑むんだろうって思っていた。
卒業式の朝、気分を卒業式ムードにするためにそれっぽい曲を聞こうと考えてみた。
自分のWALKMANにはそのような曲が入っていなかったというのと、何も思いつかなかったため、大野智のソロ曲Hit the floorを聞いていた。
まずここだよな、ここがおかしい。
思い出すべきだったよな~。
せめて春っぽい曲でも聞きなよ。
またはPrizmmy のButterfly Effectでも聞けばよかった。
まあどちらにせよペンの指す方向はWALKMANには入ってないんだけどね。
そもそもペンの指す方向という曲を自分の人生で疑似体験できるのではないか?と思っていた私はとても浅はかだった。
ペンの指す方向の疑似体験とは、つまり目一杯やりきった大学生活と、一緒に頑張った仲間達。そしてそれぞれが悩み、選んだ道へとこれから歩んでいくということが前提となる。
この時点でな~~~~~~~んもかすってない。
これから離れ離れになってしまう、会うことも減ってしまうであろう大切な友人たちへと送る、社会に出る前の最後の曲。走馬灯のように巡る思い出の数々。
いや~~……なかったなぁ……。
そもそも私は大学入学と同時に、「今までの人間関係リセットしたいな~」なんて思っていた人間だ。
大切な友人、同じ時間を過ごした仲間は本当に本当に少ない。
でもそんな仲間達と4月からは離れ離れ……というわけでもない。
所謂私の仲間と呼べる人間とこの1年、コロナによる自粛生活で3回くらいしか会っていない。
それに全員就職しない。
これで最後だ、遊べなくなっちゃうね、という感覚が特段無いため、櫻井翔のような感情は抱けなかったのである。
そも既にもう遊べていない。
大学を卒業したら、私も翔君が考えていたようなことが分かるのかもしれないと思っていた。
翔君がなにより大切にしている学生時代の友情を私も味わうことができるのかもしれないと思っていた。
そこに手が届かなかったことがなんだか少しだけ悔しいけれど、それと同時に櫻井翔という人間に対して憧れがまた生まれた。
私の大学生活は、櫻井翔に手が届かなかったということで綺麗にまとまって終わるんじゃないかな。
そうでなければ、卒業したことに関して何の感慨もない自分の感情に答えが出ない。
やはり櫻井翔というアイドルは、人間としてとても尊敬できる。
彼の味わった青春と、私の青春は違う。
きっと私にとっての「ペンの指す方向」はどこかにあったはずで、それに気が付くのはもっと遠い未来でいい。
卒業文集で翔君の話をした私はとても正しかったね。
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