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カセットテープ〜インデックス作りの思いで - KOMEMX The TAPE

これからミックステープの2作目を紹介する前に、まずはそのテープ自体を撮影しようと思う。とはいっても、実際にテープに録音するわけじゃない。では、なぜこんな手間をかけるのか。それは、サブスクリプションが主流となった今のリスニング生活に、物理的な「手で触れる感覚」を取り戻したいからだ。

僕は今、デザインに関わる仕事をしている。その原点は、少年時代のカセットテープのインデックス作りだった。最初は手書きで曲目をインデックスに記していたが、次第に凝った書体を自作するようになり、印刷されたサンセリフ体の美しさに強く惹かれるようになった。

ある日、近所の書店で「レタリングシート」というものを見つけ、一文字ずつインデックスにこすりつけてみた。すると、思った以上に見栄えのいい仕上がりになった。しかし、どうしても文字の間隔が不揃いに見える。そこで、タイトルの大きな文字だけは定規でしっかり間隔を測り、正確にレタリングしようと試みた。ところが、かえって文字間のバラつきがひどくなった。どうしてだろう。そんな疑問が、僕の欧文デザインへの興味をかき立てていった。

その後、デザイン系の学校に進学し、最初の授業でレタリングの基礎を学んだ。文字の間隔を美しく揃える技術を知ったとき、自分の内にある興味と美の法則が繋がった瞬間だった。そのときの感動と興奮は、今でも鮮明に覚えている。

その後、パソコンと出会い、今ではレタリングの技法を日常的に使いこなす仕事に携わっている。そして、僕のデザインの原点にはいつも音楽があった。

この話で、僕がテープ作りにこだわる理由が少しでも伝わったなら嬉しい。撮影が終わったら、トラックリストと全曲解説をスタートしようと思う。ぜひ楽しみにしてほしい。


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